会萃香 練斗――《顔面初見秒殺人間》――
会萃香 練斗
あら、この子が新しい子…いいわね
面白そう
しばらく見ていましょ?
ruler
俺は人間が嫌いだ。
俺の姿形を見るだけで、人間は死ぬからだ。
父さん、母さん。親戚はほとんどの奴は死んだ。皆死に方は様々だった。自殺、殴殺、虐殺、絞殺、斬殺、刺殺、射殺、焼殺、事故死などだ。
会萃香家は俺と何故か死なない兄弟の夢来と希来だけが生き残りだ。
産まれた時から俺に関わった人たちは死ぬ。だから学校にも行ってない。俺のせいで誰かが死ぬのはもう嫌だ。
勿論、俺は人間。
今のところ(と言っては弟と妹に不謹慎だが)最後まで生きてた親戚は母さんだ。母さんの最後の一言は、今でも俺の心に突き刺さる。
「こ・・・・このっ・・・!化け物がああアアアアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」
その言葉は、母の声を思い出そうとすると、必ずこの第一声が浮かぶ。
あの時の母は、断末魔にも似た言葉を俺に投げつけていた。その全てが、俺の中に信じられないほどの孤独感を生み、嗚咽が襲う。体の芯から這い上がってきたような鳥肌が頭の頂点にまで達した時、俺は、発狂した。
そこからの記憶はない。
ガンッ!――――――
「っ…」
また、思い出してしまった。思わず手元にあったスマホを投げてしまう。そして、すぐさまハッ!っとして、あわててスマホを取りに行く。
(忘れてた…、そうだ…)
これは、母さんがくれた最後のプレゼントだ。母親っ子だった俺にとっては、大事な物だ。
ま、掛かってくるのは全く無いが…。
ぐるぐると回して傷が無いか調べる。
(よかった…)
どこにも傷がない。ホッと胸を撫でおろす。手の甲で軽く払い、尻のポケットに入れる。
また暇な一日が始まる、と憂鬱に考えていた。その時――――――
ヴヴヴヴヴヴヴヴ……ヴヴヴヴヴヴヴヴ……
「ひゃい!?」
何だこの感覚は!?尻から振動が伝わって来る…!?しかも出したことない声が出て、頭の中がパニック状態なんだが!?
すぐさま振動の現地であろう地点に手を添える。そこは、さっき俺がスマホを入れたポケットのところだった。
「スマホッ!?なんでだ……よおお!!」
またもやベッドにスマホを投げつける。
ガッ!!―――
ベッドのバネによりボヨンと跳ね、壁にぶつかる。
「ぅうううぅううぅううう……おぉおおおぉおおおぉおぉお…」
よぼよぼの爺さんみたいに震える手で床にあったスマホを拾い、ゆっくり胸に抱える。
「何なんですか…」
スマホの電源を入れ、画面を見るとそこには
≪メールが受信されました≫
と書いてあった。
「メール…??」
訳も解らないまま、メール…と書いてあるところに指をトンッと触った。すると、バンッと画面にメール画面が開く。
「!!???」
そこには、
《こんにちはっ!私の名前は椎野実 早希。鳥の巣荘の管理人です。あなたが会萃香 練斗君ですよね?このメールはあなたを鳥の巣荘にご招待するためのメールです。(※あなたに拒否権はありません)行き方ですが、あなたの足で動くことはないです。このメールを閉じた時にはもう、練斗君の前には鳥の巣荘があります。細かな説明はあちら(鳥の巣荘)の方でしますので、ではでわ!―――あなたの悩みが晴れることを、心から祈っております。――― 鳥の巣荘管理人より》
(鳥の巣荘?『このメールを閉じた時にはもう、練斗君の前には鳥の巣荘があります。』って・・・うん?)
全く頭の整理が追いつかない。とにかくわかるのは、椎野実早希ってやつが俺を鳥の巣荘とかいうところに俺を連れて行こうとしているらしいが、今見ているこのメールを閉じると俺の目の前に鳥の巣荘がある…らしい。
(ま、こんなことあるわけ無いけどな)
そう思い、ポチッと画面下の家の絵が描いてあるところを押した(なんとなく操作は覚えていたようだ)。
「ふう…」
深いため息を吐き、スマホをポケットに入れようとスマホを視線から外したときだった。
「え?」
下を向いていたのだが、そこには黄緑色の草が広がっていた。俺はさっきから部屋にいた記憶しかないのに、ましてや外になんて出るわけがない。驚いて前を見たとき…
「!!??」
目の前には白く塗りつぶされた大きくそびえ立つ壁、所々には小さく窓があり白いカーテンが覗く。玄関ドアは木の木目が目立つ木製のドア。少し手前には少し小柄でポツンと立っている真っ赤なポスト。
「…は?」
呆然と立ち尽くす。得体の知れない空間に一人と大きな建物一件。風が耳元でひゅうと吹き抜けていった。そしてその直後、ドアのドアノブがガチャリと音を鳴らし傾いたと思えば、その奥から一人の女性が現れた。
「おっ?」
その女性は俺の姿を見つけると、少しステップ気味に近づいてきた。一歩一歩と進む度に長く縛ったポニーテールが肩甲骨に軽く当たっている。真っ白いTシャツを着て、青色の短いショートパンツを履いていて髪色は黒に茶色がかったいかにも一般的な色だ。
「あっ…!!」
そこで俺は正気を取り戻した。そして『俺と顔を見合わせたら確実に死ぬ』そのことも一緒に思い出し、数歩後ずさる。
(も…もう遅い…駄目だ…この人が…死んじゃう…っ!!)
鼓動が高鳴る。指先が震え、唾液が喉の奥から溢れ返ってくる。またやってしまった、もう手遅れだ、この人はあと数秒でこの世を去ってしまう。首から上を搔き毟り、髪をぐちゃぐちゃと指で乱暴に叩く。
「うおっ!?ど、どうしたのさ!!?大丈夫かあんたっ!?」
「あ…ぅぅぅああ…んうあっ…」
慌てて駆け寄ってきた。
(止めろっ…俺に優しくするな…お願い…っ)
グイッと背中に当てられていた女性の手を振りほどく。
「おわっ」
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
「……どっどうしたのよ!ねえ!?大丈夫キミ!!」
―――ごめんなさい―――
ぎゅっと目を瞑った。
今回のお話は、私的に書きたかったものになってほしい…なー。
いつも、趣旨がズレるんでね。そこらへん何とか治していきたいです。
今回は貴重な時間を割いてこんなしょーもない話読んでくださってありがとうございました。なんとか時間を見つけて、ちょくちょく書きたいと思います。