3
やはり、みゆきの死亡は巻き込まれ型だった。
以下は天使(見習い)さんの説明である。
召喚タイプで、異世界のとある国が高校生を無作為に多数招び、管理している天界は大変迷惑している。
なお、高校生達は正規の召喚なので、転生(死亡)ではなく、転移らしい。
転移だから戻れるのかというと、ほぼ、戻れないとのことだが、お約束の特別な力が与えられている。
「なるほど。所謂チートってやつですね」
しかし巻き込まれ型なので自分にはなさそうだと話の続きを促した。
そういえば、その召喚された世界はやはりファンタジーの世界なのだろうか?剣と魔法の世界なのか…
みゆきの頭の中にあの、壮大な音楽が流れだした。
王道シリーズもよかったけれど、タ○ティ○スが音楽もビジュアルも好きだったなぁとか考えていると、天使(見習い)さんが小さな咳払いをした。
「あ、失礼しました。続きをお願いします。チートはないってことで」
「…ないとは申しておりませんが」
天使(見習い)の笑顔が微妙に怖い。
「今、見習いには大したことはできそうにないので期待はしないでおこうとか思いましたね」
「いえ…あんまり期待しては後でダメージが大きくなるので自己防衛本能が…ね、ふたば」
いぬは寝ていたので仕方なく天使の顔をちらりと見てみる。なんというか、イヤな印象を持たせない、営業向きの顔であった。
「ところで、コレは連れて行けるんですよね?」
椅子の下で眠るいぬを足で触りながら、へらりと笑って聞いてみた。
「不可だとお答えしたらどうなさいますか?」
「転生とやらをナシにしていただきます」
元の世界で生きられないのなら、どこで生きても意味はないのではないのだろうか?
知っている人のない世界で1からやり直すのはメンドくさそうだし。
「いやいや、もちろん、ふたばさんもご一緒でよろしくお願いいたします」
営業スマイルがはりついている。
「私が転生しないと、何か不都合でもあるのでしょうか?」
「え?」
「いえ、ね? これまでたいしたこともせず、フツーに生きてきて、これからも やりたいことも そうはないし、何かすごいこともすることはないだろうし…」
「すごいこと、してみましょうよ!」
「はい?」
天使(見習い)の目の奥に、何だか見てはいけないヤバい光が見えたような気がしたみゆきだった。
「とりあえず、ご希望をおっしゃって下さいませんか?」
まるでデパートの店員のように、にこやかに尋ねてくる天使(見習い)。それならば、と思いつくままに並べてみる。
「強靭な肉体と精神力…ですかねぇ」
ゴ○ゴ13みたいな…という前に、天使(見習い)が少し嫌そうな顔をした。