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第11話

「そ、そ、そんな姿でなにを!」

「ちょ、ちょっと! 見ないでよ!」

「す、すまない!」


 ルイがうしろを向いた隙に、わたしはサイドテーブルにあったドレスを素早く着込んだ!


「もう、いいわよ!」


 こちらを向き直ったルイは真っ赤な顔をしている。 

 ノエル・トマのような美女と毎日一緒に接しているくせになんなのだろう。

 

「リンダ、心配したんだぞ! ミシェルの部屋でなにを?」

「わからない……気がついたらここにいたの……」

「なんだって! じゃあ……ノエルたちの企みか?」

「ミシェルがわたしの背中の蛇をスケッチしてたわ……」

「なに? 蛇の模様をか? わたしは彼女たちにその話はしてないぞ!」

「あなたと結婚した時点で、ドミニク・トマの言葉から推察したのでしょう。それにしても……蛇の模様をばら撒いて謎が解ける人間を捜すと言っていたけど……」

「まったく! ミシェルたちも勝手ことを! リンダ、恐かったろう? あとで怒鳴りつけておくから! 皆の手までわずらわせて、あいつら!」

「怒鳴るって……そうね。今後、こんなことがないように釘は刺しておいて! それよりここから早く出ましょう!」


 ◇ ◇ ◇ ◇


 わたしたちは皆のところに戻った。

 無事をよろこび、ミシェルたちのイタズラだからと大事にしないでもらった。

 ノエル・トマとミシェルは探したが、どこにもいなかった。


「リンダ! 大丈夫だった?」

「オーロラ! ミシェルに誘拐されて背中の模様をスケッチされたわ。ばら撒いて謎を解ける人物を探すと言っていたけど……」

「それならそうと、リンダにちゃんとお願いしてからやればいいのに! あんの男はー!」

「オーロラとアーサーのことを嫉妬してたわよ」

「はあっ? なんなの、いったい?」

「リンダ、とにかく無事でなによりだったよ。まったく、人騒がせな連中だ! だが、蛇のスケッチはナイスアイデアだな! それは思いつかなかったよ。ミシェルもなかなか頭がいいな」

「ミシェルはアーサーとオーロラとのことを嫉妬してたわ。気をつけてね」

「ミシェルがわたしに嫉妬か? そんなイヤな奴には見えなかったけどな」

「でも、恋愛がからめば人間は何をしでかすかわからないわ。用心しましょう」


 ノエル・トマとミシェルはスケッチを近隣の村々にばら撒き、何食わぬ顔でもどってきた。

 ルイからはきつい糾弾があったようだが、その後は2人とも何事もなかったかのように接してくるので、こちらからも特に何も言わなかった。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇


 ところがそれからほどなくして、蛇の模様に心当たりがあるという人物が現れた。


「ルイ! 蛇の模様を知っている人が現れたの?」

「それが……いつかの占い師なんだよ、リンダ」

「占い師ってあの、樹の家に住む老人のこと?」

「そうだ。大広間に待たせてある。行ってみよう!」


 大広間へ行くと、いつぞやの占い師が肩にふくろうを乗せて待っていた。

 手にはミシェルがスケッチした、わたしの背中に広がる蛇の模様が描かれた紙がある。


「おお、ルイ王! 王妃もいっしょですか。我々の計画が功を奏し、遂に呪いを解く者が現れましたぞ! わたしの絵の腕前がよかったせいでしょう!」


 ミシェルが珍しく浮かれている。

 

「占い師殿……この前は何もわからなかったじゃないですか? どうして、いまさらこちらに?」

「ルイ王……あなたが王子さまだったとは……。この前は失礼おばいたしました。わたくしは蛇の模様のある女や魔女の呪いについては本当に何も存じ上げません。ですが、この紙が広場の掲示板に張られているのをぐうぜん見つけハタと思い至ったのです! この絵の蛇は2匹が複雑にからんでおります。しかし、よく見るとこれは、迷路を表していることに気がつきました」

「たしかに……地図に見えないこともないな……」

「わたしは20年前、この迷路の地図を手に王城の裏にある森へ入っていったことがあるのです」

「裏の森にこのような迷路が広がっているというのですか? あなたは、どうしてまたそんなところに……?」

「このペットのふくろうです! 前のふくろうが死んでしまったので、代わりのふくろうをもらい受けるために森の奥へ入っていったのです。うちは先祖代々ふくろうを飼っています。それも、森の奥深くに住むふくろうの精からいただくのです。ただし、そこに至るまではいろいろな仕掛けがあり、迷路になっているので一般人はたどり着けない仕組みになっています。我が家に伝わる迷路の地図とその蛇の模様がそっくりなのです!」

「なんと! では、この図はふくろうの精が住んでいる場所を指し示しているのだな?」

「たぶん、そうです。ふくろうは蛇の天敵です。何か意味があるのかもしれません」

「そうか! では、そのふくろうの精に会えれば呪いが解けるかもしれないな!」

「ルイ! やったな!」

「さっそく行ってみよう!」

「このふくろうをお貸しします。ふくろうの精のところへご案内しますよ」

「占い師殿、どうもありがとう! さっそく裏の森へ向かおう!」


 こうしてわたしたちは王城の裏にある森の奥に住むふくろうの精に会いに行くことになった。

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