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屍の檻

地面からせり上がってきた無数の骨は格子状に組み合わさっていき、大きな檻となって俺たちを閉じ込めた。

その時背後から絶対に聞きたくない声が響いた。


「ちっ、手間取らせやがって。しかし俺の『屍の檻』によって補足された者は、二度と檻から出ることはできない」


どうやらこの骨でできた巨大な檻は、スカーフェイスの裏スキル『屍の檻』の効果によるもののようだ。

このスキルによって捕縛された者は、スカーフェイスとのデスマッチを強制されるらしい。


スカーフェイスは血まみれだった。

しかし負傷している様子ではないので、おそらく返り血だろう。


「フォレストウルフ達は!みんなは!?」


「ふん、駄犬どものことか。それならもれなく真っ二つだ」


なんとスカーフェイスはこの短時間で10頭ものフォレストウルフを両断し、俺たちに追いついたのだ。

すさまじい腕前と脚力だ。


「そしてお前たちも真っ二つだ」


スカーフェイスは血濡れの剣を引き抜くと、鞘を投げ捨て突進してきた。


『屍の檻』


そして手加減する気がないのか、またしても裏スキルを使用した。

無数の骨が絡みつき、俺たちの乗るフォレストウルフは身動きが取れなくなっている。

そして骨はその背に乗る俺たちを捕えようと手を伸ばしてきた。


「っ!いけない」


セラはとっさにフォレストウルフの背から飛び降りた。

そして次の瞬間、フォレストウルフは真っ二つに両断されていた。

そう、縦に真っ二つだ。


『聖女神の加護』


セラは急いでフォレストウルフに近づくと、『聖女神の加護』を発動して治療を試みた。

しかし既に絶命したフォレストウルフは生き返ることなく、骨の海に飲み込まれていった。


「なっ、なんで回復しないの!?」


「この方法は俺が編み出した。縦に真っ二つにされた者はたとえ『聖女神の加護』による回復であろうとも、復活させることはできないのだ」


スカーフェイスは不敵な笑みを浮かべながら近づいてきた。


「さぁ、二人まとめて真っ二つにしてやる」


あと数メートルでスカーフェイスの間合いに入ってしまうことだろう。

その時、セラの空だがひときわ強い光を放った。


「ホーリーアロー」


セラは頭上に向かって弓を引くような動作をすると、光の矢を放った。

光の矢は『屍の檻』による骨格子にあたると爆散し、当たったところはわずかな亀裂が走って空が見えた。


「あの亀裂から外に出ればっ」


しかしわずかな亀裂はあっという間にふさがってしまった。

『屍の檻』は自動で修復するらしい。


「セラ、避けろ!」


そこへスカーフェイスによる一撃必殺の斬撃が迫る。

セラは俺を抱えたまま大きく跳躍して間合いを取った。

逃げた先にまたしても骨の手が出現し、セラの足はがっちりと掴まれてしまった。


「やばい!」


「ホーリースラッシュ」


セラはとっさに聖なる斬撃を自分の足に向けて放った。

切断された足から血が噴き出すが、構わず走る。


『聖女神の加護』


よろけながらも走るセラの足は光り輝き、いつの間にか回復していた。


「やはり厄介な能力だ」


スカーフェイスは猛スピードで接近し、斬撃を放つ。

セラは俺を抱えながらなんとか斬撃をかわすが、逃げ道は制限されている上に地面から骨の手が出現して邪魔をしてくるため、とうとう追い詰められてしまった。


スカーフェイスはスキルを連続発動させた。


『剛腕』『硬化』『連撃』


「必殺、十二連斬!」


身体能力向上のスキルをすべて発動したスカーフェイスは、必殺の一撃を放った。


一瞬のうちに十二回もの斬撃が俺とセラに迫る。

一撃を避けるのにも苦労していたのに、この手数はとてもではないが避けきれない。


「キングは私が守るんだ、ホーリーシールド!」


俺たちの周囲に光り輝く盾が無数に出現し、十二連斬を防ぐ。

しかし斬撃の威力はすさまじく、盾はあっという間に破壊されてしまう。


するとセラは俺をその場におろし、拳に光を集めた。


『疾風』


セラはスキルを発動すると、速度を活かしてスカーフェイスに接近した。


「ホーリースマッシュ!」


セラの聖なる拳がスカーフェイスの腹に直撃する。

そしてセラの拳は勢いそのままにスカーフェイスの腹を貫通したのだった。


「ぐはっ!」


腹から大量に出血してその場に倒れ込んだスカーフェイスは、そのままピクリとも動かなくなった。


「死んだか!?」


腹に大きな穴が開いて生きている人間はいないだろう。

それでも死なないとすればそれは人間ではなく、怪物だ。


「げふっ、こんなに最悪なのは久しぶりだぜ…」


スカーフェイスは顔面蒼白で血を吐きながら立ち上がった。

そしてスカーフェイスは最も凶悪な裏スキルを発動した。


『邪神の加護』


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