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私の名前を呼ぶ人は(とっても短い婚約破棄 連載版)  作者: 桧山 紗綺
卒業後

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夜の街角

 メイローズ先生はふらふらした足取りながらも自分で立って歩いている。

 けれど時々足元が覚束なくなり、リシアと先生で慌てて支えた。

「メイローズ先生大丈夫ですか?」

 これからまた馬車に乗るのに、気分悪くなったりしないんだろうか。

 アルコールを飲んだことのないリシアにはわからないけれど、心配だった。

「おっと」

 メイローズ先生がまたふらつきアルベール先生が身体を支える。

 早く馬車を捕まえた方がいいだろうとリシアは先に通りに出た。

「リシア、ちょっと待って!」

 後ろから先生の声が聞こえてきたので姿を見失わない所で足を止める。

 灯りが点る街は昼とは様子が違って見えた。

 馬車を探すけれど見える範囲にはいない。

 どうしようかと思って先生たちが追い付いて来るのを待つ。

 ふと通りを渡ってくる二人組と目が合った。

「あれ? 一人?」

 知り合いのような声を掛けられて戸惑う。

 視線に嫌な物を感じて先生の方を振り返ろうとする。

「ちょっと、無視しないでよ」

 いきなり肩を掴まれたことに驚く。思わず顔を見返すとにやついた顔で肩に手を回してきた。

「俺イイ店知ってるんだ。 どう?」

 どう、と聞かれても意味がわからない。

 二人からはかなりお酒の臭いがする。

 酔っぱらって言動がおかしくなっているのかもしれない。

「えっと…」

「あれ? 警戒しちゃってる?

 大丈夫、怪しいヤツじゃないから俺たち」

 不審者とまでは誰も言っていないのに、やっぱり飲み過ぎて意思の疎通が出来なくなっているみたい?

「証明してあげるからー、まずは一軒行こうか」

 近くの店に行こうと手を引かれる。

 寄って力加減が出来ないのか痛いくらい強く手を引かれた。

 困って先生の姿を探して後ろを向いた瞬間、掛かっていた力が無くなる。

 視線を戻すと手首を掴んでいた男の人の手がない。

 何故か姿も見えなくて辺りを見回すと、足元に手を掴んでいた男の人が倒れている。

「?」

 首を傾げると肩に手を回していた人が怒鳴り声を上げた。

「何したテメエ!」

 男性の視線の方を見るとアルベール先生がいつの間にかすぐ近くに立っていた。

 半分眠っているメイローズ先生を抱き抱えたまま、リシアに視線を向ける。

「リシア、こっちにおいで」

 微笑まれて反射的に笑顔になる。

「はい、先生」

 先生の声に従って歩こうとしたら腕を強く掴まれた。

「痛っ…!」

 痛みで涙目になる。

「勝手に行こうとすんなよ」

 離してもらおうと身を捩っても力が強まり痛いだけだった。

「離してください」

 聞いてくれないのはわかっていたけど力だけでも弱めてほしいと訴えてみる。

 見上げた男性の顔が楽し気に歪む。

「じゃあさ…」

「…っ!」

 痛む腕を引っ張られ男性に一歩近づく。

 歪んだ笑みがリシアに近づいてくる。

「…ぐぁっ!」

 覗き込まれるほど近くに顔が来たとき、男性が崩れ落ちた。

「え…?」

 一瞬何が起こったのかわからない。

 男性はリシアの足元でうつぶせに倒れている。

「リシア、大丈夫?」

 先生がリシアに近づく。

 怪我などしていないか聞きながら腕に触れる。

「…っ」

 痛みに顔を顰めると先生が心配そうな瞳でリシアの腕を見た。

「戻ったら手当をしないとね」

 少し触られただけで痛い。

 傷を見るのがちょっと怖かった。

「まったく…」

 先生が鋭い瞳で男性たちを見下ろす。

 男性たちは動く様子がない。完全に意識を失っているらしかった。

「先生、何かしたんですか?」

 いきなり倒れるなんておかしい。

 いくら酔っぱらっていたからって突然意識を失うことはないと思う。

「さあね? とりあえずまた絡まれる前にここから立ち去ろうか」

「あ、そうですね」

 倒れている二人は気になったけれど、意識を失っているだけなので置いていっても大丈夫でしょう。

 丁度良く来た馬車を止めてメイローズ先生を乗せる。

「もう、飲み過ぎですよ!」

 さっきの騒ぎに全く気が付かないで目を閉じているメイローズ先生に文句を言わずにいられなかった。

 聞こえていないのはわかっていますけど!

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