収集癖
ふわふわと柔らかいベッドで眠ったせいか、とっても気持ち良く眠れた。
射し込む光の感じからすると、まだ早朝といっていい時間みたい。
すっきり目が覚めたので少し早いけれど身支度を整える。
髪を梳き終わり、鏡でチェックする。
窓から庭を見下ろすと、花の手入れをしているらしきジェフリーさんが見えた。
本当に他の屋敷の人を見ない。
観察しているとドアをノックする音が聞こえた。
「おはよう、よく眠れた?」
「はい、とっても」
覚えてないけれど夢見がよかったような気がする
迎えに来てくれた先生に気になっていたことを聞いてみた。
「先生、このお屋敷ってジェフリーさん以外いないんですか?」
そんなことはないと返ってくると思ったけれど、先生が頷く。
「この広さを一人でですか?!」
一人で屋敷を回しているなんて信じられない。
屋敷の隅々まで気を配っているのが伝わってくるのに、一人で?
驚きを顔に出すリシアに先生が説明してくれる。
普段はジェフリーさんだけなので一人でも十分手が回るそう。
「どうしても手が足りないときは臨時で人を雇うから不便はないよ」
「じゃあ今も誰か臨時の方が来てるんですか?」
「いや、今はジェフリーだけかな」
「…」
すごい…!
驚きに目を丸くする。
「そんなジェフリーの作った朝食を食べにいこうか」
「え…」
さっきまで庭園にいたのに。
窓辺まてで戻って確認すると、姿がない。
振り向いたリシアを見て先生が楽しそうに笑う。
降りていった食堂にはジェフリーさんの姿。
並んだ料理を見て唖然とする。いつの間に作ったというんでしょうか。
温かい作りたての料理はとってもおいしかったです。
先生の家の中を見て思ったことが一つ。
「先生の家って魔法とか魔道具の研究家でもいたんですか?」
収集癖がある一族だとは言っていたけど。
図書の傾向といい、置いてある品といい、魔道具関連の物が多い。
「記録に残ってはいないけど昔にそういう人がいたとは聞いたことがあるかな」
何代前かはわからないけれどそういう人がいたと言う。
聞いていた通り先生の家には魔道具に限らず変わった物がたくさんある。
「これは魔道具じゃないんですか?」
くるくると踊る像を指して聞く。
「それは絡繰りの部類だね。 魔道具と違って魔力で動いているわけじゃないから」
「どうやって動いてるんですか?」
そっちの方が不思議だった。
糸やぜんまいで動いていると言われるとなんとなく理解ができるけれど、下手したら魔道具よりも貴重なのでは?
その他にも普通に貴重な物がたくさんあった。
美術的価値や考古学的価値があるものもいくつか発見した。リシアが見てわかるくらいだから、学者からしたら宝の山かもしれない。
飾ってあるのではなく雑多に置かれているのが蒐集ではなく収集という感じがする。
これなんて好きな人が見たら怒りそう。
リシアも伯爵家で見たことがある白磁の皿の上に昔の金貨が置かれている。
埃が付いていないので手入れはされているんだろうけれど、傷は付かないんだろうか。
この掃除もジェフリーさんが一人でやっているのかと思うと言葉も出ない。
人の手を入れないのは正解かもしれない。盗まれたりとか壊されたりとかを考えると当然の措置だし、専門知識がないと掃除もしにくそう。
これだけ色々な物があれば危険物もまぎれて目に付かないのかもしれない。
先生にとっては見慣れた物みたいで一つ一つに見入っているリシアを微笑ましそうに見ているだけだった。




