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君が魔法を使うたび  作者: まつなつ
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昔の魔法使い

少し昔の話なんだけどね。と女は経緯を説明した。

「昔って言っても詳しい年は覚えてない。けど子供の頃、昔は大きかった都市に住んでたの。僕は子供の頃から魔法使いになりたくね、あの頃は魔物との魔法格差がこんなにひどくなかったから魔法の学舎なんてたくさんあったし、人間の大半は魔法を学んでいたんだ。」

「そっから不老?になるのが分からないんだけど。」とアトリエが口を挟んだ。

「もー本当にせっかちだなぁ。まあいいや、そしてその学舎には魔法の歴史書がたくさんあってね、誰も読んでなかったけど僕は夢中になったてさ、もっと本格的なのを読んでみたいと思ったのさ。」

この女がやけに魔王軍に詳しいのもそこに訳があるのかと、アトリエは考えた。

「そして、都市内にある一番でかい図書館に行って歴史コーナーを読み漁っていたんだ。するとね、まだ誰にも解読できてない暗号があったのを知ったのさ。」

「暗号...?」

「そう、暗号。昔の文字ではあったんだけど直訳しても意味はわからなかった。だけど文の最初らへんは直訳で読めたんだ。そこに書いていたのは『不老について』だったのさ。そしてなぜかその後の文は支離滅裂、少し前はこの暗号を解こうとするチームもあったらしい、そりゃ不老になれば魔法がいくらでも使えるからね、みんなが挙って解読しようとしたよ。けど全員お手上げだったのさ。そして不可能の暗号として諦められていたのさ。そもそも不老自体が信憑性がなかったしね。」

女は続けた。

「けど僕は謎にその暗号に惹かれたのさ。そして僕は暗号の解読に勤しんだんだよ。もちろん簡単ではなかったけどね。けどあの頃は諦めるってことすら考えてなかったんじゃないのな。当たっては砕けて当たっては砕けてを繰り返していたよ。別に不老になったっていいことないのにね。そして僕は一つ思い出した。昔話なんだけどね、その頃も人間と魔物が戦ってて今より戦況が悪かったんだ。

それは人間が魔法を使えなかったから。

人間は剣や槍を持って突撃するけど魔法の前では無意味、人間は大陸の8割を占領された。そして一人の人間が魔法目指した。その後に一喜一憂するんだけど省くね。その人間は最終的に悪魔と契約したんだ。」

「悪魔...?」

アトリエは何かが引っかかった。

「昔話だから嘘はあると思うよ。まぁ戻るね、人間は悪魔にこう契約を持ちかけた。魔法を使えるようになる代わりに、魔法を使うたび『寿命』を吸い取って良いと。」

アトリエは興味津々になっていた。

「そして悪魔の力で人間が魔法を使えるようになったんだ。そして悪魔の力には代償がつくようになった。大きな魔法がたくさん寿命を吸われるのは悪魔が疲れて、その分吸うからって説明してたね。」

「そこと不老はどう言う関係なの?」

「よく考えてみなよ、不老になる魔法なんて大きすぎる魔法だ。その分の寿命を削るだろう、なんなら死んでしまうくらい吸われてしまうかもしれない。けど不老はどんだけ寿命を吸われても平気だ。そこで一つ疑問に思ったのが、寿命を吸われた後に不老になるのか、不老になって寿命を吸われるのかだ。」

アトリエも不思議に思った。

「それは暗号に何も関係ないんじゃ?」

「僕もそう思ってた。けどあの暗号自体が呪文で、不老になるには寿命を吸いきられる前に暗唱しきらないといけないと考えるとハイリスクハイリターンでいいと思ったんだ。」

アトリエは

「魔法を使った後に寿命を吸われる感覚は覚えてるけどとても早いよね?その暗号って何文字くらいだったの?」

と問いた。

「覚えてないけど100文字近くはあったんじゃなかったっけ。」

女は平然と言ったが確実に無理だ。

「今無理って思ってるよね?なんと、古代文字の呪文だから慣れてなくて舌が回らないの、だから想像の難易度の2倍は難しいと思うよ。」

「そんなの無理に決まってる。」

そして女はまた自慢気味に

「そして昔の呪文は今と違って呪文を言うだけで発動してしまうから練習なんてできないのさ。」

と言った。自分の功績が誇らしいのだろうか。

「僕はその仮説が合っているかもわからず、その呪文のイメージトレーニングを始めた。それを一年くらい始めたかな。早口言葉だって特訓したよ。今は全盛期よりは衰えたけどね。そして呪文を使うと決めた。」

「なんでそんな自分の仮定を信じたの?」

ただの憶測に一年間も練習した。その時も死ぬ覚悟をしているだろう。

「これ以外思いつかなかったんだ。砕け過ぎてもう別の憶測が考えれなくなっていたんだ。これも違ったら、もう諦めていたかもね。」

「それが合ってたから、不老になったと?」

「うん、そうだね、僕は一応遺書をポッケにいれて近くの森の奥で魔法を開始した。」

「なんでそこまで不老に拘ったの?」

「変かもしれないけど、魔法は好きだったけど寿命が削られる感覚が好きじゃなかった、からかな。不老になって無限に魔法が使える人生を歩みたかったのさ。」

「そして成功した、と」

「そうだね、僕の仮説はあっていたんだ。イメージトレーニング通りの速さで呪文を唱えることが出来たよ。杖を構え、呪文を唱えてすぐに寿命が一気に吸われる感覚に陥った。とても気持ち悪かったよ。そして呪文を言い終わったと僕は気を失ってしまったんだ。」

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