表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『八咫の楔(やたのくさび)』ーー揺れる枝  作者: fudo_akira


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/2

第1話:根の目覚め ─プロローグ─ 日常に潜む微細な揺れ

孤独という猛毒は、時として理性の防壁を容易く突き破る。 国家の影で「深根会」として生きる男が、唯一の聖域を守るために選んだのは、自らを社会的異常者に貶めるという絶望的な献身だった。 本作は、外資の非情なロジックと、男の狂気を孕んだ愛が交錯するサスペンスである。 日常に潜む「事故」の真相を暴きつつ、偽名に隠された十年の真実を解き明かしていく。 救うための襲撃、守るための裏切り――その結末にあるのは、勝利か喪失か。

――静かな大樹は、今日も誰にも気づかれずに立っている。


私たちの日常は、

あまりにも当たり前で、

あまりにも静かだ。


朝、子どもを送り出し

仕事に向かい

夕飯の献立に迷い

疲れて眠る。


その「何も起きない一日」を、

誰が守っているかなんて、考えたこともない。


でも――

何も起きない、という奇跡は

偶然ではない。


街角の違和感。

ニュースにもならない異変。

「気のせい」で流される、小さな揺れ。


それを拾う者たちがいる。

声を上げず、名を残さず、

ただ“循環”として存在する組織。


枝が揺れを拾い、

根が判断し、

幹が支え、

花が守られ、

実が未来を育てる。


それが――

「深根会」


これは、派手なヒーローの物語ではない。


「守られてきたこと」に、

ある日ふと気づいてしまった

私たち自身の物語だ。


■ プロローグ:色の濁り

東京の朝は、いつも通りに始まる。

電車の揺れ、コーヒーの香り、スマホの通知音。

誰もが同じように日常へ向かって歩いていく。

けれど、不動の視界には、

その日だけ“薄い濁り”が混じっていた。

共感覚が拾ったのは、

「透明なはずの空気に沈む、淡い灰色の揺れ」。

誰も気づかない。

けれど、不動には分かる。


かつて加藤が残した言葉が、

胸の奥で静かに息を吹き返した。

愛の形は様々だが、自らを汚泥に沈めて対象を光の中に押し戻す、それも一つの真実かもしれない。 たくまが背負った「社会的死」と、智子が手にした「残酷なまでの平穏」の対比を描き切った。 外資の脅威は去っても、失われた「十三時の聖域」が戻ることは二度とない。 読者の皆様が、日常の片隅にある「小さな幸せ」の裏側を想像するきっかけになれば幸いである。 八咫の楔シリーズ、これにて一時の幕を閉じる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ