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改変

お話を投稿していない日もPVが増えるようになってきました!ありがとうございますm(__)m

眠れない夜が続いていた。

突然消えてしまった桜井さんのことを考えていた。


俺に何をしてほしかったのか...

それとも俺の勘違い...?

いやでもあの表情は明らかに助けを求めていた...

やっぱり、探し出さないと


延々とループする思考に身を委ねているといつの間にか朝だった。

軽く朝御飯を食べて、玄関に向かう。


「悠、いってらっしゃい。」


振り向くと少しやつれた母がいた。


「うん。父さんは?」


いつも通りの会話をする。

首を横に振る母。


「そっか。国のために頑張ってるんだもんな....それじゃ、行ってくるよ。」


父さんは国家公務員として、世界を救うべく活動している国際機関に所属しているのだ。もう何ヵ月も帰ってきていない。所属、というより国家機関そのものが併合された形ではあるらしいのだが。

母に手を振り玄関を出る。

少し迷って、今日は学校にいくことにした。


...一週間も休んじゃってみんな心配してるだろうしな。


そう思って桜井さんを探しに行かない罪悪感を少しだけ和らげたのだった。


......


「おはよーっす。」

「おお!?悠じゃねぇか!!一週間もどうしたんだよ、心配したじゃねぇか~。」


朝から大きい声で喋らないでくれ田中。


「あ、お前声でけぇとか絶対思っただろ。」

「いやぁ?思ってねぇぞ?」


絶対に信じてなさそうな顔をする田中。


「あ、そういやお前何してたんだ?一週間も。」

「え?いやそりゃ桜井さんをだな。」

「桜井さん?あの副会長サマか?....あ、なんか靴箱で見たな。教室にいるんじゃねぇの?」


聞くや否や、隣の教室に飛び込んだ。


「桜井さん!!」


雑談をしていた人がみんな振り替える。次いで桜井さんの方を見る。


....!いた!


窓際の席にゆっくりと歩み寄る。

見上げる桜井さんに震える声で


「さ、探したんだよ。」


桜井さんは不思議そうに小首を傾げる。

そして携帯を取り出して何か打ち込んで俺に差し出す。


『どうかしたの?何か用かしら?』


思いもよらない言葉だった。

懸命に理由を紡ごうとする。


「え、どうしたって『あの』とき桜井さんが...」


『あのときって?』


「いや、だからあの二週間前の、」


....あれ?なんで探してたんだっけ?

いやいや、だって『あの』とき桜井さんが見せた表情が....


『二週間前の、何かしら?』


....?いつだ?そもそもそんな表情、俺に見せたか?


「あ、いや...だから、その...」


おいおいおいおい!俺なんか大事なこと忘れてるような....

いやでも、今はじめて会話したんじゃ...?だって副会長様だよな、天上の人だ。皆から人気者の桜井さんだ。個人的に仲が良いはずが....


そこまで考えて思考が砕け散った。

恐らく、悠は気づいていない範疇で何かが変わったのだった。


「あ、え、あの...その、すいません、でした....なんでもないです...」


もう悠の中に疑問は無かった。ただただ、変なことをしてしまった羞恥心で一杯だった。


...は、はは。何を思い上がって俺が桜井さんと...。ただ憧れてるだけの分際で...


穴があったら入りたかった。


そうして逃げるようにして教室をでた。



そんな悠の背中を、彼女は悲しそうに見送って目を伏せた。

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