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2人目の聖女

俺はとりあえずアグリス将軍とやらのステータスを確認することとした。

戦って勝てる相手かどうか見極めなければならない。


種族:人間 ♂

名前:アグリス・ブレイザー

Lv:99

MP:65

腕力:897

頑強:957

俊敏:466

知能:134

スキル:剛腕、硬化、連撃、斧撃の極み、狂戦士

裏スキル:邪神の加護、月斬斧


アグリス将軍は見た目通りの物理攻撃重視タイプの戦士だった。


他の幹部と同じようにレベルは99で、お馴染みの身体能力向上系スキルに加えて、『狂戦士』というスキルを持っている。理性を失う代わりに攻撃力が上がるとか、そんな感じの効果だろうか。

また、正義教団幹部ならではの邪神の加護も持っており、さらに『月斬斧』という裏スキルを持っているようだ。


赤子の俺が戦って勝てる相手だとは全く思えない。

このままだと生まれた瞬間に母親ともども両断されておしまいだ。


(どう足掻いてもこのままだと死んでしまう)


俺は作戦を思いつかなかったため、さらに情報を集めることにした。


とりあえず『神眼』で母親のステータスを確認することにした。


種族:人間 ♂

名前:フロリア・テリヤスラ

Lv:2

MP:342

腕力:2

頑強:2

俊敏:2

知能:26

スキル:聖魔法

裏スキル:聖女神の加護


俺は驚愕した。

(『聖女神の加護』だと!?探していた裏スキルじゃないか!これはどうしても母親を死なせるわけに行かなくなったぞ)


フロリアのレベルがたったの2しかないのが不安ではあるが、『聖女神の加護』さえあればセラを甦らせることができる。

問題はフロリアが腹に空いた穴を塞ぐことができるかどうかであるが、その心配はなかった。


「イチ、こちらに来なさい。手を治してあげます」


使用人は切断された手首を押さえながら、フロリアが寝ているベッドに近づいてきた。


「フロリア様、申し訳ございません」


「良いのです、私のために怒ってくれたんですもの」


フロリアは無表情のまま、イチと呼ばれた使用人の手を再生させた。

十分に『聖女神の加護』を使いこなしているようだ。


「ふん、これに懲りたら2度と不敬な物言いはしないことだ」


アグリス将軍は冷たく言い放つと、そのままベッドに縛り付けられたフロリアと俺を監視する仕事に戻った。


「やぁ、どうだいフロリア、そろそろ産まれそうかい?」


しばらくして、ネルソンが部屋に入ってきた。


「兄様…」


フロリアはネルソンが部屋に入ってくるなり、絶望的な顔で呟いた。


「反省しているかい、フロリア。これはキミが僕を暗殺しようとした罰なのさ」


「ネルソン兄様こそ、お父様を罠にはめて殺したではないですか」


「ふん、そんなのはお前の妄想だ。父上が亡くなって、俺が正義教団の最高指導者となった、ただそれだけだ」


「なんという…」


なんとネルソンは自分の父を手にかけたらしい。

そしてフロリアは見かねてネルソンを暗殺しようとしたのか、なんというおぞましい一族だろう。


「しかしお前の暗殺方法は見事だったね。猛毒のワインを自ら飲んで僕を油断させたのだから。しかし残念だったね、僕は常に『神マップ』を使用して、危機を未然に察知している。誰も僕を殺すことなどできないのだ」


ネルソンの裏スキル『神マップ』か。

名前からして便利そうなスキルだとは思っていたが、想像以上に使い勝手の良いスキルのようだ。


「まだ胎児の時点では『神マップ』は反応しないが、『転生神の加護』を持つ者が誕生した瞬間にアラームが鳴るように設定してある、そうしたら悪魔の子もろともお前も真っ二つにしてやるぞ。『聖女神の加護』があればもしかしたら助かるかもな」


縦に真っ二つにされれば『聖女神の加護』を持っていても絶対に助からない。

ネルソンはそれを知っていて、わざとフロリアをいじめているのだ。


「アグリス将軍、引き続き警戒に当たってくれたまえ。この任務は我が教団の最重要任務だ」


「はっ!御心のままに」 


アグリス将軍は完全にネルソンの思い通りに動く駒のようだ。


しかしせっかく『聖女神の加護』を持つ者が目の前に現れたというのに、このままではそれも失われてしまう。

なんとかしてフロリアを『夢幻収納』に確保したいところだが、へその緒で繋がっているうちはスキルが発動しないようだ。

となれば、少し乱暴な方法ではあるが、ネルソンの裏をかく行動を取らなければならない。

フロリアには痛い思いをさせてしまうが、死ぬよりは良いだろう。





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