迷い - 友情? それとも -
翌週、事務所では大掃除をして、その翌日からお正月の休みに入る事になっていた。
その日もミミは、特に態度を変える事もなくそこにいて、いつもと同じように積極的によく働いた。
私たちは毎年、社長から寸志と書かれたボーナスの封筒を受け取り、クリスマスの終わった週から三が日まで休むことになっている。この年は五日が日曜日で、翌週の月曜日、つまり六日から仕事が始まるので休みが長くなった。
社長がみんなに、休み中のプランを尋ねた。
社長自身は、夫人を伴ってスキーへ出かけ、加藤は家族とオーストラリア旅行、恵美子は四国にある実家へ帰ると言い、私は特に予定もなく、読書をして過ごそうと思うと言った。
「で、ミミは?」と社長が尋ねると「何日かは、友達の家に出かけて、後は家で寝ています」と答えた。
それで、どうやら他の人には結婚しているのを話してはいないらしいことを察した。
クリスマスの前から、米国や欧州などの取引先は休みに入っている。そういう事情もあって、この日は掃除が終わればそれで解散となった。
例年なら、もう少し早く終わるのだけれど、今年は机などのレイアウトを変えていた所為で少し遅くなった。時刻が既にランチタイムに入っていたので、恵美子がお昼を一緒にしないかと言い始めた。
私がすぐにYesの返事をすると、加藤もミミも乗って来た。社長は夫人とランチデートがあるそうで、「申し訳ない」と言いながらポケットからランチ代を援助してくれた。
「やったー!」とみんなで喜んで、何処へ行こうかと相談をする。
私以外の三人は電車通勤で駅に向かうので、駅前が便利かと思った。食事のできるお店も何軒かあるのだけれど「今日は、時間があるので普段は行けない範囲のところへ行きたいわ」と恵美子が言いだしたので、みんな賛成をした。
そういう訳で四人で車に乗り、もう少し繁華な街まで繰り出すことになった。
街では、車を立体の市営駐車場に入れて歩くつもりでいたのが、長い列ができ、周辺は見るからに買い物客で混雑していて、これでは大変だろうということで、場所を変えることにした。
その時ミミが、ここから山側のフレンチレストランのランチコースが手頃でおいしいと提案した。車を北に向けて回してみると、なるほど中心を離れれば、そんなに混雑はしていない。
コインパーキングが傍にあり、ちょうど一台の車が出て行くところだった。
もしもお目当ての場所が駄目でも、この辺りには何軒ものレストランがある。懐も暖かいので少し奮発してもいいかな、などと相談しながら車を駐めた。
お店は、坂道の途中に作られているので、いくつかの段を下りた半地下のような位置にあった。しかもディナーからは考えられないお値段で、表のボードにケーキバイキング付きと書かれてある。
恵美子と私は、顔を見合わせて笑った。以前、サイズは大きくなかったけれど、ホテルのケーキバイキングに出かけ、お互いにデザートケーキを五つずつ食べた記録があったのだ。
外から見ると、店内は少し暗いイメージだったけれど、中へ入ってみると明かり取りの為の窓が作ってあったので、暗過ぎず清潔に見えた。
壁には皺を寄せた素材のワイン色のカーテン布が張り巡らされ、ビロードで作られた薔薇、額に入った絵や写真などが、ところ狭しと飾られている。いかにも女性の好きそうな雰囲気のお店で、運よくテーブルも空いていた。
「ミミ。あなた、よくこんな素敵なお店を知っていたわね」と恵美子が嬉しそうに言い、加藤も感心して見せた。
「うん。僕も、家内とこの辺りをよく歩くけど、このお店は知らなかったよ。ちょっと階段の影になっているから、気がつかなかったんだろうね」
「僕も、友人に連れて来てもらったことがあって、今日は二回目です」とミミが答える。
歩いていた順番に座ったので、恵美子と加藤が並んで座り、ミミと私が横に一緒に座った。
恵美子が腕時計を見て言った。
「あー、良かった。まだ一時過ぎね。ランチサービスは二時までだと書いてあったから、間に合ったわ」
その通りだと、みんなで頷きほっとしていると、加藤が「経理の大事な書類を金庫に入れ忘れたかもしれない」と言い出した。
すると心配性の恵美子も「そういえば金庫の入っているロッカーを閉める時、自分も確認し忘れた」と言う。
「どうだったかしら?」と真剣に二人で話している様子に社長の言葉を思い出した。
「少数精鋭」と社長が口にするように、こういう責任感の強い性格の人が集まっているから、私たちのオフィスは上手く回っているのかもしれないと思った。
社長は誰にでも親切で、一見ただのお人好しにも見える。でも、実は人をちゃんと見極めていて、危険な人は上手に遠ざけて行く人なのだ。
私たちのお客の中にも、社長の目に適わないという理由で取引を辞退したケースがたくさんある。
社長曰く、「羽振りが良くても、山っ気のある人は要注意」だそうで、私から見れば商売をするという事は、既に多かれ少なかれ、そういう要素を含んだ事に思えるので、そこのところの微妙な違いは読めない。
でも人には独自のルールや信念があって、それを口に出す人と出さない人があるという事は、私にもぼんやりと理解が出来る。
社長は、どちらかといえば細かいことを言わない人だ。でも、それは細かいことに気が付かない所為ではなくて、口に出したくないというように見える。確かに細かいことを言われれば、受ける側も細かいことにも反応するし、敏感になってしまうだろう。そうすると、お互いが神経を尖らせながら働かなければならない環境になって、人間関係に疲れてしまうのではないかとも思える。つまり社長が細かいことを言わない人であることで、職場の雰囲気が穏やかに保たれているのではないだろうか。
私から見れば、元から機微を理解できる性質を持っている人は、世の中を上手に渡っているように見えてうらやましい。なぜなら私のように気の利かない人間は、ひたすら自分に出来る事を大切に守りながら、それを一生懸命継続して行くしかないからだ。
そこには、構造的に大きな違いがあり、時折、私には想像のつかないような事が、社長にはごく当たり前の事として見えているのではないかと思えたりしている。単純に言えば、それは能力と頭の良さの差でもあるのだろうけれど。
同じことを伝えるのにも、よく考えてからものを言えば、相手を傷つけることが少なく、摩擦も最小限に済む。でも単純に受け取ったままのボールを投げ返せば、後悔をすることも多い。
この辺りが複雑なのだけれど、この言葉を入れ替える作業が、自分を他人に対していい人に見せるための手管になっているように思い始めると、自身の心の中に偽善や欺瞞を感じ、言葉が出なくなってしまうのだ。
人を傷つけないために上手な言葉を探して、本音を言わないというのは、相手にも自分に対しても嘘を吐いている事のように思える場合がある。
そういう時は、出来るだけ言葉をシンプルにして話すように心掛けている。
これは、私自身が後悔しないための自衛の策だ。
そんなことをぼんやり考えながら、加藤と恵美子の会話にも半分耳を傾けていたところ、食事を終えて出て行くカップルが、私たちのテーブルの横を通り過ぎて行った。
年配の男性が先に歩き、女性が後ろからやって来て、怖い顔で私たちの方を睨んで行った。
(何なの、一体?)
そう言おうとして、隣に座るミミの方を向くと、彼が睨んで行く彼女の眼を見返していた。そこに怒りの色は含まれていなかったけれど、冷たい空気が流れ、知り合いなのだろうということは分かった。
恵美子や加藤もいるので、その場では質問しない方がいいだろうと考え、私は黙っていた。
加藤と恵美子は、やはり書類の件が気になると言うので、食事の後、一旦オフィスに戻る事にしたらしく、私はオフィスまで車で送って行くことを申し出た。
食事は、とてもおいしかった。
お肉か魚介類を選べるようになっていたので、私たちは全員が魚介類を選んだ。
スープは、ほうれん草のポタージュ、アントレには牡蠣のココット、メインはサーモンのクレープ包みハーブ添え。仕上げには、カマンベールチーズとケーキがデザートにセットされていた。
最後にコーヒーを飲んでいると、恵美子が計算をして一人五百円ずつ出すようにと言う。
それを聞くと、やはり私たちの会社では、みんなが厚遇されている事は間違いないと思った。
食事の後、私はみんなを乗せてオフィスへ戻った。
二人が書類の件をチェックし終えたら、恵美子たちを駅まで送って行くつもりでいたのが、歩いて帰るということで、同じ方向に帰るミミだけが、私と共に車に残った。
「今日は英語のレッスンはないの?」
「うん、会社の休みに合わせて、クラスも休みにしてもらったんだ」
「そうなの」
「うん。だってね、ここまで来るのは、ちょっと距離があって遠いでしょ? だから会社が休みだと来る気になれないんだ」
「ふーん、じゃあ、これからまっすぐ家に帰るの?」
「いや、どうしようかなと思っているところなの」
「そう。じゃあ、どこで降ろせばいいかしら?」
「どこでもいいよ。駅の近くで」
「うーん。私ねぇ、ちょっとお買い物をしようと思うの。だからS駅でもいい?」
「うん、いいよ。ありがとう」
「あ、でもさっき、パーキングがいっぱいだったわよねぇ。どうしようかな。ともかく一旦、駅の近くでミミを降ろしてからパーキングを探す事にするわ」
「ねぇ、何のお買い物?」
「それがねぇ、そろそろテレビでも買おうかな、と思って」
「へぇ、そうなんだ。テレビは嫌いだと思ってた」
「うん、基本的には、うるさいのが苦手なの。でも年末年始には面白そうなドラマや映画が放映されるから、読書に飽きた時には、あるといいかも知れないと思い始めたのよ」
「そうだね。僕も映画は好き。それに日本では、音声……えーっと、なんだっけ? オリジナルで聞く事が出来て便利だからいいよね」
「音声多重放送のこと?」
「うん、そう。英語で聞けばオリジナルのままだからとてもいい」
「フランスにはないの?」
「ないよ。あるのは日本だけじゃないのかな?」
「あら、そうなの? 私は世界中で、こうなんだと思っていたわ」
「意外と世間知らずだね」
「嫌だわ。ミミって、外国の人には難しいんじゃないかと思うような日本語を知っていたり、簡単に思えるようなことを知らなかったりするのよね」
「そうかなぁ?」
「そうよ。それに悪い言葉もたくさん知っているし」
「あはは。それは外国語を習う時に、最初に覚えちゃうものなのかもしれないよ」
「そうなのかもね」
会話をしながら運転している内に、車はS駅の近くに来ていた。
「駅の前に噴水が見えるでしょ? あのロータリーで止めるけど、いい?」
「うん、いいよ。でも……」
「何?」
「いや、いいよ」
「あら私、そういうのダメなの。ちゃんと言ってくれる?」
「いや、ついて行っちゃいけないかなと思ったの」
私は、一瞬ためらいはしたけれど、別に昼間の街を誰と歩いても気にすることもないと思った。
「いいわよ」
「え、本当?」
「うん。ただ、すぐにパーキングが見つかるかどうかわからないし、くるくる回って時間を無駄にするかもしれないわよ」
「いいんだよ。だって、時間はたくさんあるから」
「そう。じゃあ、パーキングを探すね」
「うん。分かった」
「ちょっと街まで歩くけど、南側の地下にある市営駐車場なら空いているかも知れないわ」
「空いていなくてもいいよ。ドライブも楽しいから」
「あら、私は嫌よ。こういう街中を運転するのって、神経を使うもの」
「街を外れたところにある大きな電器のお店に行くのは駄目なの?」
「うーん、だって他に見たいものもあるし……」
「そう、じゃあ仕方がないよね」
「別の日に分けてもいいんだけど……。私は、人混みが苦手なの」
「あ、思い出した。僕、人混みって初めて聞いた時、人間がゴミのようにいっぱいいるということかと思って、吃驚したんだよ」
「そうなの? ふふふ。確かに紛らわしい言葉が多いわね」
「同音異義語って言うのかな?、知っている」
「あらそう? やっぱり変わっているわ、ミミって」
そこで「そうかなぁ?」とミミは言い、「そうよ」と私が繰り返すので、その結論は出なかった。
そうしてあっさりと市営地下駐車場にスペースを見つけた後、私たちは街へ繰り出した。
私はどういう訳か人混みが苦手だ。たくさんの人の波の中にいると、気分が悪くなってしまう。
それが理由で、休日の繁華街には極力出ないようにしている。しかし買い物や電車に乗る時などは、それを避けられないので、体調の良い時に出来るだけ早く済ませるように気を付けて来た。
この時も、さっさと済ませようという気持ちでいたのだけれど、古い家具をすべて処分して引越してから、つい最近まではさっぱりした気持ちでいた部屋なのに、近頃どうにも殺風景に思える。少し前から街に出ると、ちょっとした壁掛けや小物、家具などが気になり始めていた。
私が「ちょっと、見てもいいかしら?」とミミに尋ねると「もちろん!」と言いながら、どこへでも付き合ってくれる。それも面倒な風ではなく、本当に一緒に考えてくれるのだ。女友達とでも気を遣ってなかなかこうは行かないのに、ミミといると気が楽だと思う。
それに話が単刀直入でいいという事もある。
ミミが外国人だから、日本語を話す時、出来るだけシンプルに言いたい事を伝える方が通じやすいと思い、私は、かなり直截的に話している。気を遣ってまわりくどい言い方をする必要がないのだ。
それから、性を意識しないで話せるのもいい。
私の年代だと、男らしさや女らしさに捉われる事もあるけれど、ミミとの間では、そんな事を考える方が愚だと思える。
他には、もちろんのことだけど、ミミの持っている本来の優しさが空気をやわらかくしてくれた。
結局、私は小さな額を三つとタペストリーを買った。
重くはないけれど、長くてかさばるので引きずってしまい、私よりも背の高いミミの申し出をありがたく受けて、荷物を持ってもらった。
目的の電器店に入ると、歳末大売り出しの赤い幕が張ってあり、一階は買い物客でごった返していた。人の波の間をくぐるように移動し、私たちは三階にあるTVコーナーへ、満員のエレベーターを避け、エスカレーターで上った。
そこだけ、まるで別世界に迷い込んだように買い物客のまばらな状態で、ようやく息が継げるような気がした。
「ケイ、大丈夫?」と、ミミが声を掛けてくれる。
「うん、さっきまで、ちょっと気分が悪かったんだけど、ここへ来てようやくほっとしたわ」
「人混みが嫌いだと疲れるよね」
「うん、どうしてだかわからないけどダメなの」
「あそこに椅子があるけど、少し座る?」
見ると飲料水の販売機の前に、足のついた灰皿と革張りのように見えるソファが並べられていた。
「そうね。誰もいないし、ちょっと休憩しようかな?」
「うん、まだお店が閉まるまでに時間もあるから、その方がいいかもしれない」
「よし、じゃあ、そうしよう」
私が灰皿の横に座ろうとすると、ミミが反対側に座るようにと言う。
「もしも誰かが煙草を吸いに来た時に、その人の隣に座っていると、気分が悪くなるかもしれないでしょう?」
私はミミの細かい心遣いに驚いた。
「そうね、ありがとう」
「どういたしまして」
「あ、何か飲む?」
「ううん、僕はいいよ。甘い飲み物は苦手なんだ」
「あらそう? ボトルのお茶もあるわよ」
「ケイ、お茶が欲しいの?」
「う~ん、そうね。どうしようかな。あぁ、そう言えば、ミミはコーヒーが飲みたいんじゃないの?」
「うん、飲みたい」
「じゃあ、TVを見た後でもいい?」
「いいよ、もちろん」
「それだったら、先にさっと見てから、早くコーヒーを飲みに行こう」
「急がなくてもいいよ」
「ううん、ミミのためって言うよりも私のためなの。だって早く済ませて休憩する方が気が楽だもの」
「そう。じゃあTVを見てみよう」
普段から私の買い物は早い。TVだって、予算に合ってメーカーがしっかりした会社のものであること、それからデザインと大きさが好みならそれでいい。機械の細かい事はよく分からないし、あまり複雑なものだと使いこなせないから、シンプルな機能だけで十分だと思っている。
一周まわって二台の候補を見つけた。デザインも仕様もほとんど同じようなのに、メーカーと色が違った。
色は黒に近い濃いグレーとシルバーだ。私は埃の目立たないシルバーの方が良いと思うけれど、お値段が五千円も違う。
どうしてだろう? と二人で首をひねった。よく見ると五千円安い濃いグレーのTVには「展示品、お持ち帰り特価」と書いてある。
それをミミに説明した。
「だったらシルバーだって、お持ち帰り特価になるよ」
「あら、きっと駄目よ。濃いグレーの方は、これが最後の一台なんだもの」
「そうかな? 聞いてみなくちゃ分かんないよ」
そこへ「いらっしゃいませ」と言いながら、店員の男性が通りかかった。
ミミは、さっそく声を掛け、交渉を始めた。
私は買い物に出ても、こんな風に値切った事がない。どう交渉したら良いのかわからないし、苦手なのだ。先の夫も同じだったから、買い物へ行くと、二人とも書いてあるままの金額で購入していた。
「このふたつのTVの型は似ているし、製造の年も同じでしょ? どうして、こっちが高いのですか? 説明をお願いします」
ミミがそう言ったので、中年のその男性は、書いてある通りに、ここで展示をしていたのと最後の一台から安くなっているのだという説明を繰り返した。
「よく分かりません。でも色がね、こっちだと部屋に合うのに、こっちだと暗くなっちゃうんです。だからね、こっちの色がなければ買いません。こっちの色も同じ値段にしてくれたら買います」
私は慣れない状況を、ドキドキしながら見守っていた。
店員の男性は半分笑いながら、最後には「いいでしょう。同じ値段にしておきます。でも配達なら年内には間に合いませんよ」と言った。
「いいです。持って帰りますから」
その言葉に「え?」と驚いて顔を見ると、ミミがウインクをした。
つまりミミが配達の人の代わりに運んでくれるという訳だ。
支払いを済ませた時、店員の男性に「ご主人、日本語がお上手ですね」と言われ、私は否定もできずに「えぇ」と返事をした。
駐車場へ向かいながら、大きなテレビの箱を担いだミミに、「大丈夫?」と尋ねるたところ、「ぼくの体は男なので、力は強いんだよ」と言った。
ようやく車に辿り着いてトランクに入れようとしたけれど、扉が閉まらない。困っていると、ミミが上手にTVの箱にかけてあったPPバンドを裂いて、トランクの扉と車体を結んでくれた。
しかし、これではコーヒーを飲みに行く事も出来ない。
「ねぇ、家でコーヒーを飲むでしょ?」とミミに尋ねると、「もちろん、喜んで!」と返事が返って来た。
何だか嬉しそうな様子に(謀られたかな?)と考えなくもないけれど、五千円の代償がコーヒーなら悪くないと思う。何しろ、私のアパートにはエレベーターがないので、三階まで運んでもらわなければならないのだから。