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雷神

大公の寝室につくと恰好はあれだが、お付きの者ともども無事。

ミヒャエルは兵士たちにスノウがやられたこととカーク達が裏切り者である事を告げる。

この基地にいるのは忠義に熱き兵ども、カークの護衛などものともせず、全員を捕える。

対応が早かった故、スノウは一命を取り留めることが出来た。とは言え、カークからこの基地の情報が漏れてしまった。ケレスの母艦到着まで時間がない。

どうする、、良策などないという前提の元、知略を巡らすミヒャエル。どうやった所で勝ち目はなく、大公の体力で、この寒さの山脈を暗がりの中、けもの道ので逃すことは不可能、時間稼ぎも逃亡も不可、打つ手なし、そのタイミングでサスケが早馬に乗って到着する。

「サスケ!無事だったのか!」

「ありゃ、少し遅かった?」

「いや、問題ない。今裏切り者を捕え終わった所だ。それより無事でよかった」

「ごめんごめん、少し手間取って、でもおかげで問題なし。すべては僕らの手中の中さ、、天気もいい感じの嵐、これで大丈夫でしょ。僕たちの役目は終わりだよ」

「という事は?」

「あぁ、上策なりけり、流れは違ったけど結果は最良さ。場所も良しだ。問題ない」

それを聞いてミヒャエルの眉間からしわが消え、サスケへの謝辞の後、笑みが見える

「どういう事だ!大丈夫だと?何を言っている間もなく、ここには私の情報で、ケレスの大部隊が到着するんだ。その数優に300!いくらお前が強かろうが、その数はどうする事も出来まい!」

「あぁ、ケレスの空母ならだいぶ前から上空にいるよ。すごいなあれ、この山よりも高い位置で飛べるんだから、ところで、俺が頼んでたあれ、ちゃんと高い場所においてくれか?」

「あぁ、一応、山頂においてもらっている」

「それならばばっちりだな、ミヒャエル。かなり予想外だったけど、事ここに至っては、奇跡に頼る必要もなくなった。これは必然だ。天候は大荒れ、上空にはケレスの空母、敵の戦力のがここに集中している。そして、手順は変わったが、計画通り、つまりは、、」

「僕たちの勝ちだ」

「な、何を言っている!!」

「ほらお出ましだよ」

雨の中、空を見上げとそこには不気味な光が雲の中から見える

「流石にこの距離だとでかいな、あれが、主砲か?」

「あぁ、首都ではさんざんやってくれたよ、流石にあれはやばかったな、ギリギリで交わすのが僕の趣味だけど、あれギリギリじゃ躱せないし、超早いし、威力もヤバいし、」

サスケは腹が減ったと呑気に見張り小屋から食料を持ってきて軒先で空を見上げている。

「な、何をしている!貴様らここにいては殺させるぞ!早くこれをほどけ!!」

「問題ないんだろ、サスケ」

「あぁ、全く、既に中だ。中々苦労したよ、壊さず、気づかれず、中の操縦者を殺さず、機人を捕獲するのは、」

光が強くなり、放とうとした瞬間、すさまじい爆音響、そして雲全体に雷光が広がる。

そして、徐々に大きな音とともに雲からその巨体を現す。

基地のほぼ直上に現れた船は風に揺られ、山脈の間に巨大空母が引っ掛かる

その振動はすさまじく、まるで地震のように揺れる。

「流石にこの規模だと毒が回るのに時間がかかるね、で、どうだろこの大きさは」

「悪いサスケ、、俺ちょっと怖いんだけど、、、本当に大丈夫だよな」

「なんなら殺してあげましょうか?これだけの力があれば、世界は私と真継様だけの物」

母艦のスピーカーからあやめの声が聞こえてくる。しかも声がマジだ。

「いいご身分ね、サスケ」

「いや、俺働いたよ!そこまで行けたの誰のおかげ!思い出して!」

「どういう事だ、なぜおまえたちの仲間の女があの船に!それになぜ船が落ちた!」

「本当はもっとスマートにやるつもりだったんですけどね。サスケが何とかあの状況で首都で機人を無傷で捕獲。その後、彼女らを乗せて帰還させる」

「馬鹿な!機人はケレスの人間にしか動かせないはず」

「方法はいくつでもあるさ、あれはあくまで生体認証、眼球を抉って、皮膚をはでもいいんだけど、指の一、二本を折って殺すと脅せば、操縦位させられるさ」

「後はあやめさんの力があれば、あの規模の船であれ、壊すことが出来る」

「そりゃ元ケレスの最高技術責任者お手製のコンピューターウイルス影蜂。いくら対策しようが、結局開発者しか知らない裏コードで入ってるんだもの、防ぎようがないんだよ。もっとも、あの規模、それなりに時間がかかったみたいだけど」

「失礼ね、とっくの前に指揮権は奪っているわよ。ただぎりぎりまで間に合わなかったように見せかけてあなたたちを処分しようかとも思ったけど、ヘレンとノエルと約束したから、仕方なくね、彼女たちを悲しませると真継様が約束を破った事になるわ。それに何より。ほら、いよいよよ。こうべを垂れ感謝しなさい。真継様の御威光に」

「天撃:外道技、轟雷撃」

母艦の中心部分、動力炉近辺の壁がぶち破られ、凄まじい雷を携えた何かが出てくる。

「この船を落とすのも、あなた達の如何を決めるのも真継様よ。あぁ、なんて神々しいお姿、ユー君の時に見せた柔なる技の真継様のお姿も素敵でしたが、やはり、真継様にはあの力で、道理も、常識も、不可能も、全てを蹂躙する姿こそがふさわしい」

「充電完了。限界突破、さて続けていくぞ。しかし寒いなここ。寒いのは好かん」

真継の全身を雷が駆け巡り、黄金の具足から凄まじい雷撃を発し、手甲の中心部分ではディスクがものすごい速度で回転し、まるで雷神の化身のようなものが背後に現れている。

「あれだけの船。壊すなら内部から、そしてもう一つ、真継の幻手甲と迅飛脚のエネルギーをチャージする事。あれ程のエネルギーは他にないからね」

動力炉から限界以上にエネルギーを奪った真継は、迅飛脚をフル稼働させ、まさしく雷の如く空をかけ、次々に船から逃げ出す機人を撃破していく。幻手甲の力使った真継の天撃。もはや敵なし、どころではない、まるで紙屑のように敵が次々に敗れ去っていく。

「サスケ、ミヒャエル、少々予定変更だ」


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