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ケレスの影②

ミヒャエルは町中で機人の内部が開かれる瞬間、無残な姿となった娘を母親が目撃した現場に居合わせた。

結婚を控えこれから幸せになれると思っていた直前に行方不明になり、揚句このような姿で、

一方的に攻め込まれ、それでもなお小さな幸せを求めていただけなのに、どうして

「彼女はおそらく特殊能力者です」

「能力者?」

「彼らがこの世界に来た理由の一つ。

彼らは科学技術という形で進化した別世界の人間です。

それに比べて僕たちは技術による進化ではなく生物としての進化に優れている。

ユーリエやあやめは僕や君のような普通の人間とは違い、不思議な力を持っている。

ユーリエは人の恐怖心を具現化することが出来、あやめは老いることはない。

君の所の姫様もそう、先代は賢王などと呼ばれているが、彼らの一族は他人の精神とつながることが出来る。まぁ、先代は人の悪意を知っていた為それをうまく使いこなせていたが、あの年ごとの御嬢さんに、力の使い方もその意味もかかっていない状況で、君たち政治家の薄暗い腹の内が聞こえてしまうというのは、酷だよね。

あぁ言う性格になってしまうのも仕方ないことです」

「アネット様や先王にそのような力が……でもそれは、魔女や、モンスターと呼ばれるような類の物じゃないのか?」

「君たちの社会で能力者がどのように扱われているかは知らないし、その結果目覚めた能力により、社会での待遇がどう変わったかもそれは僕の知るところじゃない。

要は、彼らは僕たち人間の進化の形の一端ですよ」

姿が変わるものは化け物と呼ばれ、恐怖を覚えるほど強い力は悪魔と呼ばれる。

そして人知れずその力を使うものは天才と呼ばれるただそれだけの事か、

「真継もか?」

「いや、違うんだよな、これが、あれどう見ても化け物でしょ。でも彼はただの人間。

狂気染みた修練と、修羅場だけの人生の経験、そして信念の結果。

まぁ、あの丈夫さには若干疑問はあるけれど、彼はただ努力だけで人間の限界をはるかに超えてしまった存在で、遺伝もしない進化とは別の存在。

だからこそ、最高にたちが悪いんですよ。

で、話を戻しますが、科学の進化に特化した知識の蓄積という進化の形をとっていたケレスの人たちは科学技術で行き詰まった。でも、最後に作り出したのがこうして世界を渡る技術、ケレス出身の狂楽の話だとケレスの元あった世界は、球体の上に人々が暮らしていて宇宙っていう所にその球体が本当に無限に近い数があるんだって、だったらわざわざこっちに来るなって話だけど、そんな彼らでも、命を永遠にすることや、死んだ命を蘇らせること、この世とあの世を行き来する事も出来なかった。

それはあっちの世界の法則では無理な事で、可逆と不変の否定の真理だったかな。

つまりはそういう事で、その類のことが出来ないけど、こっちの世界ではそういうのが多少は可能な世界だそうですよ、だから彼らは広い世界からこっちの世界にやってきた。

そして能力者は彼らの研究の中で、その自分たちにはない未知の領域に脚を踏み入れられる事の出来る存在として目をつけ研究をしている」

「それがケレスの人狩りの目的か」

「そう、だから自分たちに有益な能力者は捉えられ、ケレス本国で研究される。そしてその一方で不要と判断された戦闘向けの能力者はあぁして機人に取り込むことで兵器開発の道具として利用される。それか、彼らがこの世界で勢力を拡大している理由。

支配したいんじゃなくて能力者を探しているんだ。だからこうして時間をかけて追い込み、未覚醒の能力者が極限状態で覚醒するのを待っている。……君は本当にそういう顔がよく似合うね」

怒りと憎悪に満ちた表情を見せるミヒャエルにサスケは笑う。

「理解したかい?文化、いや生き物としての進化の違いだ。そしてそれがケレスだ。今頃、彼らの本国にフロッカス駐留軍壊滅の報は入っているだろう、」

「分かっている、すぐにでも軍議を開始する。もちろん君にも真継にも協力してもらう。

予測される戦力は?」

「どうだろうね。ただ僕はそれほど多くないと思うよ。機人をただの人間に壊せるはずがないそれが出来るのは魔王のいた僕たちの国だけだ。だから彼らはこの原因が能力者だと考えている。おそらく来るのは少数精鋭。本物の悪魔共だよ。

さぁ、どうする?望むべくもなく神の奇跡を待ち祈るか、僕たち悪魔の手を取るか、」

「神の奇跡、悪魔の手、ふざけるな、そんなものの一つや二つ俺の知略でねじ伏せてやる」

「いいね、なるほど、真継が君に従う訳だ。いいだろう僕の知っている限りの情報を教えよう。君はそのまま、そのまま強くなるといい。それだけが、ケレスの悪魔を払い、真継のような化け物を殺せる唯一の術だ。人を捨てるな、神にすがるな、化け物になるな。だ」


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