side:ケレス①
元フロッカス首都内ケレス軍フロッカス支部
「なんだと、第6部隊が壊滅!しかも、あの試作機人4機も全壊だと!!」
「はい、念のために躯を城門の外には運んでおりますが、見るも無残な姿に、、」
慌ててケレス本国より作戦指揮を任されている男が慌てて城外へ赴く。
そこにはこの時代の武器ではかすり傷一つつかないはずの機人が、ボロボロの姿で運ばれてきている。
「ばかなラズヴェート博士の自信作だぞ、ラズヴェート博士は?」
「それが、あの、、、すでに、、、」
白色の試作機人の一体の腹部が赤く黒く染まりそれが何を意味しているのか明白だった
「、、、頭がないぞどういう事だ」
「それは分かりませんが、、、、」
「僕たちの国では大将首は取る者ですから。あぁ、何となく嫌な予感はしてたんですよ。やっぱり、そっちにいたんですか」
突然音もなく現れた青年がその首のない機人を見てため息をつく。
「心当たりがあるのか」
「えぇ、知り合いのとびっきりの化け物の仕業ですよ」
「貴様らの国の出の者の仕業か、という事は魔王の兵器かなにかで、」
「違いますね。あれはその魔王を殺した化け物の純粋な暴力によるものですよ。
さてさてどうなる事やら、あなたの器じゃ無理ですよ、早めに本国に救援を求めては?」
「ガキが!猿の分際で私を侮辱するつもりか!」
「ガキか、猿かどっちかにしてくださいよ。ただ忠告しただけですよ。年下の言う事は素直に聞いておくべきですよ。もっとも、僕はあくまでフロッカスの客人。ケレスの人間であるあなた対して尽くす礼はありませんので、本当に侮辱しているだけかもですね」
男は問答無用で、懐から銃を取出し青年に向けるが、時すでに遅し、青年は消えている。
「あの、この事あやめには黙っておいてくださいね。きっとひどい事になりますから」
どこからともなく声が聞こえる。周りの者も皆辺りを見回すが影も見当たらない。
彼の名はサスケ。真継と同じくフロッカスを目指した同郷の忍。
彼とその同行人あやめもまた、瑠璃姫の命を受けフロッカスに特使として訪れていた。
が、彼らがついたころにはフロッカスは既になく、現在はこのケレスとなっていた。
あやめは自由気ままに行動し、真継を待ち、サスケはこの国の客将という立場で身を置きながら、こうしてケレスに入る情報をチェックしている。
ケレス軍にとっては自由に動かれることは不快極まりないが、実害はなく、何より彼らはケレスにとっても未知の技術を有した不確定要素。
フロッカスへの特使という事もあり、元フロッカスの人間に彼らの管理は任されていた。
「サスケ殿、あのように勝手に動かれては困ります。我らにも立場というものがある」
見張塔に現れたサスケに初老の男が話しかける。
「流石、良く僕がここに現れると、分かりましたね。
でも、あぁ言っておけば、安いプライドが邪魔して救援を求めることなく戦力が増える事もない、もっともここはケレスにとって小規模の局地戦。そうしなくても援軍はないでしょうから、半分以上は趣味で言っていますが、
さて、ケレス軍名誉将校元フロッカス軍最高指揮官ザイン=ジャッカルさん。
あなたは選択を迫られそうですよ。
僕は僕のやるべきことを、あなた達はその時に備え、ま、頑張ってください。
僕がこのリボンの意味も、腹の内も何も知らないとでも?
ご心配なく利害は一致していますよ。
それじゃ今夜、あなた方の言う例の場所でお会いしましょう」
「な、サスケ殿、あなたは一体どこまで、、」
サスケは見張塔から再び消えるようにいなくなった。