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聖女神の加護

セラに助けられたおかげで俺の寿命はわずかに延びた。

しかしセラの右腕は切断されており、状況は相変わらず最悪だ。


俺は『神眼』を発動し、セラのステータスを確認した。


種族:人間 ♀

名前:セラ

Lv:68

腕力:88

頑強:112

俊敏:412

知能:426

スキル:聖魔法の極み、狼語、疾風

裏スキル:聖女神の加護


俺が死んだ後にずいぶんと鍛えたことがわかる。俊敏はスカーフェイスにわずかに及ばないものの、知能は大きく上回っている。

これはセラが魔法を得意とするためだろうか。

昔は単に『聖魔法』だけだったのが、『聖魔法の極み』となっている。


「ふん、女よ。右腕を失ったお前に何ができるというのだ。お前はすでに戦える状態ではない」


「そう、普通なら右腕を失った状態で戦える人間はいない。でも私は違う」


突如としてセラの右腕の切断された部分が光を放った。そして次の瞬間、なんとセラの右腕は元通りにくっついていた。

いや、くっついたというよりも、生えたというのが正しいかもしれない。


「お前!その輝き、その回復能力…もしや『聖女神の加護』を受けた人間か!?」


「それはお前たちが一番よく知っているはずよ。10年前に私をさらって檻に閉じ込め、森に棄てたんだもの」


「ちぃっ!だから脳天から真っ二つに切断して確実に殺せといったのに!」


スカーフェイスが縦に真っ二つに切断していたのは『聖女神の加護』を持つ人間と対峙した時のための対策だったのかもしれない。

『聖女神の加護』持ちの人間であれば、たとえ上半身と下半身が泣き別れになったとしても、一瞬のうちに再生できることだろう。

やはり神の加護は奇跡的な効果を持っている。


セラは俺を抱えて小さな窓から外へ飛び出した。

するとそこには10頭ほどの若い雄フォレストウルフが待機していた。


「ウォウ!ウォウ!(後ろからくる男を妨害して!)」


「「「ワフ!(了解)」」」


なんとセラはフォレストウルフと会話できるようになっていた。


そういえばスキル欄に『狼語』というのが入っていたな。


セラは俺を抱いたままフォレストウルフにまたがると、森をめがけて走らせた。


「えへへっ、キング、ずいぶん可愛くなっちゃったね」


「人間として会話するのは初めてだな、セラ。どうしてここがわかった?」


「赤ちゃんなのに普通に会話できるっておかしくない?」


俺が普通に会話しているのを聞いて、セラは目を丸くした。

意識は元のままだし、声を出すことができれば赤ん坊の俺でも問題なく会話できるようだ。


セラは先ほどの質問に答えた。


「フォレストウルフ達がね、キングは生きているって教えてくれたんだ。あのレメェンの木からキングの匂いがするってね。だから私は定期的にレメェンの木を訪れてお墓参りしてたんだよ」


俺がレメェンの木として転生した後も、セラ達は定期的に俺のことを観察していたようだ。

それにしても転生しても匂いって変わらないんだな。


「そしたらある時レメェンの木が切り倒されちゃったから、慌てて私たちはキングの行方を追ったんだ。そうしたらさっきの家の中からキングの匂いがするって、この子が教えてくれたんだ」


どうやらフォレストウルフ達は匂いを追って俺を探し出すことに成功したようだ。

狼の嗅覚は本当に鋭いな。


「しかし驚いたな。セラはすっかり大きくなった」


「えへへっ、これからはキングは私が守るからね!」


セラは顔を赤くして嬉しそうに言った。

ずっと俺に恩返ししたかったのかもしれない。


「(そしていつかキングのお嫁さんに…)」


「何かいったか?」


「ううん、なんでもないよ!それよりあれを見てっ」


セラの指さす方向を見ると、そこには草原が広がっていた。

ちょうど、俺が生まれた町と森の中間地点までたどり着いたようだ。

地形には起伏があり、やや小高い丘に100頭を超えるフォレストウルフが待機しているのが見えた。


「町にみんなを連れて行くわけにはいかないからあそこで待ってもらってたんだ。みんなと合流すれば安心だね」


セラは安堵してため息をついた。

『聖女神の加護』によってほとんど不死身の再生能力をもつセラだが、強敵を相手にして緊張していたのだろう。


と、その時だった。


『屍の檻』


俺たちの周囲30m四方の地面から何か蠢くものがせり上がってきた。

よく見るとそれは無数の骨だった。






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