胎児覚醒
次に意識を取り戻した俺は真っ暗な空間に閉じ込められていた。
(ここは?密室?)
血液の流れる音が聞こえ、心臓の鼓動のようなリズムが常に聞こえる。
俺の周囲は温かい液体で満たされているらしく、身動きは取れない。
(まさか、これは母親のお腹の中?)
どうやら俺は胎児に転生し、しかも母親のお腹の中にいるタイミングで意識を取り戻したらしい。
転生慣れしてきたのだろうか、俺は胎児のまま覚醒するということができるようになっていた。
しばらくするとこのまま俺は誕生することだろう。
しかし誕生した瞬間に正義教団の連中が現れて俺を抹殺することだろう。
今までと同じことを繰り返していたのではだめだ。
俺は思案した。
まず、いつも現れては俺を真っ二つにする傷の男、奴の能力を『神眼』によって確認したい。
傷の男のステータスによって、正義教団を倒すためにどの程度のステータスが必要なのか見極めるためだ。
そしてもう一つ、俺は自分のステータスを確認することにした。
(『神眼』)
種族:人間 ♂
名前:
Lv:1
腕力:1
頑強:1
俊敏:1
知能:1
スキル:
裏スキル:転生神の加護、神眼、(夢幻収納)
やはり裏スキルが1つ増えている!
どうやら俺は人間に転生するたびに裏スキルを新たに1つ獲得することができるようだ。
そして通常スキルについては転生では持ち越せないようだ。
この二つがわかっただけでも収穫だ。
気になるのは新しい裏スキルに括弧がついているところ。
もしかすると誕生すると括弧が取れて使えるようになるのだろうか。
しかし残念ながら、ステータスはすべて1しかない。
正義教団のステータスを確認していないからわからないが、この状態ではどう頑張っても傷の男を倒すことは不可能だろう。
可能性があるとすれば裏スキルだが、戦闘に役立ちそうなものは今のところない。
つまり、今回も俺は真っ二つにされる運命にあるということだ。
巻き込んでしまうことになる家族には申し訳なく思う。
俺が人間に転生するということは、犠牲者がどんどん増えるということだ。
俺は転生するたびに、無関係の人々を巻き込むという罪を重ねることになるのだ。
そんなことを考えていると、いよいよ俺の誕生日がやってきた。




