神眼
俺の家族たちはみな真っ二つにされ、家には火が放たれた。
そして火事は一昼夜続き、焼け跡には惨たらしい状態で風雨にさらされた死体があった。
死体は臭気を放ち、獣たちが集まってきた。
やがて獣たちは死体を貪り食った。
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次に目を覚ますと、俺はオオカミに転生していた。
おそらく死体の臭気によって集まってきた獣が俺の肉体を食べたのだろうと思う。
兄妹は5頭だった。
俺はオオカミとして成長し、いつしか群れを率いる長となっていた。
オオカミの群れは32頭で構成され、父オオカミはすでに群れを去っていた。
兄妹のうち2頭は子供のうちに死亡し、残り3頭は俺の群れに今もいる。
俺はオオカミとしては賢い方だったので、常に群れを正しい方向に導いた。
それに加えて、俺にはある特殊能力があった。
(む、この気配はマッスルベアか)
俺は前方の茂みを観察した。
マッスルベア、この森の食物連鎖の頂点に座す魔物だ。
そして俺は特殊能力を発動させる。
『神眼』
種族:マッスルベア ♂
名前:
Lv:18
腕力:116
頑強:87
俊敏:56
知能:40
スキル:
裏スキル:
俺が獲得した『神眼』は、相手のステータスを確認することができる。
ちなみに今の俺のステータスはこんな感じだ。
種族:フォレストウルフ ♂
名前:長
Lv:21
腕力:85
頑強:65
俊敏:123
知能:98
スキル:
裏スキル:転生神の加護、神眼
種族はフォレストウルフ、名前は「長」だ。
パラメータの数値を見ると、Lvはわずかに俺のが上、腕力と頑強はマッスルベアが上、俊敏と知能は俺のが上であった。
戦って勝てないこともないが、わざわざ危険をおかしてまで戦う意味はない。
「ワォン!(迂回するぞ)」
「「「ワフ!(了解です)」」」
そしてスキルには何も書かれていないが、裏スキルには2つの能力が書かれている。
『転生神の加護』と『神眼』だ。
『転生神の加護』は初めて転生した時に授かった能力だと思う。
これは言わずもがな、転生することができるという能力だ。
しかし、回数制限があるのか、無限に転生できるのかは現時点ではよくわからない。
そして『神眼』、これは先ほどマッスルベア相手に使用した、相手のステータスを確認するという効果を持っている。大変便利な能力だ。
『神眼』は俺がフォレストウルフに転生してすぐに発動することができた。
他のフォレストウルフ達はそんな能力を持っている感じではないし、スキル名に「神」が入っていることからして特別な印象を受ける。
前回人間に転生した時に授かった能力なのかもしれない。
これを確認するためには、やることは1つ。
またしても人間に転生するということだ。
幸い俺は今フォレストウルフの長となっており、自分の意思で行動することができる。
何とか知恵を絞れば、人間に転生することも可能だろうと思う。
しかし恐ろしくもある。
人間に転生するということは、ほぼ確実に正義教団が俺を抹殺しに来るということだ。
生きたまま真っ二つにされるのは、思い出すだけでも恐ろしい。
俺はこの恐ろしさを克服できるのだろうか。
それに俺は今、群れを率いている長だ。
仲間たちを置き去りにして転生してよいものか。
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そんなことを考えながらフォレストウルフとして十数年過ごした。
俺の群れはいつしか300頭を超える大所帯となっており、俺はフォレストウルフとしてこの森の王となっていた。
ステータスはこうだ。
種族:フォレストウルフ ♂
名前:キング
Lv:75
腕力:282
頑強:178
俊敏:455
知能:121
スキル:疾風、爪撃
裏スキル:転生神の加護、神眼




