正義教団
あっという間に王国兵の守備を突破した正義教団達は、ずかずかと部屋に入り込んできて、手当たり次第に虐殺を開始した。
正義教団の信徒によって剣で真っ二つにされた俺は、血の海に沈んでいく。
赤ん坊の俺にはどうすることも出来ず、ただただ自分が死んでいくのを待つばかりであった。
右目のあたりに大きな傷のある男がリーダーのようであった。
傷の男は部下らしき者たちに指示を出し、屋敷に火を放って出て行ってしまった。
火の手はあっという間に屋敷の全体に達し、全ては灰となってしまった。
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王国はそのまま滅亡し、翌年の春。
俺は燃え尽きた屋敷の灰に芽吹いた一輪の花に転生していた。
(こ、これは!)
なぜか自我はある。
しかし身動きをとることはできない。
身動きは取れないのに意識だけはある状態のまま、約半年間の月日が流れた。
そして秋になり、俺は種を飛ばしてから枯れた。
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翌春、またしても花に転生した俺。
どうしようもないのでそのまま時が経つのをじっと耐えていた。
と、そんな俺に近づく影があった。
「メェ~」
野生のヤギだった。
ヤギはそのまま俺に近づくと、俺を食べた。
植物なので痛覚がないのが幸いした。
ヤギに咀嚼されて飲み込まれていく。
そこで意識はいったん途切れた。
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次に意識が戻った時、俺はヤギに転生していた。
兄弟は2人、いや2頭だ。
俺はヤギのまますくすくと成長し、立派な雄ヤギとなった。
今のところ俺の転生ライフで最もうまくいっているような気がする。
とりあえず生まれた瞬間に剣で真っ二つにされるような悲惨な運命はなかった。
ある日、弟ヤギが人間が設置したであろう罠にかかってもがいていた。
俺はヤギとしてはかなり賢い方だったので、罠の見分け方を兄弟に伝授していたが、しかしヤギには難しかったのかもしれない。
とにかく、肉親が苦しんでいるのを見た俺は何とかしなければならないと思い、必死で弟ヤギを救出しようと奮闘した。
奮闘の結果、弟ヤギは無事に罠を抜けて脱出することが出来たが、運悪く俺は猟師に見つかって弓で射殺されてしまった。
たぶんその後、俺の肉は猟師によって食べられてしまうのだろう。
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次に目を覚ました時、またしても俺は人間に転生していた。
これまでの経験から、どうやら俺は捕食者の子供として転生するらしいということがわかった。
正義教団に殺されたあと、俺の血を吸った土壌から芽吹いた花に転生し、次は花を食べたヤギが産んだ仔ヤギに転生した。そして今度はヤギの肉を食べた猟師一家の末っ子として転生した。
問題はこの後どうなるか、だが、、、
「出かしたぞアンナ、元気な男の子だ」
「よかった、無事に生まれて」
「今日はお祝いだね!」「「「わーい!」」」
ずいぶん子沢山な一家のようであった。
一番年長なのが女の子、その他に男の子が3人だ。
と、その時家のドアが激しくノックされた。
「はーい、どなたですか?」
「………」
年長の姉が無警戒にドアを開けた瞬間、手に剣を持った男たちが侵入してきた。
姉は次の瞬間に真っ二つにされて絶命した。
「きゃああああ!」
「なんだお前たちは!!」
黒いフードを頭からかぶった男たちのうち、特にガタイの良い一人がこう言った。
「我ら正義教団、『悪魔の子』粛清のためここに来た」
やはり正義教団。
そして「悪魔の子」ってのは、俺のことなのだろうか。
ただ生まれたり死んだりを繰り返しているだけなので、全く身に覚えがない。
しかし俺には心当たりがあった。
正義教団は何らかの方法で俺の転生を察知し、殺しにくるのだ。
(どうすりゃいいんだ、、、)
俺はまたしても真っ二つにされ、血の海に沈んだ。
リーダーは右目に傷のある男であった。




