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side:ケレス②

翌日、サスケは首都で一番大きな屋敷を訪れていた。

神々の伝説を模した趣味の悪い巨大像や彫刻が、ピンクの服を着せられていたり、

あちらこちらに無秩序に花が植えられ、野放しになった兎が芝生に穴を掘る。

この混沌とした屋敷に真昼から異常に目立つ全身黒づくめに、なぜか赤の異常に長いマフラーをつけ腰には異国の刀を携えた近寄りがたい格好をしたサスケが入っていく。

対極にある異様な風景と異様な風貌の男はまさしく異質な組み合わせだ。

彼はピンクや赤の派手な色で彩られた花で満たされた庭を抜け、玄関のドアを叩く。

すると重い玄関を一生懸命小さなドレスを着た女の子が開けて出迎える。

「あ、サスケ君だ!久しぶり。遊びに来てってっても、来なかったのに、どうしたの?

ってユーリエ様に用事なんだよね。呼んで来ようか?」

「いいよ。どうせ、ベットルームだろ?邪魔をすると嫌がられる伝言だけで構わないよ。」

サスケは伝言だけを伝えると歩いてきたのにもかかわらず、目を離した一瞬に忍びらしく消えるようにいなくなった。

伝言を忘れない内にと、口に出して繰り返しながら、階段を駆け上がり2階のユーリエの寝室のドアを叩く。

「ユーリエ様、入っていいですか?」

「もちろんだよ。トレニア」

トレニアがドアを開けると薄着の女性4人に囲まれ、膝枕の上でユーリエが、絨毯の上に寝転がっている。この部屋は全面に絨毯が張られ、あちらこちらに物が置かれている。

ベットも立派なものがあるにもかかわらずベットの上には脱ぎちらかされた服で物置状態だ。

「さっき、珍しくサスケ君が来ていたね」

「よく分かりましたね。流石ユーリエ様!」

「僕じゃないよ、あやめの言う通りだ。同郷の者同士、惹かれあうものでもあるのかい?」

「冗談、私は耳がいいだけよ。それより、ユー君動かないで、大きいのが取れそう」

異国の装束に身を包んだあやめが膝の上に載ったユーリエの耳からアカを取り出す。

あやめは頭を反対側に向けるように指示し、ユーリエは顔をあやめのお腹側に向ける。

ついつい触りたくなった、ユーリエはあやめの脇腹を触り叩かれ、膝枕を中断される。

ユーリエは仕方なく、座り直し、真面目にトレニアの聞くことにした。

「それで用件って?」

「は、はい。えっと、、、たぶんもうそろそろ、ユーリエ様にケレスから戦争に出陣のお声掛けがかかるだろうって、それで、えっと、、」

「ふーん、ま、どうでもいいけど、それよりトレニアもこっちにおいで、」

トレニアは喜び体を起こしたユーリエの膝の間に座り、頭を撫でられる。

「ユーリエ君、出陣って、戦争にユーリエ君が行くってことだよね」

「そんなに心配しないで、それよりミントさんは次に欲しいものだけ考えておいて、次は何を奪おうか。そうだ、ジェレミア公爵の庭園バラが綺麗だったな、とりあえずはあれがいいね。あそこを奪い取って今度はみんなでピクニックでもしようか」

「ユーリエ様、私妹が欲しい」

「これ以上増えてどうするんだい?でも、誰か助けたい人がいるんだね?いいよ、僕は女の子には甘いから、連れておいで、その子のための家でも貰うか、怯え媚を売るだけで脳のない元フロッカスの公国民どもの財産なんか根こそぎ奪ってしまえばいいんだ。

だっておかしいよね、君たちがつらい目にあって、あんな奴らが偉そうにするなんて」

「でも、ケレスが来てくれて、ユーリエ君が認められてすべてが変わった」

「まだだよ、ミントさん。僕はまだまだ偉くなる。この程度じゃおさまらないよ。

そのためにも戦争はいい。

僕たちを物として扱ったあいつらを、戦場の事故として殺せる。それでみんな幸せさ。優しい人のための世界、それにまた一歩近づく為に、僕は努力を惜しまないよ。でも、僕に声がかかるなんて珍しいね。強い奴でもいたのかな」

「ねぇ、ユー君もし、そうなったら私も行っていいかな?」

「ダメだよ。危ないから、それに女の子に戦場は似合わないよ。って言いたいところだけど、あやめさんは強いし、いう事を聞いてくれる人じゃないよね。その代わり、、」

「えぇ、いいわよ、一人じゃ、不安で眠れないんでしょ?戦争中の添い寝位してあげるわ、ユー君の寝顔カワイイし、傍で見るの嫌いじゃないし、」

「ありがと、でもどうしたの」

「ちょっと気になる事があってね。ちょっとした女の勘よ」

あやめは立ち上がり窓からはるか遠方のアラビスの空を見つめる。

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