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序章① 瑠璃姫の独白

感想などをいただけると幸いです

それは昔々世界がまだ平らで、海が奈落に落ち、大地を亀が支え、全てを大きな大蛇が包んでいた頃のお話

それはずっとずっと未来、星の海の果てまで知りつくし、時間や距離の限りがなくなった科学の果ての作り出した未来のお話


あなたに初めて出会ったのは3年前の事だったでしょうか

私が13、あなたが14。

城を失い、民を失い、親を失い。

自分を失い、尊厳を失い、心を失い。

何も、かもも、なくした私の前に、あなたは突然現れました。

数多の兵を前にして、地獄の招きを前にして、

脇差一振り持たず、その両の手で

鎧一つ纏わず、ボロキレの如き黒の衣一つで

地獄の業火を払いのけ、数多の猛者を捻じ伏せた。

何の理由もないははずなのに、何の意味もないはずなのに、

あなたは私を助けてくれた。

だから私は、尋ねました。

『私を助けても、もう何もあげられません。どうして助けてくれたのですか?』と

すると怒り気味にいました。理由なんかない、気に入らないだけだ。と

私のような子供に、見返りを求めたと思われることが不快極まりない。と

年も変わらないあなたはそう言い、力強く私の手を引き、生きる術も、理由も、目的も失った私を無理やり連れだし、光を見せ、再び希望を与えてくれました。

ただの一言のお礼さえも言えずに、いつも私はあなたに頼りっぱなし、

でも、そんな私にも、あなたと旅をする中で夢を見つけました。

あの時のあなたの驚いた顔が忘れられません。

私、そんなに変でしたか?でも、どうしても話さずにはいられなかったんです。

でも、我に返った私に、あなたは初めて心から笑ってくれましたね。

君が泰平を望むのなら、百年続く争いを終わらせよう。

君が時代を作るのなら、千年続く恨みを断ち切ろう。

その先に待つ道が冥府の修羅より厳しく長い道だと知っても進むというなら、

それくらいは力を貸すよ。終わらせよう。

今この時から君は僕の唯一の主だ、なんて、あなたらしくない事を、

あの時のあなたの笑顔は今でも私の中での一番の宝物です。

戦いを終わらせる。そんな夢物語をあなたは本当に叶えてしまいましたね。

元服前の小僧に何が出来る。

ただの一人に何が出来る。

家柄もなく、血筋もなく、術もなく、才もなく、あるのは意志と、己が身一つ。

いくら強かろうが、ただの人間一人で世界は変えられない。

誰も彼もがそう言いました。

でも、それでも私はあなたを信じていました。

だって疑う必要なんてないんです。理由?そんなの決まっています。

だって信じろって言ったのは他の誰でもないあなたなんですから


あれから3年、

大切な人に出会いました。

大切な人を失いました。

辛い事がありました。

悲しい事がありました。

それでもあなたは変わらず、

それでもあなたは進む事を選びました。

強い事がこんなに悲しい事だと私は知りました。

でも、それでも貴方は私の理想の為に、戦い続けてくれました。

第六天の魔王が滅び、あなたは約束を守ってくれました。

だから私も約束、守ります。夢を、かなえます。

世は泰平、これからはもう、戦う必要はありません。

富めるも、貧しきも、強きも、弱きも、誰も、彼もきっと分かり合える。

これからは壊すのではなく作っていきましょう。

これからは奪うのではなく分け合っていきましょう。

それが残された私たちにできる事。

、、、、でも分かっています。あなたにとってそれがあなたの望む事ではないと

あなたの痛みはあなただけのもの、あなたの怒りはあなただけのもの、

そして、あなたの狂気もあなただけのもの

誰も彼もがあなたの事を悪く言って、あなたの事を嫌っても、

私はあなたの事が大好きで、あなたと分かり合えていると信じています。

いいえ、あの時、私に差し出されたその手、

掴んだあの瞬間、あなたの手のぬくもりは希望で、その言葉は優しさで。

あの時から、最初から分かり合えていたんです。

だから私は、あなたを止めたりしません。

でも、二つお願いがあります。

海の果てこの世界のどこかで私の様に助けを求める事すら諦めている人がいたら、

あの時みたいに手を差し出してください。

あなたの手は血塗れで、誰かを傷つけるためにあるとしても、

あなたの手は暖かくて、いつだって元気をくれるんです。

そして全部が終わったら、またみんなで花火を見ましょう。

だから必ず、帰ってきてください。


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