木見潮先生の結婚戦争論
木見潮朱里咲、女性、現在は高校教師。未婚。
数年前まで、とあるヤクザの用心棒、”軍神”と恐れられている。父親はそのヤクザの元組長。
”超人”の身体能力であり、壁や天井を歩いたり、軟体生物の如く、体型を変化させることもでき、あらゆる物体を武器化することができる。消しゴムを弾丸並の威力で投げたり、割箸で手を刺す事などができる。
1人で軍隊ぐらいは壊滅できる。
「戦争が起きた時。どうすれば良いでしょうか?」
朱里咲は国語の教諭であり、社会とか歴史とか。そーゆうのを教えていない。
にも拘わらず、いきなり戦争の話をする事になったのは、憲法とやら改正だの、自衛隊のなんちゃらだので生徒から質問されたからである。ちなみに生徒達は朱里咲の過去を知らない。(言う気もない)
「というか、なんで戦争が起きるのか。具体例を出そう」
黒板に図を描き始める朱里咲。戦争の根源はやはり、人間が人間で作り出している問題。
棒人間を3人。しかし、2人の頭にはリボンが付けられ、女性という感じだ。
「ここに1人の男と2人の女がいる。3人共、独身で結婚願望があり、女性2人は好みの男性が1人しかいない状況だ」
「なんの話です?」
人が殺されるかもしれない戦争を、結婚で例えるのは、婚活だって戦争だからだ。うかうかしていると、一生独身だ。
「この2人の女性の年収や家系、容姿、性格などに問題はない。お互いに結婚し、奥さんになっても良い人だと考えろ。男はどっちと結婚しても良き将来になる」
「そんなことってあり得るんですか?」
「あるわけないだろ!貴様、説明を数段飛ばすような質問をするな!この奪い合いこそが、戦争と同義だという答えに繋がるのだ!!」
「………………」
「女性の諸君も、男性の諸君も!有利に事を運ぶには事前の準備、辿る過去が必要となる!男に聞こう!ブスで性格悪くて、金使いが荒くて、家事が一切できない女と結婚するか?」
当たり前に言うが、
「しません」
「そうだろう。女もそうだろう。年収は8000万円以上、豪邸に住まわせてくれて、平穏と安心ある家庭が作れるイケメンの男と結婚したいだろう?まだ分からないかもしれんけど」
「そんな人がいたらですけど……」
まるで夢のない子供達って感じだ。将来はちょっと暗いのかも。
「確かに出会う事はないかもしれん。しかし、それは貴様等それぞれに出会う”機”を減らしている事に起因するし、一回あるかないかのチャンスに、飛び込んでいける勇気と経験がないのも原因だ!!こーいう失敗は成功への糧だ!」
高校生なのだから、もう将来を考えてみろ。大人なのだから将来を分かっていなければいけない。
「今からオリンピック選手やプロ野球選手になる奴いるか?」
「いや、無理ですよ」
「選ばれた人間達じゃないですか」
「その通り。まず、無理だ。あーいうのは環境に差がある。とはいえ、あいつ等が全員ステータスを完備しているわけじゃないし、人間は年齢と共に劣化する。20年以上活躍できる人など10人いれば良いくらいだ。将来的には不安だ。家事は男もできてもらわないと困るし、社会で働けないとダメだぞ」
なんか、結婚や将来の話になってきた。戦争を反対する話だった気がするのに……
「そーいう家族環境だとな。将来、不倫をしたり、浮気をしたり、離婚という選択肢も互いに浮かぶ。特に女はな!」
「えええぇっ!?」
「そ、そんな酷いことをするんですか!?」
「マイルドに伝えているんだぞ!!これを戦争で例えるなら、同盟の破棄に値する!!裁判中が戦争となる!第二次結婚戦争だな!」
「なんすか、それ!?」
「第一次結婚戦争は、結婚する相手を奪い合う戦争だ。ステータスを中心とした戦争だ。正直、性格なんてプロフィールやお見合いくらいでは測れない。見た目と年収、将来の安定を持っている事が重要だな」
ざわざわとする、戦争と結婚ってそこまで関連性のあるものだったのか。
朱里咲は話をまとめにかかる。
「いいか!戦争は誰だって反対だ!私も浮気なんてしたくないし(できないけど)、争うことなく目当ての男と結婚したいのだ!そんな時、年収や家事業、見た目、将来の考え方、育児に対する姿勢などなど!これらが差を出し、決めるのだ!!磨かずにしてどうする!?」
争いをしないと、謳う人がいるのなら。
「争いを拒むのなら婚活をするな!!就活するな!!受験勉強も頑張るな!!何もせず、何も稼げず、死ね!」
「な、何もそこまで……」
「でも、分かる気がする……」
「ダメな奴と将来を共にしたくないしな。友達しかり……」
誰だって戦争なんざしたくない。
「入試には推薦という方法もある。中にはそうして来ただろう」
「は、はい」
「その方が楽だもんな。できたらだけど」
「準備してきた結果だ。不登校の人間や、いじめの主犯格やそのパシリの進路には先生だって苦労するんだぞ。あれも点数扱いだし」
仕事の愚痴も含め、なんか。一番ストレスが減った気がする朱里咲。
「戦争しない。そのために必要な準備とは、周りと渡り合えるステータスを備える事だ。お互い分かり合える話をするには、対等であることがあるべき姿だ。女性差別だと思う女がいるのなら、男性を見下すくらいの行動をしろ。敵わない男もいるだろうが、男の9割は使えない奴だぞ。余裕で勝てる」
「そーなんですか」
「よーし、じゃあこれから!良い女になって、男をこき扱ってやる!」
ざわざわした感じとなり、これで話は終わった。そして、
「これより期末テストに向けた、ミニテストをする」
「ええええぇっ!?」
「テストしたくねぇ!」
「私がこの程度の話で、ミニテストを取り止めると思ったか。バカめ。このテストをやっておけば、だいたい期末テストは余裕だぞ」




