表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

長月想話 1:万年筆と輝く文字

 万年筆で文字を書くのが好きだ。


 この時代、最終的に文章を発表するのはデジタルであり、私も清書はテキストエディタで打ち込むのであるが、下書きはまず紙に万年筆で書く事にしている。

 それは、手書きで、そして万年筆で書くことで、文章に自分の表現したい事、「思い」が文章に伝わる、文章に「乗る」と考えているからである。


 文章を書く者であれば。特に創作として表現したいと思っている者であれば、自分の胸の中、心の中に表現したい「何か」があり、それが溢れたものが文章として現れている筈である。

 「何か」の形や色、温度等は、表現者の思いによって様々であろう。


 私が主に伝えたいものは、キャラクターの思いであり、優しい気持ちであり、暖かい思いである。こうした思い、そして暖かさを文章に乗せたい、読者に伝わって欲しいと願っている。

 そして、こうした「暖かさ」は、自分の手そのもので、紙に筆で書く事で、紙の上に、そして最終的には文章に「乗る」「宿る」と私は信じている。

 古い考え方であるし、そもそも最終的にはエディタでテキストデータとして打ち直す訳であるが……ともかく、そう考えている。


 そして、紙で文章を書く時に、万年筆で書くのが、私は大好きだ。

 理由の一つが、良い文章を書くには良い筆記具から、という個人的な考えからである。

 そしてもう一つの……何より大きな理由が、万年筆で紙に書く文字が「美しい」からである。


 私は乱筆なので、「字が綺麗」なわけではない。

 万年筆で紙に描く字の輝きが、描かれた字が紙に吸い込まれる様子が、美しいのだ。

 万年筆の金色の柔らかい筆先が、紙の上を踊る美しさ。そして、描かれた文字は、インクが乾くまでの束の間であるが、紙の上で光って、輝いて見えるのである。

 自分の書いた文章が光っている、輝いている。生きている様であり、光の筆で書いた文章から、自分の伝えたい思いや暖かさが、インクに宿って輝く文字となり、紙に伝わっている様に感じられるのである。

 だから、万年筆で文章を書く事が、筆を走らせている瞬間が、私は大好きだ。


 そんな訳で、現在も私は文章の下書きは、万年筆を使って紙に書いている。きっと今後の作品についても、同様であろうと思う。

 作品を書く際に、私の心の中から溢れる思いが。少なくとも万年筆で書く際には、紙に伝わっている、暖かくて輝いている筈の文章が。清書されて読者の皆さんが読まれる際にも、宿り続けて、伝わっている事を願いつつ……

 私は今日も、文章を書いています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ