Last shot.夢の消費期限
出会った時、そして野外博物館のロケ撮で私たちが姿を借りたキャクターたち。
しかし今日は以前とは少し違う。
あの時とは真逆の組み合わせ――相方がやっていたキャラクターになっているのだ。
「う、わぁ……っ、すごいすごいかっこいいエロい!! ひぇ〜〜〜『Halu』さん……!」
「年下の男の子にしちゃいけない発言してるよ」
「いやいやいや、『ユッカ』さんの方こそ……! やっぱり似合いますね。元々のパーツも少し似ているところがあるし、それ以外もメイクで補っていて、原作より身長はあるけど全然違和感ないっていうかマジで推しが立ってるって感じがして……!」
「あ、こっちもか」
推し飲みている世界を見るため、推しの姿を借りる。
勿論そんなコスプレも楽しい。
けど、推しのコスプレをする上で問題になることがある。
それは……三次元の世界に降り立つ推しの姿を目に焼き付けられないことだ。
自分が推しになれば当たり前の話である。
そこで私たちは今回の撮影では互いの推しを相手にやってもらう事で日頃堪能できない三次元風の推しの姿に触れようと話していた。
お互い、相手が満足のいくクオリティのコスプレを披露し、撮影が始まる前からテンションは爆上がり。
そんな私たちを見て恭子が苦く笑っていた。
「ほーら、いつまでも褒めあってたら一枚も撮れずに終わっちゃうよ!」
私たちは恭子に促され、撮影ブースへと向かう。
正面でカメラのチェックをしている恭子の前で、私たちはポーズを取る。
背中を合わせ、敵と対峙するカット。
「楽しそうですね」
「当たり前でしょ! もー、ほんとに最高」
「喜んでもらえてよかったです」
「それこっちのセリフだから」
体勢はそのまま、視線と言葉だけを交わして会話する私たち。
見つめ合った私たちはプッと吹き出してしまう。
「いい写真お願いしますね。今日も、これからも」
「もち! ずーっと続けてやらぁ!」
「よし、お待たせ! 撮るよー!」
恭子の声を聞き、私たちは会話を切り上げる。
視線の先、カメラを構えた恭子がカウントダウンを始める。
「三、二、一……」
パシャリ!
その音を聞きながら私は次のポーズのこと、今日のアフターのこと、そしてその先々もぎっしり詰まった撮影スケジュールのことを考える。
私はこの先もずっとずっと、何物にも変え難いこの時間は過ごしていくのだろう。
だって――
――夢に消費期限はないのだから!




