WAR③
「知っているのか!」
その名前に、一瞬手が止まる
「えぇ、かなり前から、物事の準備は大事なんで、あの人はあぁ、見えて素直で熱血漢で、人がいいんで利用しやすいかなって、目をつけていたんだよ。」
サスケが笑う。そしてサスケの後ろには青色の煙がはるか遠方より上がっている。
「あれは何の狼煙だ」
「思ってたより早かったですね。
我首都奪還せり、大公は無事。これよりアラビス軍と協力し反撃を開始する。です
この戦いはアラビスの防衛線なんかじゃありません。最初からこれは挟撃戦ですよ。
間もなくこの戦いは終わります。今王都で元フロッカスの軍人たちが蜂起し、ケレス軍の撃退に成功。首都を囲むアラビス軍とと共にすぐに鎮圧され、あと一刻もすれば、こちらにも向かってくるでしょう」
「どういう事だ?」
「いくら強かろうが、数が少なければ目が届かず、力による支配は反発を招く、
一国を手中に収めるに武力だけではあまりに不足。
それはあなたもよく分かっているでしょう?武と恐怖による治世は長続きはしない。
ましてや、ケレス軍はフロッカスの人を人とも思わず傍若無人にふるまい。
いつもの様に人さらい。人を実験動物のように扱う。小国だと思い甘く見ましたね。故に結果は見えています」
サスケの指示に従い降りかかる火の粉を払いながら、真継は移動し、約束の場所だという大岩に腰かけ一息つく、流石の真継も息は絶え絶え、で、かなり疲れた表情だ。
「無事か、真継!」
しばらくすると戦場に護衛兵をつけ、沈静化し始めた戦場にミヒャエルがやってくる。
「……どういう事だこれは?」
「見ての通りだ。あぁ、サスケさんも一緒に、それより、この戦いは間もなく終わる。
いや、既にケレス軍は敗北している。だから僕が出てきた。これ以上犠牲を出さない為にも、一気に敵本陣に向かう、ついてこい真継。俺を守れ!」
「だが、敵本陣はどこか分からないんだろう」
「あぁ、それなら問題なし、僕が分かるし、何のために僕がいると思っているの、ここで待ち合わせしたのは僕と彼だよ。君じゃない。もし、ケレスの本陣が移動していたとしてもほらあれ、僕の鳥。逃げても無駄だよ」
「偉そうなのは気に入らんが、道中護衛してやるから事情を説明しろ」
「分かった乗れ!」
ミヒャエルは真継を後ろに乗せると、敵本陣に向けて馬を走らせる
「かなり前から、対ケレスの為、僕たちはフロッカスの奪還をもくろむケレス抵抗軍と内通していた。本来であれば、徐々に仲間を増やし、内部からの瓦解を目指していたが、ケレス本国から思わぬ使者が送られてきた」
「真継が戦ったでしょ、新型の機人。あの新型作った研究チームがイカれていてね。勝手にそっちに攻め込むは、何とか穏便に戦火を広げないようにしていたフロッカスの軍人たちの事ガン無視で、戦果を広げていったわけですよ」
「戦火を広げないことを条件にフロッカスの抵抗軍に協力してたけどさ、ここ事がここに及んでは、計画は本当なら、御破算になるはずだった。
だが、それではなお状況を悪化させるだけ、
だから僕は協力破棄を進言する宰相の嫡男の誘拐に手を貸した。
敵国に自分の息子が囚われ、その命の如何を抵抗軍なら救うことが出来る。
そういう状況にすれば容易に同盟破棄もできない」
「あー、あの時いたあいつか」
「そう、真継が初めてこの戦争に介入した時の話だよ。まぁ、真継に見つかったおかげで、体よく余計な上司を処分できた。あのケレス新派の上司は予想外だったらしくてね。いやー危なかったよ。本当にアラビスに対しての人質として使われるところだったわけだから。
で、俺はその抵抗軍からの報告と真継が壊した機人で、君がそっちにいる事を察して、僕が特使として赴いた。そこで僕はミヒャエルとお知り合いなわけ。
君が王都で暇そうにしてる時の話だよ。」
「なんでお前がそこまでする?」
「僕の役目は君の様子を見てくる事と、同盟国であるフロッカスの救援。すでに国はなくとも、そこに生きる人の心はまだ死んではいない。協力するのは当然さ、忍びの俺は一度受けた依頼は完遂するのがモットーだからね。
全部最初から計画済みなんですよ。僕たちに協力する気のあるフロッカスの軍人たちは早々に敗北し怪我をしているふりをさせ首都に待機。
フロッカスの主戦力を失ったケレス軍は自ら直接アラビスへの侵攻作成を開始する。
その時を待ち首都で反乱。首都奪還後、アラビス軍と協力し、ケレス軍を撃つ。
真継が最初に介入した戦は、本来は機人をアラビス軍でどれくらい抑え込めるかのシュミレーションだったんですけどあなたが出て来て御破算。
戦線も予定よりもずっとフロッカス寄りになってしまった」
「だが、真継がいてくれたおかげで、抵抗軍の負傷は真実味を帯びた。
とは言え君が茶番を演じる訳もなく、戦わせる訳にもかなかったら、多少君の存在を君のいないところで利用させてもらったけどね」
「つまりは俺の知らないところで俺が戦ったことになっているのか」
「まぁ、そういう事です。僕たちが、ミヒャエルに情報を流し、こちらに組みしないケレス寄りの人たちに真継をぶつけさせた。結果、短期間でケレスの戦力をそぎ落とし、
こちらの戦力を蓄える事が出来た。それに真継がいる事で、本来ここで防衛線を張るために大多数のアラビス軍を要する予定だったけど、その分フロッカスの奪還に回すことが出来予定よりも早い首都奪還がなった」
「だが、ここに集中させているとはいえ、最低限の鬼は敵の本丸にもまだいるのだろう」
「搭乗型だけ、おびき出せればそれでいいんですよ。
遠隔型は僕の絡繰:混沌籠絡玉鈴音でジャミングかけて操作不能になりますし、
生体ユニット型はあやめの絡繰:影蜂を量産制式化したコンピューターウイルスを含んだ弾をかなりに持ってきて渡してあります。それを込めた重火器で機人の回路部分にかすりでもすればそれでいい、それなら彼らでも対抗できる。
そしてどうにもならない搭乗型が残るようなら僕は向こうに残る予定だったそれだけの事」
「あやめも来ているのか?懐かしいな、元気にしているか?」
「まぁ、一応。今は別の場所で適当に戦っているでしょう。後から会えますよ。
今はとりあえず、あそこの大将首を排除して、降伏を迫りましょうか」
「了解した。だが、ミヒャエルそうならそうと、最初から説明しろ」
「命令を聞く気のない猪武者に細かな作戦を与えるだけ無駄。そう教えたんですよ
もし、こんな作戦知っていたらどうしますか?小賢しいや気に入らないと言って好き勝手にされるでしょう。もしそれで勝てても、それじゃダメなんですよ。
犠牲は出るし、あなた一人で力づくで何とかしても、それじゃ次につながらない」
「フロッカスにもアラビスにも自分たちの力でケレスは倒せるんだ、そういう事実が必要なんだ。君一人片付けられても、それじゃ、何も変わらない」
「さて、見えてきましたよどうします最後の締めですが、」
「大将首はいつだって俺のものだ」
「その体、実はかなりガタが来てるでしょう?」
「あぁ、本気で強いのが2匹ほどいたからな。だが、四肢は健在、血もまだ足りている。それにお前らのせいで俺の怒りは天を突くところだ」
「あぁ、それは困る、こっちにその怒りがかかる前に発散してくださいよ」




