海へ島へ
本当に本当に遅くなってしまって申し訳ないです!!
いつものことながら短めなのですが楽しんでもらえたらなと思います。
宣伝をひとつ。『Utopia syndrome』という作品を新たに連載開始しました。短めの作品になる予定なのでそちらも是非合わせて見てもらえたらなと思います!
「え、えー、えーとですねー、えー忘れ物とかーないでしょうかー。」
「んなもんねぇよ!」
「早くいこうぜ!!」
「ねぇまだー?」
....うん、超まずい! どうする、何喋ったらいいんだ!?
途方に暮れる三島の気持ちとは正反対の今日は雲ひとつない夏日和。
皆で海に行く計画は無事決行できた訳だが開会式兼点呼で急に何かいえと言われて困っていると言うわけだ。
『もう、私がやる。』
おお神よあなたが神なのですね...
何か言えと言ってきた張本人に感謝しつつ後ろに立っていた桜井さんにマイクを渡して俺は一歩下がる。
「みんな!今日は急な呼び掛けに答えてくれてありがとう!!今日は私の家が持っている島に皆を招待するから存分に楽しんでね!!」
「「「おおおおおおお!!」」」
何なんだこいつら、俺の時ばっかり文句言いやがって....
学年の団結力が今回ばかりは恨めしい。後で覚えてろよ...
桜井家のお手伝いさんに誘導されてぞろぞろと大きなクルーザーにみんなが乗っていく。
『私たちも行こっか。』
「あ、ああうん。」
普段こうして接していると携帯での会話に慣れてしまうけどたまにこうやって桜井さんの声を聞くとなんとも不思議な気持ちになる。
大勢の前だと普通に声が出せる、っていうのが無かったら今ごろ俺は冷や汗をかきすぎてぶっ倒れてるな。
三島は自嘲気味に笑って桜井さんと並んでクルーザーに向かった。
........................
「おおおお!風きもちーー!海だーーー!」
俺はクルーザーの外で風を堪能していた。
「最高だな!三島!!」
隣にはなんだか暫くぶりに喋る気がする田中。
「そうだな!!ひっさしぶりの海!!」
「「やっぱり夏はいいな!!」」
.........................
「いっちばーん!!」
田中の大きな声がクルーザーの中まで聞こえる。
みんなが順番に島に降り立つなか俺と桜井さんは忘れ物がないかチェック中だ。
『こっちは何もなかったよ!』
「お、こっちもおっけーだったよー。」
『悠くんも忘れ物ない?』
「ばっちり!」
肩にかけているボストンバックを叩いて言った。
『じゃあ降りよっか!』
「レディーファーストで。」
『変なこと言わないで』
ぷいとそっぽを向いても耳が赤いのは後ろからもよく見える。
思わず笑いそうになるのを堪えて最後の俺も無事島に上陸。
「みんなようこそ!!今日はたくさん楽しんでね!!」