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帰宅②

ヘレンは初対面で無理矢理連れ出そうとする真継に、そうやって断り、

真継自身が悪いと思わされた。

それは怒った時の瑠璃姫と同じ、瑠璃姫はそれを自然体でやってのけていたが、ヘレンは頭を回してそれをやる。

この日真継は食事中も、ヘレンから、つきっきりでマナーが悪いや、もう少し落ち着くよう、ミヒャエルを困らせるな、礼儀がなっていないとかさんざん説教を受けていた。

結果、真継が食事が終わったころにはすっかり元気をなくしていた。

だが、食後にアルノー達が、真継にみんなを守るために戦い方を教えてくれと頼み

それに付き合い子供たちとたちあっている内に、だんだんテンションが元に戻っていく。

悪魔の様に笑い。楽しそうにアルノー達を吹き飛ばす。

加減はしているが怪我をさせないようにはしていない。

戦い方を教えるというより、化け物をどう倒すかそれを自分たちで考える。

その為にアルノーはかつてないほど真剣に戦いを意識し、ロイズはかつてないほど真剣に、この化け物に一矢報いる術を考え、二人は、今この瞬間に今までのどれだけの彼らの『特訓』よりも効果的に彼らを強くしていた。

「さて、どうする?まだやるか?」

結果この化け物は息一つ切らさず、隙一つ見せず、一糸どころか報いるどころではないほどまでの力の差を見せつけされ、二人はもはや根性ですら立ち上がることが出来なくなり、向こう一週間子供の体力と回復力をもってしてもまともに歩く事もできなくなっていた。

目の前の化け物はやはり化け物だったという再認識。

そして本物の殺意を体感した二人。

「やめとくよ、すっげえな、全然ダメだ」

「あぁ、話にもならん。その気になれば一瞬どころか殺気ですら殺せる」

「でも、これで分かったよ。僕たちは大人になれば強くなるなんて思ってたけど、それじゃ遅いって、、もし真継さんに勝とうとするなら、今から強くならなくちゃって」

「ほう、俺に勝つことをあきらめていないのか?」

「だって真継さんより強くなれば、誰にだって負けないでしょう?」

「あぁ、そうだ」

真継は断言する。

「そうすれば、誰が来ても何が来ても、負ける事はない」

「あぁ、そうだ」

「それに僕たちは一人じゃない、皆で勝てるようになればいい。

そうして今から強くなって、大人になる頃には、強い人たちと仲間になれるようになればいい

それに僕たちの体も大きくなって、その頃には真継さんは老いて弱っている」

「そうだな、常に強者とは強者でい続ける事はない。

俺が殺した、倒した相手の中にも俺よりかつては強かった者もいたかもしれない。

だが、そういう巡りあわせではなかった。

そしてそれはお前たちも同じ、お前たちが一番強くなる時に、今の俺が出会えるわけもない。

いいだろう、今この瞬間からお前たちの復讐を待つ。いつでもこい。

俺は武の頂で待っているぞ。これはその時のための標だ。見ておけ」

真継は両手を構え、精神統一を始める。

「これが我が武、我が技。天撃:黒振撃」

空を打撃した真継の拳は黒い稲光放ちながら、空に歪みを入れる。

「俺が名をつけた技には全て天撃と称している。そしてこれはその中でも特別。修練の果て、武の極み、魔王を屠った技だ。最もさらに上を目指し続けるが、現行でこれを超える技はないし、考えてはいるが俺の体が持ちもしない、それにこれに耐えられる存在も俺は知らない」

「、、、すっげえ、、化け物だな」

「あぁ、そうだ。それが俺だ。俺を倒すなら、この技を超える武を身につけろ」

真継は動けなくなった二人の首根っこをつかみをヘレンの元に運ぶと、説教をされる前に、さっさと逃げ出す。

その日の深夜。久しぶりのこの家のベットが落ち着かないないのか、ミヒャエルが目を覚まし、周りの子供たちを起こさないように、下に降りると、そこで寝ると言っていた真継の姿はない。裏の黄金の鎧箱もなくなっている。出て行ったのか、

いや、そんなはずはない、、とは言え、このままもしフロッカスにいかれ勝手に暴れられでもしたら、作戦も何もない。ミヒャエルは馬に乗り、フロッカスに続くラディア街道に向かう。この時間であればケレス軍の関所以外に人はいないし、あんな派手な荷物を持って歩けば関所で止められる。

ミヒャエルはある程度探すつもりであったが、人が近づくことのないラディア街道に入って真継がどこに行ったのかは一目瞭然だった。あの荷物を背負い下駄をはき歩いている。2日前に雨が降り、多少なり柔らかい地面にくっきりと真継以外には考えられない足跡が残っている。

ミヒャエルは足跡を追って行くと、関所のはるか手前で山脈の麓も森の中に消えて言っている。

ミヒャエルが馬から降り、満月とは言え、この森では光が遮られほとんど何も見えない状況だが、奥から光る物が見える。あれだと、確信したミヒャエルはその輝きに近づく。

輝きの主は当然真継。手足に黄金の具足を身に着け、一人修練にふけっている。

「お前は泊まると言ったくせに、こんな所で何をしている?」

「俺は三刻も寝れば十分だ。修練は日々の日課だ。それより何か用か?」

「君がいなくなったのではないかって探しに来たんだよ」

「そんなわけないだろ。そうすれば俺の鬼ヶ島に行くのが遠回りになる」

「、、、君は十分強いのにそれでも、まだ強くなる必要があるのか?それにその棺、君は鎧が入っていると言ったが、持ち出した癖にそれは使わないのか」

「あぁ、これは俺のじゃない」

「だったらなんで、持ち歩いているんだ。戦場に来た時みたいにおいておけばいいだろ」

「想像しやすいんだよ。こっちの方が、」

「よく分からないが、とりあえずはいなくなってなくて良かった」

「ちなみに俺は明日からどうすればいい?」

「僕と一緒に王都に来てもらう。夕食後、特使が来ただろ、君の事は既に知られているだろうし、おそらくその事でお呼び出しだろう。それに何か別件もあるようだったし、」

「了解した」

ただそう返答すると、真継はミヒャエルを無視し修練を続ける。

翌日王都は黄金を背負ったこの男に驚愕する。

黄金を背負った男は、ここまでの道中、その黄金を狙う野党をその武力でねじ伏せ、素手で刀を止め、睨みつけるだけで相手が気絶させ、一撃で10人を撃破した。岩石を素手で砕いた等、数々の事実を迷信として王都中に広まらせた。

この男がケレスの悪魔を、、、騒ぎながらも誰も彼もが彼を前に沈黙し、道を譲る。

同時にそれはミヒャエルの狙いでもある。こんな男を従えているあの政務官は誰だと。


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