第4話 「俺」と「僕」
今回は過去の振り返りです。
シリアスって難しいですね…
まぁそこら辺は研究してなんとかしてみせます!
それではどうぞ!
朝。
俺は起きてから体に違和感を感じた。
全ての物がいつもより大きく見える、恐らくこれは…
辰巳「背丈縮んだかな?」
そう、前まで176ぐらいはあった身長が150以下まで下がってるのだ。
多分レミリアさんやフランと同じぐらいの身長であろう。
どうしてここまで縮んだのか。
「それは昨日した事の反動よ」
瞬間、スキマからあの人が出てきた。
辰巳「それはどうゆう事ですか、紫さん」
そう、朝は必ずと言っていいほど紫さんがいる。
まぁ嬉しい事ではあるのだけど。
紫「昨日貴方、音を食べたでしょう?
あれは一時的に相手の能力を使えるようになって強力なのだけど、同時にリスクも背負う事になるのよ。
今回は背丈だけで済んだから良いのだけど、悪い時は性別が変わるわよ」
どうやら昨日の出来事が原因らしい。
それと紫さんの台詞から元に戻る方法がわかった。
俺は今まで自分が出した音をかき集めて、圧縮して食べた。
そしたらドンドン身長が伸び、元通りになった。
紫「本当、理解が早いのね」
紫さんは苦笑した。
そしてもう大丈夫だと思ったのか、スキマを開いた。
俺はいつも通り、笑顔で見送った。
紫さんはスキマに入ってから、何かを思い出したのか、振り返った。
紫「あ、そうそう。この館の主人、何か企んでるわよ?」
紫さんが言ったのは、ここの主人が何かを企んでる。
主人と言うのはレミリアさんの事であろう。
レミリアさんが何かを企んでる?
紫さんにもっと詳しい事を聞こうとしたが、その時にはもういなくなってた。
「自分で確かめなさい」。と言う事だろう。
そして俺は昨日と同じで、何もせずに寝てしまったから、お風呂にも入っていない状況になっていた。
辰巳「(次からは無理してでも風呂入ってから寝よう…)」
人の前でだらしない所は見せられない。
だから俺はそんな事を決断していた。
………
……
…
そして俺は風呂と歯磨きを済まし、部屋を出た。
「お待ちしておりました」
そして部屋の前には、昨日と同じで咲夜さんがいた。
辰巳「おはようございます。朝ご飯ですか?」
どんな事があっても動揺せずに接する。
驚かれて不快に思う人もいるからである。
昔から、人には気を使っていた。
まるで…呪いのように。
でも本当は、人に気を使っているんじゃなくて、自分に気を使っているのだ。
人に嫌われたくないから、一人にはなりたくないから。
でも…嫌われて、一人になってしまった。
でもここに来てからは、嫌われる事もなく、自然体に戻れている。
ここの人達には、いくら感謝しても足りないぐらいだ。
咲夜「考え事ですか?」
昔の思い出に浸っていたせいで、完全に咲夜さんの事を忘れていた。
辰巳「はい、昔の事を少々」
咲夜さんは、何かを聞こうとしたが、その言葉を飲み込んでくれた。
…多分、俺の昔の事についてを聞こうとしたのであろう。
咲夜「では、朝食にしましょう」
辰巳「はい、わかりました」
………
……
…
テラスについて、朝食を食べてる時にレミリアさんが聞いてきた。
レミリア「どうして貴方は、フランを助ようと思ったのかしら?」
それは、俺の予想とは裏腹の質問だった。
昨日の事を聞くとは思っていたけど、その事を聞いてくるとは思わなかった。
でも、答えた…
辰巳「昔の自分に…似ていたからですかね」
そう、昔の自分と重ねていたのだ。
レミリア「昔の自分…貴方もフランと同じ目にあっていたのかしら?」
レミリアさんの質問を、咲夜さんが止めようとしたが、俺が止めた。
この際だ、隠し事は止めよう…
辰巳「昔の自分は、嫌われ者でした。そして、差別の目に怯えていました。そして…昔から心の声が聞こえてしまってたから、周りは陰口や、考えてるだけかもしれませんが、俺にとっては…全てが罵声に聞こえました」
俺の答えに、周りは驚いてはいなかった。
能力が分かった時点で、理由はわかっていたからであろう。
辰巳「それと、今じゃ傷は目立ちませんけど。ある人に押され、トラックに轢かれました。幸い、大怪我だけで済みました」
その言葉には、誰もが驚いていた。
普通はそこまでしない。
でも…俺が通っていた所は、そんな所だ。
人が傷ついても、なんとも思わない最悪の集団だった。
辰巳「でも、慣れって怖いですね。年をとるたびに、そんな状況が当たり前になってしまっていた。自分が死にかけても、なんとも思わなかった…感情を失っていました。でも…ここに来てからは、悲しみや、嬉しさ、そんな感情が戻ってきました。
愛想笑いが、いつの間にか本当の笑顔になっていた」
俺の話は、終わった。
周りの皆も、話が終わったと感じたのか、喋りだした。
レミリア「ごめんなさいね…そんな過去を思い出させてしまって…」
レミリアさんは申し訳なさそうな顔をした。
だから俺は言った
辰巳「大丈夫ですよ、今では辛い過去でも、耐えていけるようになった。貴女達のおかげで」
俺はレミリアさんに笑いかけた。
それで安心したのか、レミリアさんも笑ってくれた。
咲夜さんはそれを母親のような目で見ていた。
過去を打ち明けてくれて喜んでるのか、微笑ましい光景に笑みがこぼれたのか。
どっちでもよかった、今ここで皆が笑ってくれているから。
レミリア「笑ったのは、いつぶりかしら…」
レミリアさんも俺と同じで。長い間、本当の笑顔を見せてなかったのか、そんな事を呟いた。
辰巳「僕も最近まで、笑った事がありませんでしたね」
皆に色々な事を打ち明けて、肩の荷が軽くなった気がする。
咲夜「あの、辰巳さん。私も一つ聞いてよろしいですか?」
そんな中、咲夜が聞いてきた。
どんな事を聞いてくるか考えながら、答えた。
辰巳「なんですか?」
咲夜さんが聞いてきた事は、本当に些細な事。でも、俺には、聞いてはいけない事。
咲夜「話す時に、「俺」と「僕」とちょくちょく変えることがありますが、それはどうしてですか?」
瞬間、咲夜さんはギョッとした。
それもそうだ、俺にとっては聞いてはいけない事、俺は威圧で、「その質問はタブーだ」、と言いつけた。
咲夜さんは、後ずさりをし、壁にもたれかかり、崩れ落ちた。
レミリアさんは戦闘態勢に入っていた。
その威圧は、常人では立っていられないほどの物だったからだ。
辰巳「それ以上は聞かないでください…」
その声は、二重になっていた。
怒った声と、悲しみの声。
それは、俺の失くした二つの感情。
僕は立ち上がり、出口まで歩いて行った…
辰巳「迷惑をかけてすみません…僕はここから立ち去ります…」
後ろから僕を止める声が聞こえたが…俺は気にせず歩いた。
僕の心の中は、不安定になっていた…
「俺」と「僕」、それが交差して出てきている。
辰巳「さようなら…」
シリアス…やっぱまだ(笑)が要りますねこれ。
次回は博麗神社編です、ここでやっとスペルができます。
それじゃまた〜