↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/186

11話 ボクっ娘、第1職業がSSSランクの魔導士、第2職業がAランクの格闘家、だってさ。



 レイ、ラプソディ、ハニ、リガロンの4人は、ポーロ町を救った。

 エルフたちは、彼らに感謝し、町長は謝礼として金銭を渡そうとした。

 その金銭を受け取らず、レイは答えた。


「破壊された防御壁の修繕費に、使ってください」


 ラプソディが、うっとりと言う。


「さすが、レイね。気高い心だわ」


 ハニがショックを隠せず呟く。


「ラプソディ様が、人間ごときに骨抜きにされています」


 レイたちは王都へと戻った。

 だが、すぐに冒険者ギルドに呼び出されることになった。

 ポーロ町での一件が、すでに冒険者ギルドの耳に入っていたようだ。


 レイたち4人は、冒険者ギルドの本部に向かった。幹部による、事情聴取を受けるために。

 このとき、ハニの手元には、すでに偽の身分証があった。ワープ魔法によって、最速で送り届けられたわけだ。


 レイは、リガロンのことを、次のように紹介。

 リザードマン集団のポーロ町への襲撃を密告してくれた、善意のリザードマン、と。

 ルレ村での家畜泥棒の件は、なかったことにした。嘘をついたわけではない。話さなかっただけだ。

 冒険者ギルド側も、ポーロ町での襲撃事件が大きすぎて、家畜泥棒のことなど忘れていた。


 レイ達は、ポーロ町を救うためとはいえ、冒険者ギルドの指示を待たず、勝手に行動した。それは違反といえる。

 だが、一方で冒険者ギルドは、結果を重んじる。

 レイ達は、結果を出した。並みの冒険者では出せない結果を。


 事情聴取が終わってみれば、レイはEランク戦士に昇格していた。

 ポーロ町での実績が認められたためだ。

 さすが成果重視の冒険者ギルドだ。

 冒険者ギルドのライバルである王国騎士団では、こうはいかないだろう。あそこは規律を異常に重んずる。独断での行動は、懲罰ものだ。


 とにかく、レイとしては結果オーライだった。

 事情聴取から解放されたところで、受付係のローラのもとへ行く。ラプソディ、ハニ、リガロンも一緒だ。

 ローラは満面の笑み。


「レイ君。大活躍だったみたいですね」


「仲間のおかげだよ。紹介しよう、ローラ。獣人でラプソディの友である、ハニ。ポーロ町への襲撃を教えてくれた、リガロン。2人とも、冒険者ギルドへの入団を希望している」


「承知しました。身分証をご提示ください」


 ところが、リガロンは身分証を所持していなかった。

 そこで、まずは身分証を、役所から発行してもらわねばならない。役所に行かねばならないと知り、リガロンは呻いた。


 一方、偽の身分証を取得済みのハニは、問題なく入団。

 さっそく精霊玉で、ハニが適している職業を調べる。

 とたん、ローラが悲鳴に近い声を上げた。


「第1職業が、SSSランクの魔導士! さらに第2職業は、Aランクの格闘家ですって! ハニさん、あなたは何者なのですか!」


 レイは頭を抱えたくなった。さすが、ラプソディの親衛隊員というところか。

 ラプソディが不思議そうに言う。


「第2職業って、なに?」


「2番目に適正を持っている職業だ」


「ふうん。あたしも欲しいわ」


 レイは、ローラに聞こえないよう、囁き声で言った。


「ラプソディの場合、第1職業も第2職業も関係なく、ぜんぶトップクラスだろ。ややこしくなるから、諦めろ」


「Fランク魔導士で我慢しろ、ということ?」


「そう、我慢」


 それからレイは、声量を戻して、ローラに言ってみた。


「ローラ。ハニの適正職業のことだが──ラプソディのときと同じで、また精霊玉のバグではないか?」


 ローラは首を横に振る。


「いえ、そんなはずはありません。ラプソディさんの職業を診断したあとで、メンテナンスに出していますから」


「……そうか」


 ラプソディの場合、適正職業を診断した結果があり得なさすぎた。よってバグということで、ローラも納得した。

 しかし、ハニのSSSランク魔導士というのは、あり得なくはない。

 もちろん、どんな職業でも、SSSランクなど数えるほどしかいない。しかも新入りがSSS、というのは、前代未聞ではある。

 だが、起こりえないことではないのだ。


 かくして、ハニは前代未聞の新人として、冒険者に加わった。


(これは注目の的になってしまうなぁ。あまり目立ちたくはないのだが)


 なんといっても、このパーティには、魔族が2人もいるのだから。


 後日。

 役所で身分証を発行してもらったリガロンが、改めて冒険者ギルドを訪れた。精霊玉によって、リガロンの職業は、Dランク戦士となった。


 その夜、ラプソディは気に入らないという口調で、言ったものだ。


「レイが、ようやくEランクというのは、納得がいかないわ。レイの気高き心は、もうそれだけで、SSSランクを超えているわよ」


「ラプソディの、その気持ちだけで、充分だよ」


「もう、レイったら」


 寝室のベッドでの、会話である。



※※※※



 冒険者の給与は、達成したクエストで変わる。つまり、難易度の高いクエストのほうが、実入りは良い。

 そして、難易度の高いクエストを受けるためには、それに見合ったランクが必要となる。

 ランクが高くなるほど、高給取りになるのは、そういう事情だ。


 また同じクエストでも、少ない人数のパーティで挑めば、その分、一人の取り分は多くなる。

 ただし、取り分を多くしようとして、最低限の人数も集めずクエストを行えば、待つのは死のみだ。


 パーティの各メンバーのランクについて、ギルド側は規定を設けていない。

 Aランクだけで固めても良く、SSSランクからFランクまで揃えても良い。

 リーダーは必要だが、リーダーのランクにも指定はない。


 ただし、受けられるクエストのレベルは、パーティの総体的な実力によって決まってくる。レイのパーティは、各メンバーのランクだけを見ると、かなり歪だ。

 SSSランクが1人・ハニ、Dランクが1人・リガロン、Eランクが1人・レイ、Fランクが1人・ラプソディ。


 一般に、高いランクから並べて、SSS~Aランクまでが、トップクラスとされる。B~Dランクまでが中堅。EとFランクは、底辺だ。

 そう考えると、レイのパーティは歪でありながらも、ある意味ではバランスが取れているとも言える。


 さて、レイたちがパーティを結成してから、6日後。

 ラプソディの提案で、このパーティで初めてのクエストを受けることになった。


 というわけで、4人の冒険者は、冒険者ギルド本部の前で集合。

 同じ家に住むレイとラプソディは、連れだって来た。

 王都内に住居を見つけたハニは、そこの家から。

 リガロンだけは、王都の外からだ。リザードマンへの偏見は強い。身分証を持っていても、王都内で住居を見つけるのは、難しかった。


 ラプソディが期待に満ちた様子で言う。


「難易度が最強のクエストを受けたいわね」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。