裏切り
目を覚ましたミヒャエル、窓から外を見ると雨はさらに激しさをましている。
この暗さ、真夜中であろうか、時計を確認すると、襲撃から2日午前5時を指していた。頭が痛い、最初に口にしたお酒のせいか、あの程度で、、だが、他に考えられる可能性はない、それに、これは、何だよこの汗、、
ミヒャエルは渇いたのどを潤すために、扉を開く、するとそこにはカークがいる
「カーク殿!こちらにいらしていたのですか!ご無事で何より、、、、」
ミヒャエルはカーク達の凍りついた表情、そして足元に倒れ込むスノウの姿。
それが何を意味するのかミヒャエルは瞬時に理解した。
「あなたが裏切り者でしたか、流石にこれは予想外ですよ」
「ふむ、本当に目ざといガキだ。なぜケレス側の人間がいるとわかった?」
「、、、、」
スノウの体、上下している、つまりはまだ呼吸をしている、スノウは生きている。
なら今すべきは注意をこちらに向け時間を稼ぐ事だ。
「あなたがそうであるように、僕たちもケレス側に内通者を見つけ、利用したんですよ。
ケレス軍のフロッカス駐留部隊の指揮官が重傷とは言え、無事本国に帰還したことを疑問に思っていなかったのですかケレス軍は?生かしてあげたんですよ、こちらの駒としてね」
「まさかアギトス殿が裏切を何故?」
「簡単な事です、彼がこっちで作った愛人とその息子を人質にとったんです。本国では妻に愛想を尽かされ、子供にも恵まれていないあの男を利用することなどたやすい事です。
もっとも、連絡手段が十分ではありませんし、既に敗北の将である彼に十分な情報は行き届いていませんでしたが、流石にあんな巨大戦艦が来る事は聞いていませんでしたし、
本来の策も全くと言っていいほどつかえていません。全く使えない男でしたよ。
でも、裏切り者がいる事も知っていましたし、それがある程度近しいものであることも分かっていました。だってケレス軍が知るはずもない、大公様が未来予知の能力者でる事を既に知っていたんですから、」
「、、、全くやってくれる。貴様は人の国で好き勝手に、」
「自国を守るためです、その為にフロッカスには盾になってもらわねば、」
「だが、残念だったな。この状況では既にお前に勝ち目はない、間もなく、こちらにはケレス全軍が押し寄せてくる。どうあがこうがお前は死ぬ」
「そう、そしてあなた達も、ね」
「何を馬鹿な。私たちはこの戦いの功労者だぞ、ケレス軍が首都に進攻できるように、兵力を分散させ、お前の策が機能しないように裏工作もした。これは私の終わりではない、」
「最初の一撃で気づけよ。無能が、これは選別の為の戦いじゃない。反逆者への殲滅戦だ。
大公様を確保するのが目的なら、首都の襲撃の空爆はあり得ない。
それこそ隠密にすれば済む話だ。これは他の国に対する見せしめでもある。
ケレスに刃向う事、奇跡が起き、一矢報いることが出来たところで何もかわならないそう示すための殲滅戦さ。
あの時の慌て様、あなたもあの襲撃は聞かされていなかったのだろう、それが答えさ、
さて、カーク殿どうだろうか、考え直すという手もあるぞ、今のこの状況、裏切りを言っているのは僕だけだ、僕は何も見ていないそうする事もできなくはない」
ミヒャエルは、ティーカップを手に取り、冷めきったお茶を入れ、余裕を見せ、自然を装いながら体の位置を入れ替える。元々、この男が再度寝返るはずもない。
「すべては見せしめ。だからこそ、大公も、僕も、そしてあなたも、誰も残らず殺す必要がある。そうする事で恐怖の支配を強められる。さぁ、どうする、最も、僕はあなたのような裏切り者のクズを許す気はないけどね」
「お逃げください!ミヒャエル殿!!!大公様をお頼み申す!!」
スノウは最後の力を振り絞り、剣を抜く、突然の背後からの襲撃。ミヒャエルはその隙を突き扉を開け、大公の所へ向かう。
目が覚めるのが早くてよかった、入り口の見張り小屋で眠っていてよかった。
彼らのあのずぶ濡れの格好。それにこの馬の様子、まだ大公には魔の手は及んでいないはず。ミヒャエルは一目散に大公の元に向かう。




