素人童貞境界線論
素人童貞について、ふと気になったことを書いてみます。
既出でしたらごめんなさい。
ある日のこと、弟子が師匠の家を訪ねた。
弟子「師匠、ご報告したいことがあります」
師匠「なにかね?」
弟子「この度、私は童貞を卒業し非童貞になりました」
師匠「それはおめでとう。相手は誰かね?」
弟子「はい。隣町のソープで卒業いたしました」
師匠「なに? それは非童貞とは言わんぞ。君は素人童貞になってしまった」
弟子「なんですって!? 素人童貞とはなんなんです?」
師匠「よろしい、教えよう。素人童貞とは風俗嬢にお金を払って性交渉をするも、素人女性とは性交渉したことのない者のことをいう」
弟子「なんということだ。僕は非童貞ではなく素人童貞だったのか」
師匠「残念ながらそういうことになる」
弟子「師匠、確認と質問をよろしゅうございますか?」
師匠「なんなりと」
弟子「確認です。風俗嬢とは性交渉で生計を立てている者。素人女性とは性交渉で生計を立てていない者と解釈してよろしいでしょうか?」
師匠「相違ない」
弟子「では質問です。僕が素人女性に金銭を支払い性交渉した場合は素人童貞でしょうか?」
師匠「童貞卒業、非童貞である」
弟子「なぜですか? 私はお金を払ってしまったのですよ」
師匠「先に述べたように、素人女性は風俗嬢ではない。確かに金は受け取ったが、それで生計を立てているとは言い難い」
弟子「合点がいきません。風俗嬢でも素人女性でも僕は平等にお金を支払い性交渉したのです」
「同じ事をして素人童貞と非童貞と結果が異なるのはおかしいではありませんか」
師匠「愚か者め、そんなことを言うから童貞を卒業できんのだ」
「よく聞きなさい。男子たるもの女子の心を射止めるならば、レストランに入れば食事代、車に乗ればガソリン代、プレゼントを贈り、ホテル代は全額支払うものだ」
「このとき男は女のために風俗に行く以上に金を支払っている。なにより女に直接お金を渡していないことが大きい。ここまでして女性を性交渉に持ち込んだ男を素人童貞と呼べるのかね?」
弟子「素人童貞ではないと思います。その男は非童貞です」
師匠「よろしい。相手が素人女性で金を使って性交渉したとしても、その男子は非童貞なのだ」
弟子「もう一つ質問をしてもよろしゅうございますか?」
師匠「なんなりと」
弟子「僕が風俗嬢に金銭を支払わず口説き落として性交渉をした場合は素人童貞でしょうか」
師匠「なんという愚問。非童貞に決まっているだろう」
弟子「なぜです? 風俗嬢は性交渉で生計を立てているのですよ。プロですよ」
師匠「しかし、お金を出していないのでは生計を立てられていないではないか。仕事ではないプライベートだ」
弟子「風俗嬢のプライベート中に金銭を支払わずに性交渉すれば僕も童貞卒業と認められるわけですね」
師匠「その通り。風俗嬢で非童貞になるためには勤務時間外で金銭を払わず性交渉をすることだ」
弟子「ありがとうございます。もう質問はございません。今度こそ脱素人童貞して非童貞になってみせます」
師匠「うむ、頑張れよ」
数日後、弟子は再び師匠の家を訪ねた。
弟子「師匠、ご報告です。今度こそ素人童貞卒業です。僕は非童貞になりました」
師匠「本当かね。状況を詳しく話しなさい」
弟子「はい。道を歩いていたら見知らぬ女が僕に声をかけてきたんです。
すると、彼女からセックスを誘ってくるじゃありませんか」
師匠「ほほう、風俗嬢の営業ではないのかね?」
弟子「職業は聞いていません。知らないです」
師匠「それからどうなった」
弟子「すぐにホテルに移動し一発致しました」
「なんとホテル代は彼女が持ってくれたんです。僕は1円も使ってません」
師匠「ほほう、ラッキーだったな」
弟子「これで僕は晴れて非童貞でしょうか」
師匠「そうだろうな。風俗嬢なら君に金を請求しただろう」
「おめでとう、君は紛れもなく脱素人童貞の非童貞だ」
弟子「やった! ありがとうございます」
弟子は脱童貞を認められた嬉しさに飛び上がって喜んだ。
彼は軽い足どりで師匠家から出て行った。
師匠は弟子の帰宅を確認し、そして真実をあなたに語る。
師匠「読者よ、実は弟子の脱童貞の話には裏があるのだ」
「私は素人童貞の彼が気の毒に思えてな」
「ある風俗嬢に金を払って弟子と性交渉してもらったのだ。つまり――」
・弟子と性交渉した女は風俗嬢である。
・師匠がホテル代と性交渉代を支払った。
・弟子はお金を使っていない。
・弟子は師匠が風俗嬢にお金を払ったことを知らない。
・弟子は性交渉した女が風俗嬢であるあことを知らない。
・弟子は自分が素人女性と性交渉し童貞卒業したと信じている。
師匠「さて、私の弟子は素人童貞かね? それとも非童貞かね?」
正解については私もよくわかりません。謎です。
ご意見をお聞かせいただければ幸いです。