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教会にて

「あんたも悪かったな。鬼気迫る演技だったぞ」

ノエルは全てが真継の嘘だとわかると思いっきり真継の顔面をグーで殴る。

「冗談じゃないわよ。あんた何考えてんの。演技なら演技ってわかるようにしてよ!ほんと殺されるかと思ったじゃない!!」

真継もまさか殴られるとは思わず、不意にその一撃を受けてしまう。

痛くはないが、こいつは予想外で、それを喰らった事実はかなりの精神的ショックがある。

「あぁ、どうりで迫真の演技だったわけだ。そいつは悪かった。だが、ふつう冗談だってわかるだろ。俺がそんな事をする人間に見えるか?」

「見えるに決まっているでしょ!あなた自分の顔鏡で見た事ないの!」

本来であれば、アルノーとロイズを怒るべきところだが、ノエルは本当に真継が怖かったため、涙目になりながら、滝のように真継にクレームを入れる。だが、真継は飽きたのかそんな言葉まるで聞く気がないと言わんばかりに、適当に生返事で謝るだけだ。

「でも、この子たちを助けてもらったことには素直にお礼を言わせてもらうわ。

自己紹介が遅れたわね。私はノエル。ここで子供たちの面倒を見ながら、軍人さんを相手に、裁縫とあとは、シスターの真似事をするのが仕事よ」

ノエルは握手をしようと手を出すが、そういう文化のない真継は無視する。

いや、握手という文化はこの旅路で知ってはいるが、

なぜ俺が相手に合わせなければならないが根底にある。

真継は相手の文化や伝統には敬意があるし、文化として成立している以上十分な理由があるのだという事も理解している。だが、もしこの手を差し出し、掴まれ、その事で片手が使えなくなり、敗北したのでは、己の怠慢と無能さが許せないという事がある。

もちろん、目の前の彼女がそんな事をする人ではないという事は分かるが、それでも会って数分程度の彼女を信頼しているわけでも、彼女の法に従う気になったわけでもない。

「それは遠慮しておく、俺はこう見えても内気なんだ。

女性と手を繋ぐなどという破廉恥な事はむやみやたらにするものではないと習っているのでな。必要以外でそういう事をするのは、夫婦だけだ」

「へー、異国の人っぽいけどそっちの国ではそうなんだ」

そんなわけない。真継の適当ないいわけだが、真継は僅かの迷いもなくそうだと断言する。

「少し気になったんだがこの国では、軍人も罪を告白でもするのか?」

自分で人を殺す可能性のある職務についているものが罪の告白などと、理解できない

「何よ、そんなの当たり前でしょ。その髪、どこから来たの?」

「ずっと東のこっちでいう所のジパングという国から来た。1年くらい前か船を下りて陸路で移動しているからそれなりにこちらの文化の知識もあるが、どうもそこら辺の考え方はわからないな」

「なんなら、あなたの罪の告白も聞いてあげましょうか?」

「そんなもの不要だ。俺は常に覚悟をして行動している。恨まれるのも、殺されそうになるのも覚悟の上だ。俺から言わせればそんな覚悟もなく、人の命を奪うなと言いたい」

「まぁ、命を奪うべきじゃないというのには賛成だけど、軍人さんだからって誰も彼もが人を殺めた事だけを後悔だけじゃないわよ。人間だもの、」

「俺にはよく分からない考え方だな」

「でもそうね。懺悔が必要ないとすれば、お礼は、食事でいい?これでも私料理上手よ」

「このチビちゃんにも言ったが、俺がやりたいようにしただけだ。気にする事じゃない」

「まぁまぁ、そう言わないの。お礼の一つもしないと私が嫌なのよ」

半ば強引に真継は教会の中に招き入れられる。


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