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15、悪夢

 3回目の討伐作戦から間もなく、4回目の討伐作戦が実行された。

 作戦は滞りなく終了したものの、さすがに頻度が高かったのか、戦士たちにも疲労の色が見え始める。


 帰還後の会議にて、団長は次回からの討伐作戦の頻度を落とすことを決定したのだが―


「う⋯⋯っ。熱い」


 私はうなされていた。


—―コンコン

「リファ、入るよ」


 テオが部屋に入ってくる。


「大丈夫? なかなか起きてこないから、朝食持って来たけど」

「はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯ありがとう⋯⋯後で食べるから⋯⋯大丈夫」

「リファ、熱があるの?」


 テオが私のおでこを触る。


「熱い⋯⋯カルバを呼んでくる」

「大丈夫。たぶん力を使いすぎただけだから⋯⋯」

「どう見ても大丈夫じゃない。何かあったらどうするの?」


 テオは心配そうに言う。


「でも、こんなに弱ってるなんてみんなに知れたら⋯⋯次の作戦までに治らなかったら⋯⋯このまま役立たずだったら⋯⋯」

「苦しいんだね。また弱気が出てきちゃってる。リファのことそんなふうに思う人はいない。リファだってわかってるでしょ?」


 テオは私の両肩に手を置き、私の目を見ながら言った。


「そうだね⋯⋯」


 そう言うと私は目を閉じた。





「うーん。確かに感染症ではなさそうだね。」


 カルバはリファの身体を見ながら言う。


「う⋯⋯熱い」


 リファは熱さに苦しんでいる。

 汗が止まらない。


「これで少しは楽?」


 カルバがリファの汗を拭いた後、水で濡らした布巾をリファのおでこに乗せる。


「ん⋯⋯」


 リファの表情が少し和らぐ。


「しばらくこのまま私が看病するよ」

「カルバ1人で付きっきりは大変だから俺も交代で手伝うよ」


 ニトロが言う。


「じゃあ夜は俺が交代する。ジクロも一緒にお願い」


 テオが提案する。


「ああ。わかった」


こうして4人が交代で看病することになった。



―—夜

「じゃあお願いね。おでこを冷やしてあげると楽そうだから。あと時々うなされてるみたい」

「わかった。カルバもゆっくり休んで」


 テオとジクロが看病係を交代した。


「うぅ⋯⋯熱い⋯⋯」


 リファの表情は相変わらず辛そうだ。


 しばらくすると桶の水が温くなってきた。


「水、替えてくる」


 テオが桶を持って部屋を出た。



―—バタン


「うぅ⋯⋯」

「おい。大丈夫か?」


 リファの目から涙がこぼれた。


「私が⋯⋯怖いの⋯⋯?私は何もしてないのに⋯⋯どうして⋯⋯?」

「リファ?」

「⋯⋯お願い⋯⋯役目を果たすから⋯⋯殺さないで⋯⋯」

「リファ、苦しめて悪かったな」


 ジクロはリファの涙を拭う。


「リファ、お前を殺したりなんかしない。初めて会ったあの日、お前に武器を向けたことは本当に悪かった。もう絶対に傷つけないって約束するから、お前のことを守るから」


 ジクロはリファの手を握りながら言った。



―—バタン


 テオが戻ってきて水の入った桶をゆっくりとベッドの横のテーブルに置く。


「ジクロ、目が赤い」

「俺の目は元から赤いが」

「そういう意味じゃなくて。顔洗ってきたら?」

「⋯⋯ああ」


 ジクロは椅子から立ち上がる。


「ジクロが悪いんじゃない。リファはわかってる。初めて会った時のジクロのは演技だったって。俺が話した。あの時のこともリファを傷つけたかもしれないけど、それは皆のせいだから」


 ジクロは黙っている。


「きっとリファは普段から我慢しすぎている。このままうわ言でも言いたいことを言わせてあげたほうがいい気がする」

「⋯⋯そうかもな」


 ジクロが部屋を出ていった。



―—バタン


「苦しい⋯⋯助けて⋯⋯お母さん⋯⋯服が燃えてる⋯⋯」

「リファ、大丈夫だよ。冷やしてあげるから」


 テオが濡れた布巾をリファのおでこに乗せる。


「もう疲れた⋯⋯もう⋯⋯終わりにしたい。」

「君は俺たちを救ってくれた。俺たちはどうしたら君を救える? どうしたら心の傷を癒してあげられる? 俺には何ができる?」


 テオがリファのおでこを撫でる。

 すると少しリファの表情が和らぐ。


 テオとジクロはリファを夜通し看病した。

 時々リファはうわ言を言うものの、熱さはましになっているようだった―—



——朝


 あぁ身体がだるくて動かせない。

 なんだか汗だくで気持ち悪い。


「うーん。ん?」


 身体を起こそうとするとなぜか私の右手をジクロが、左手をテオが握ってそれぞれベッドに突っ伏して寝ている。


 そっと手を解こうとすると2人が起きる。


「あのーどういう状況だったっけ? 途中からあんまり覚えてなくて」


「リファ、良くなったの? 本当によかった」


 テオが笑顔で言った。


「もしかして、看病してくれてたの?」

「うん。カルバとニトロもしてくれてた」

「ありがとう。みんなに迷惑かけちゃったね」

「そんなこと気にしないよ」


「リファ、まだ寝てなくて大丈夫か?」

「ジクロ、ありがとう。助かったよ」

「心配かけやがって」


 子供にするみたいにして、頭をくしゃくしゃにされた。


「お腹空いたか? 用意してきてやる。風呂はカルバにでも手伝ってもらえ。その間にシーツを替えといてやるから」


 ジクロの優しさが嬉しい。



 その後、カルバとニトロが部屋に来てくれたので、看病のお礼を伝えた。



 そして、かつてカルバとニトロに贈ってもらったカップで飲む1日ぶりの水は優しい味に感じられた。









ー第一章 完結ー




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