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北へ

「ただ今戻りました、すみません。今日は司教様が直接来てくださってそれでお時間がかかってしまいました。お食事、すぐに準備いたしますね。

その後お嫌でしょうけど腕のマッサージを、、」

「あやめ、、」

「はい」

「君に頼みたいことがある」

「頼み、、、真継様が、、この私に、、、」

「今日ミヒャエルが来て、可能性を示してくれた。俺が俺に戻るための可能性。でも、それは容易じゃなくて、俺一人では絶対に無理だ。だからあやめの力を貸してほしい。

苦難の道になるかもしれない、君に今以上の迷惑をかけてしまう事になるだろう、

それでも俺は君に頼みたいことがあるんだ。

詳しい話は食事が終わってからでも、、、」

「いいえ、いいえ、いいえ、返答など決まっております。もちろんです。

私は真継様のお傍にいる事だけが目的。何の迷いがありましょう、

その目、それでこそ真継様です」

「泣いているのか?」

「申し訳ありません、嬉しくてつい、」

「嬉しい?」

「はい、一つは真継様自身がいつもの真継様に戻られたこと、そしてもう一つは私なぞの事を頼ってくださったことです。私に何が出来るか分かりません。ですがやっと、やっとです、少しだけでも恩返しが出来ます」

「それは違うぞ、あやめ、俺は今までもずっとお前に助けられていた。

今回の事だけじゃない、俺が馬鹿でこうならなければ気づく事も出来なかった。

お前はいつだって、俺なんかの為に尽くしてくれた。恩返しなんて考えないでくれ、

俺は、君を一番信頼できる仲間として、、、、いやこの言い方は卑怯だな。

あやめの思いを無駄にする。あやめ、俺はお前の事を、、、、」

それから1週間後、真継はあやめと共に二人で北のヴィエティア連邦にケレスの技術を奪い、機人を人体の技術に応用する術を見つけたという噂を聞き旅立った。

ヴィエティアへはいくつものケレス領を超え、極寒の大地を超える必要がある。それに広大なヴィエティアのどこにその噂の元があるのか、

いやそれ以前にそれが真実なのかも分からない。

そしてその技術を持っているものが協力してくれる確信も、

腕が治せるかどうかも分からない。

心配する僕に真継は1週間前とは違う表情であっけらかんと言ってのけた

『でも可能性は0じゃない。俺はいつだって常識をぶち壊してきた化け物だぞ』と

髪を切り、口に紅を塗ったあやめも重ねて口にする。

『私と、真継がいれば不可能な事なんてないわ、また春ごろには戻ってくるわ。

それまで持ちこたえなさい』と

僕はあの時の3人の顔を忘れられない

狂気を弱め、人としての魅力を増した真継の笑顔と、

幸せそうに笑うあやめの顔と、

そして悔しさと、嬉しさが混じったような複雑そうな、表情で、

今まで以上に真正面から真継を敵視するサスケの表情を

「真継、やっぱ、俺、お前の事嫌いだわ」

サスケはそういって、下品に喉を掻っ切るようにジェスチャーをする。

その日からだ、僕がサスケに付き合い酒の味を覚えたのは、

自分を失うような感覚、気持ちが素直になるような感覚なるほど、酔うのも悪くない


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