誕生~ムガール王国~
初めて転生した俺はぼーっとしていた。
ついさっきの出来事が衝撃的すぎたのだ。
生まれたばかりの赤ん坊だというのに、全く泣き声を出さないため、周りの人たちが心配そうにこちらを見ている。
「おお!リリア、出かしたぞ!」
「陛下!勝手に入ってこられては困ります!」
ちょび髭のおっさんが大声をあげながら近寄ってきた。
なんとなく立派そうな服を着ており、顔だちも整っている。
「あなた、そんなに慌てなくても、ふふふ」
リリアと呼ばれた女性は微笑みながら俺を抱き寄せた。
柔らかくていい匂いがする。
たぶん俺の母親だろうと思う。
「しかも男の子だ!我がムガール王国もこれで安泰だな!」
このおっさんは王様なんだろうと思う。
つまり俺は王子か?
素晴らしい、素晴らしい転生ライフだ。
ありがとう、転生神ルキアス。
すると伝令係の兵士が慌てて部屋に飛び込んできた。
「火急の事態あり、国王陛下に伝令です!」
なんだろう?
「騒がしくするな、どうした?」
慌てて部屋に入ってきた伝令兵が報告する。
「実は『正義教団』を名乗る者たちが城に押しかけてきまして、、、」
「む、リリア、ゆっくり休みなさい。私は仕事に戻る」
「はい、あなた、お気をつけて」
おっさんは厳しい顔をして部屋を後にした。
火急の事態の内容は聞き取れなかったが、何か嫌な予感がする。
「正義教団」て何だろう。
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その後、俺は二度とおっさん、いや父上と再会することはなかった。
この日、「正義教団」を名乗る者たちの手によってムガール王国は滅ぼされたのであった。




