帰り道
「この力!間違いない!弥助!お前弥助やろ!」
真継は朱色の機人に向かって話しかける。
「、、、久しいな、SADA。このような異国で会うとは思分かったぞ」
「そうか、生きててくれたか、それに鬼ヶ島がお前の故郷だったか」
「記憶のない私にとってケレスが故郷などではない。
ただNOVは自分の死後は世界を回れ、己が野望に生きよと」
「そうか、それで大将か」
「まだその過程に過ぎん。真継、お前が現れたお前の不幸に同情しよう
だが、NOVを殺したお前とまた会いまみえるこの幸運に感謝しよう」
「相変わらず、硬い奴だな。御託はいい。かかって来いよ」
「その体でよく言う。今のお前は満身創痍だ。
既に己の意思だけではどうもならなくなっているだろう。
今回見逃してやる。だが、次は俺が相手だ。姑息な真似はせん、関係のないものも巻き込まん。だが、勝たせてもらう」
「おう、それでこそだ。おう、そうだ。サスケ!その刀、あいつに投げろ」
「はぁ?」
「いいから、それと鞘も」
訳が分からないがサスケは言われるがままに神亀に向って黄金刀を投げつける。
が、いくら勢いをつけようが、あっさりと掴まれてしまう。
「それは京姉さんの最高傑作だ。さっきまで魔王が使ってたものだ」
「NOVが?」
「あー、現実主義者のお前は信じられんだろうがさっきまでそこの鎧にいたんだよ。それでこの様だ」
「なるほど、先ほどの気配、、、あれはKYORAKU殿の作か、それならばだ」
「真継。どういうつもりだ!敵に塩を送るつもりか、この圧倒的な不利な状況で!」
「あれは俺が持つべき者じゃない。あれは俺を殺すための刀だ。弥助が持つべきだ」
「SADA、、これは受け取っておく。次に戦場であう時、それがお前の最後だと知れ、」
「おう、分かった。でも、ま、その前に峠の茶屋である事があれば、
またその時は茶ぐらいは付き合え。俺はお前は嫌いじゃないからな」
「そうか俺はお前が嫌いだ」
弥助の機人は、そう吐き捨てるように言い残すと雲を貫き、消えていった。
「誰だよあれ!あんなの僕も知らないよ!」
「そりゃそうだ。あったことないだろう。あれは魔王の所にいた腹心だ。
あれは強いぞ、俺が知る限り、あれほど完成された強さを持った男は他にはない」
「嬉しそうに言うな」
「あいつは気持ちのいいやつだからな。俺以上に武人だからな。
ま、あいつになら負けても納得だ。それくらい強い、魔王との戦いの時は、
あいつ魔王の用事でいなかったから、その後も見かけなくて心配してたんだ。
元気にしてたようで何よりだ」
「まったく何を考えているんだ、君は!知り合いかなんか知らないけど、なんで敵を挑発するようなまねをするんだ。というか知り合いなら、ケレスとの話が出来たかもしれないじゃないか!無駄な血を流す必要もなかったかもしれないだろ!」
ミヒャエルが真継に滝のように言葉で攻め立てる。
「聞いているのか真継!」
「お前は本当にいつ息継ぎをしているんだ」
「聞いていないのか!お前は!」
「あー、嫌味なら後から聞く。とりあえず、今は帰ろう。
ノエルの手料理でも食べて、ゆっくりしたい。
というか、俺、限界だ。ついたら起こしてくれ」
真継は一瞬で眠りに落ちる。
結局真継は言いたいことだけ言って勝手に眠りについたそう軽く思っていた。
だが、真継のダメージは深刻だった。




