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狂信なる純愛

そのあまりの衝撃にあたりに転がる残骸が吹き飛び炎は消え、

円形のコロッセオの様に二人を中心に空間が出来る。

あの日敗北し、フロッカスを追われる事となったユーリエ。

ケレスが敗北し、不安に思う女性たちを安心させる為、

彼は商人に紛れアラビスを抜け、現在もケレスの支配下にあるリナリアに向かった。

そこでケレスの有力者を脅し、彼女たちに一生困らないだけの富を渡し、案して暮らせることを確認すると、一人、ケレスの高官に接触した。

真継への復讐心に燃える彼の心を彼女たちは何とか忘れさせようとしたが、

それでもユーリエの心は変わらなかった。

それはユーリエの心の中にあやめを取り戻すという絶対に譲れない信念があったからだ。

だから、彼女たちは彼を送り出すことにした。自分たちはここで待っているだから、

勝って、絶対に帰ってきてください。あやめさんと一緒に、

ユーリエはリナリアよりこのケレスの母艦にやってきた直後で、覇機の存在を知りった。

そして声なき声に従いそして覇機に対面し感じ取った、自分がこれを必要とし、これが自分を必要としている。もう戻れない選択である、瞬時に理解した。

だが、彼は自らの魂を差し出した、その身を投げ出した、自分の全てを安売りした。

そこまでして求めた力。すべては真継を倒す為、そしてその先にあるあやめを救い出すため、これはあやめを真継という楔から解き放つための戦いだ。

彼女はこんな残酷な世界は似合わない。

あやめをこの化け物から救う、それだけがユーリエでなくなってしまったユーリエに残された唯一の意思であり、それだけか、彼がまだ人である証明だった。

お互いの衝撃をお互いの殺すことが出来ずに、二人ははるか後方に吹き飛んだ、実力は互角、いや、真継の方が不利、今の一撃迷いも、隙もなかった。完璧な一撃だった。

だが、機人よりも固い素材で作られているはずの幻手甲にヒビが入っている。

「この俺の技を超えるか、見事」

「真継様!この音は何かありましたか!!」

母艦から脱出した状況のわからないあやめが、真継の気配と、先ほどの衝撃を感じ取り駆け付けた。

「あやめ!離れていろ!これは俺の戦いだ」

「ア、ヤ、メ、アヤメ!!」

曇りながらもそれはユーリエの声、、あやめの声に反応し、突然背後に現れ、あやめを掴む。

「その図体で消えるか!その黒い羽といい、まさしくカラス天狗だな!」

あやめはなぜ捕まったかが理解できない。

だが、今、自分は真継の戦いを邪魔をしたという事実があ瞬間的に一つを結論を導き出す

それはこれ以上邪魔をしないように自らの命を絶たなけれならないという義務。

あやめは自由の効かない状況で、影蜂を自らの喉に突き立てようとする。

これはあくまでコンピューターウイルス、人には効果はなく、その針も鋭くはない。

つまりは即死ではない。だからこそだ、あやめは確実に殺せるように、勢いをつけて刺そうとする。

『やめんか!きさん!なんばしよっとか!!!!!』

それは真継の叫び声、今までとは違う純粋な怒りのみの感情

「ですが、このままでは真継様の邪魔に、、、」

『俺はお前にそんな事をさせる為に助けたっちゃないとぞ!

お前が捕まったのは俺のせいたい!お前は何も心配せんで待っとき』

真継は元々あやめに戦う事を望んでいない。ただそれでも自分についてくるあやめに、

最低でも自分の身を守るだけの力を持つことは否定しない

戦いが終わった後、彼はあやめに自分の新しい生き方を見つけるようにと、ついてくると言って聞かない彼女を頑として譲らず、一人この地にやってきた。

だが、それでもあやめは自分を追って異国の地までやってきた。

だからこそもう否定はしない。その覚悟は本物だ。

友との約束を、己が闘争よりも、彼女を大事にすることが出来ない真継。

ならばこそだ、戦う限り、傍にいるあやめは守り抜く、

『お前は俺の邪魔になると思ったか!俺をなめるな!俺の事を好いてくれる女の一人くらい守れんでなんが最強か!少し待っとき、すぐに助けちゃるけんね』

「はい、」

その言葉で十分だ、もし死ぬ事になっても、私はそこまで真継様に思われているとわかっただけでも本望だ。でも、願わくばそんな真継の傍に。

子供の頃に神仏を捨て、神が真継の紛い物であるはずの、あやめがノエルのタリスマンを取出し、ノエルの見様見真似で祈るように目をつぶる。


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