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転生したら幼女吸血姫でした  作者: たんでん
日常編:第一章
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第1話

魔力とは到底人智では計り知れないものであると、私はいまさらながら理解した。

もしもその根底を真に解さんと欲すならば、己の生を賭す覚悟をしなければならない。

それは、神の摂理を解き明かすに等しいのだから。


                  ――――――ローレンス・ターカー 「魔力の根源」 序文より











 >第1話・不思議な転生<











「どう考えてもおかしいでしょ、コレ……」


 そう僕は、目の前にある金髪の()()()が映った鏡を見つめながら嘆いた。


「メル~、どうかした~?」


 そばにある扉の奥、おそらくキッチンと思われるところから、僕の姉だという女の子――リリーカさんから声をかけられる。

 正直あんな小さな女の子にさんを着けるのはおかしいと思うが、リリーカさんからは初めて会った時からずっと、何かカリスマ的な力を感じるのだ。

 …………見た目だけなら今の僕の方が小さいというのもあるのだが。


「いえ、大丈夫、です……」

「そう? 分からないことがあったら何でもお姉ちゃんに言ってね?」


 とりあえず分からないことだらけです。


 …………。


 よしっ、まずは現状整理だ。第一に今目の前にいる美少女、いや美幼女とでも言うべきか。見た目は10歳、ヘタすればそれよりも小さいくらいと、前の僕からは想像できないが、コレが今の僕の姿らしい。

 髪は金髪のロングで結ばずに下ろしてある。

 服はまるで病院の白衣のようなもので、現状、寝ていたベットと合わせると本当に病人のようだ。

 肌は日に当たったことがないような透き通った白色で、瞳は乾いた血のような暗い赤色。

 そして一番重要なのはめっちゃ可愛いということだ。これが僕でなかったら玉砕覚悟で告白してしまいそうなぐらいの、超絶美少女。

 別に僕がロリコンという訳ではないのだが、前がはだけた服の隙間から見える白い下着や、困惑した表情でこちらを見つめる姿からは、どんな男でも落とせそうな、そんな妖艶な雰囲気を醸し出されていた。


 と、そこまで鏡を見つめて確認したところで、リリーカさんが扉の奥から出てきた。手にお皿を持っているので料理を作って持ってきてくれたみたいだ。


「大丈夫? 体に異常はない?」

「はい。特に以上みたいのは無いとおもいます」


 僕が返事をすると、リリーカさんは本当にほっとした様子で「よかった……」といった。

 それでもなぜか心配らしく、「でも念のためステータスプレートを見せて」といわれた。


 ん……? ステータスプレート……?


 それが何なのかは分かるが、今の僕は服以外何も持っていない。それはリリーカさんも分かっているとは思うが……。もしかして何か特別な動作をすれば開くのだろうか。分からなかったらとりあえず聞こう。

 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥、ってね。分からないことは聞くに限る。


「すみません。ステータスプレートというのは――――」

「ああっ、ごめんねっ、分かんないよね、今説明するから」


 少し食い気味に返されて驚いたが、どうやら説明してくれるらしい。

 それにしてもリリーカさんから少し気迫を感じるのは気のせいだろうか。

 目が覚めたときのあのリリーカさんの反応も気になるし、何より転生のはずなのに10歳の女の子になっている時点でおかしいのだ。考えられる可能性は、何かの手違いでこの"メル"という女の子に憑依してしまったか、これがあの神様の趣味なのか。どちらにしろ、はた迷惑な話である。


「お~い、聞いてた?」


 と、リリーカさんの言葉で現実に引き戻される。


「あっ、すみません……。もう一度説明してもらっていいですか」

「やっぱり聞いてなかった……。ほんっと、相変わらず何か考え始めると、人の話を聞かないんだから……」

「えっ――」

「ほらっ、もっかい言うからよく聞いてよ」

「あっ、はい、わかりました」


 そうして少し気になることはあったけれど、もう一度説明が始まる。今度は聞き逃さないようにしないと。

 何か言う前に、リリーカさんは左手の人差し指と中指を立てると8の字を描くように動かす。


「まずステータスプレートの開き方はこんな感じ。コレは私のだけど、その人の名前や種族や今もってるスキルなんかが表示されるからね」


 すると動かした指の軌跡が光り、一枚の青白く光る板が出てくる。これがさっきから言っていたステータスプレートだろう。

 とにかく僕もまねをして同じように左手を動かしてみると、同じようなステータスプレートが現れた。


「おお~、出来たみたいだね。じゃあこっちにくるっとして、見せてくれる?」

「えっと……、くるっですか」

「そうそう、くるっとね。くるっと」

「こ、こんなかんじ、かな?」


 ステータスプレートの下に手を当てて軽く押すように動かす。すると両面ホワイトボードのようにステータスプレートがくるっとまわって、リリーカさんのほうを向いた。


「いや~、メルは理解が早くて助かるな~」


 そういいながらリリーカさんは僕の出したステータスプレートを確認していく。

いくつかのステータスを見ると、「よし、特に異常は無いみたいだね。でも少し疲労が溜まってるみたいだから、もうちょっとねたほうがいいかな」と、言った。


 確かに少し体が怠い。ここはお言葉に甘えて横にならせてもらおうとベッドに腰かけたところで、うっすら目が赤く光っている、少し慌てたような表情のリリーカさんと目が合った。


「おやすみ……。メル……」


「おや、す、みな……さい……」


 そう答えて僕は近づいてくる誰かの足音を聞きながら、意識を手放した。











▽▲▽▲▽▲▽











 目を開けるとそこは何もない白い空間でした。まる。

 じゃなくて、一体何処だここ!?


『ここは天界。お主らの言葉で云うところの、神が住む世界じゃ』


 えっと……つまり、アレ? よくある"あなたは神のミスにより死んでしまいました"的なヤツってことか?


『そうなるのぉ』


 なんとも気の抜けた返事。そんなだからミス何て起こすんですよ。


『なに、虫に転生させてやってもよいのじゃぞ?』


『おおぉ! お主がそこまで敬虔な信徒じゃったとは!』


 ダメだ、とてつもなく嫌な予感がする。何か厄介事を押し付けるつもりじゃないかこの神様。その証拠に、悪巧みをしている子供のような目でこちらを見ているし……。


『なに、簡単なことじゃ。今から転生させる世界にいる邪神を討伐してほしいだけじゃ。ちなみに反論も質問も認めん。お望み通りチート能力は与えておいてやるから頑張るのじゃぞ――――』


 いや、ちょっ、それは無責任すぎるんじゃ――――。


 唐突に足元が揺らいだかと思うと、刺すような頭痛に襲われる。


 そうして薄れ行く意識の中、僕の視界は黒く塗りつぶされていった。











▽▲▽▲▽▲▽











 最初に意識が戻った時、僕の体は動かせなかった。いや、そう思ってしまうような猛烈な倦怠感を僕は感じた。


 怠い。眠い。


 そのまま僕は押し寄せるような眠気に誘われるようにして、意識を落としていった。






 次に目が覚めたら、ベッドの端に突っ伏して寝てる人がいることに気付いた。

 長い金髪をベッドに広げて、その女の子は寝ていた。

 それにしても、この子は大きくないだろうか。見た目の年齢に対して身長が大きいというか、体の比がおかしいというか。

 全体的に視界が低いし、頭が重いし、さっきからチラチラと金色の糸のようなものが視界の端に写っている。一体何だというのだろう? 訳がわからない。頭が痛い。思考が纏まらない。目の前が靄がかかったように分からなくなる。


 そのまま――――、


 目の前が急に――――――――、


 真っ暗になっていき――――――――――――、










『大丈夫だから…………、メル…………』





 唐突に声が聞こえて、体が暖かいものに包まれた。





『メルのことは……、お姉ちゃんが、守るから……』





 その女の子の抱擁は、初めての筈なのに、何故か、とても安心感があって――――。





「ぐすん…………、ひっく…………、ぐす………………」












 ――――――――そして、とても懐かしいものだった。

初めまして。作者のたんでんと申します。

本作品を読んでいただきありがとうございました。

作者はこれが処女作であるため、文才の無さ、更新の遅さ、誤字脱字などご容赦頂けると幸いです。至らない点は多々有りますが、頑張って完結までは漕ぎ着けたいと考えておりますので、今後も読み続けて頂けると嬉しいです。

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