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魂の器

きっかり1時間後に、俺はエマルトリアを『夢幻収納』から出した。

女王が突如として消えたことに驚いた側仕えエルフたちが大騒ぎして、兵士たちもわらわらと集まってきてしまったが、ハイネ婆さんがなんとかとりなしてくれて助かった。


「皆のもの、心配かけました」


「まったくだよ、あんたは昔からすぐに思いつきで行動するんだから」


ハイネ婆さんが毒づいている。

心配していたエルフたちに謝罪し、軽く水分を摂取したエマルトリアは俺に向き合ってこういった。


(勇者様、セラさんはご存命でした)


(マジか!よかった!本当に)


(ふふふ、勇者様に心配されてセラさんは照れていましたよ)


(エマルトリア、ありがとう!確認してきてくれたおかげで心配してたことが一つ解決したよ)


(お役に立てたようで何よりです。しかし生きているといっても、お腹に空いた大きな傷はそのまま残っていました。おそらく、その状態のまま外に出してしまうと、すぐに亡くなってしまうことでしょう)


セラは死んでいないようでほっとする俺だったが、あの戦いで負った傷が癒えたわけではないので、再び悩む。


(私見ですが、どうやらあの空間に収納された者は、収納された時の状態に固定されるようです。なので、受けた傷は回復もしませんし、悪化もしません。出血もしないですし、セラさんの体力が消耗している様子もありませんでした。しかし、放っておいてもマナは回復しないようです)


(なるほど、良い状況ではないが、最悪でも無いようだ)


(私は収納された直後、真っ白く神々しい雰囲気に満たされた空間に移動しました。そこには負傷したセラさんと、黒い獣がうずくまっていました。たぶんあの獣がスカーフェイスなのでしょう。時間は外と同じように流れているようです)


時間は外と同じように流れているものの、状態が固定された空間、か。

真っ白い空間と聞くと、転生神ルキアスと話した場所を思い出すな。


セラが生きていることがわかった俺は、今まで気になっていたことを質問することにした。


(ところで基本的な質問で申し訳ないんだけど、マナって何?)


エマルトリアは優しく微笑んで、教えてくれた。


(マナとは魂という器に満たされた大いなる力のことですわ。私たちが魔法を使う時、このマナを引き出すことによって発動させています)


(魂に満たされた力、か。それって俺にもあったりするのかな?)


その瞬間、エマルトリアは目を丸くしてこう言った。


(まさか、勇者様はご自身がお持ちの莫大な量のマナに気がついておられないのですか?)


(え?)


莫大な量のマナを俺が持っているとは夢にも思わなかった。それに、『神眼』で確認してもこれまで表示されることはなかった。


(俺は『神眼』という裏スキルを持っているのだが、今までそのスキルでマナの量を確認することはできなかったんだ。どうしてだろう)


(それは簡単な話ですわ。その神々しい名前のスキルは、きっと勇者様が見たいと思うものを見せてくれるのでしょう。マナを見たいと今まで思わなかったのでしたら、見えないのも当然ですわ)


『神眼』は見たいものを見せてくれる裏スキルだったのか。マナについては俺が見たいと思わなかったから見ることができなかったようだ。


(ということは、今『神眼』を発動したらマナの量も確認できるのかな?)


(ぜひとも試してくださいまし)


さっそく俺はエマルトリアのステータスを確認するため、『神眼』を発動する。


種族:ハイエルフ ♀

名前:エマルトリア・ポラリス・フィリフェラオーレア

Lv:99

MP:4789

腕力:178

頑強:234

俊敏:189

知能:989

スキル:鑑定、精霊魔法の極み、念話、統率

裏スキル:魂魄眼、聖樹降霊術


(見えた!Lvの下にMPが表示されているぞ!)


(それはよかったです)


そして俺は自身のMPも確認することにした。莫大な量のマナとは一体…


種族:マナポーション -

名前:

Lv:1

MP:9,999,999

腕力:0

頑強:0

俊敏:0

知能:0

スキル:

裏スキル:転生神の加護、神眼、夢幻収納


(んっ!?なんだこれ?)


(ご覧になりましたか?それが勇者様の魂の器に満たされた大いなる力ですわ)


(これってもしかして、俺が魔法を習得したら最強ってこと?)


(間違いなく、勇者様は地上最強ですわ)


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