マナポーション
次に意識を取り戻した俺は薄暗い家の中にいた。
周囲にはガラス瓶に入れられた液体が整頓された棚が並んでいる。
前回はブラッディポイズンタンポポに転生した俺は、ポーションに加工されるために、ハイネ婆という人に売られたはずだが…
「ふぅむ、このポーション、妙だねぇ」
婆さんが顔を近づけて俺を睨んでいた。
たぶんこの人がハイネ婆さんだろう。
「普通に作ったはずなのに、なんだかこのマナポーションだけ輝いているようだ」
俺は自分の姿を確認した。
なんとなく俺が入っているガラス瓶は輝きを放っているように見える。
俺が転生したブラッディポイズンタンポポを原料としたために、神々しくなってしまったのだろうか。
「うーん、500年生きてきてこんな現象は初めてだよ。さてどうしたもんか…」
俺はどうにかして婆さんと意思疎通を取りたかったが、現在俺はポーションに転生しているため身動きが取れない。
「よくわかんないけど試しに飲んでみるか…」
俺は危機を感じた。
どうやら長寿らしい婆さんに飲まれてしまったら次に転生するのはいつになることやら。
早くセラを回復する手段を探さないといけないのに…
と、俺は『夢幻収納』の事を思い出した。
このスキルがあればなんだって収納することができる。
婆さんが俺を飲もうと手を伸ばしてきたその時、俺はとっさに自分が置かれている棚を丸ごと収納した。
当然、棚に陳列されていたポーションは床に落下して粉々に砕け散った。
俺は『夢幻収納』を再度発動し、床に落下する前に棚を再出現させた。
するとどうだろう、俺が転生したマナポーションだけが無傷のまま棚に納まっているのであった。
「なっ!これは一体どういう現象だい?しかしこれは私の手には負えないね…」
婆さんは眉間に皺を深くして俺に問いかけた。
「もしかしてお前さん、私の言葉を理解しているのかい?それなら安心しておくれ、もうお前さんを飲んだりしないから」
そういってハイネ婆さんは再び手を伸ばしてきた。
飲むつもりがないと聞いて、俺はじっとしていた。
そしてハイネ婆さんは再び難しい顔をしてこう言った。
「このマナポーションはエマルトリアに鑑定してもらった方がいいかもしれないね」
こうして俺はポーションのまま、エルフの里を訪れることになったのであった。




