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君が魔法を使うたび  作者: まつなつ
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たび立ちの時

アトリエとオルバは少し山の上にある大岩の所まで来た。

オルバは足が不自由だから杖とアトリエの手助けがあってやっとだった。

オルバは近くの岩に腰掛けた。

「アトリエ、私が教えたことを思い出し実行するんだ。もしできなかったらなんて考えなくていい。」

アトリエは大岩の前に立った。

自分より大きく、魔法がないと人間じゃ確実に破壊できない。

アトリエは杖を構えた。

唱える魔法は父に教えてもらい、昔に苦渋を舐めた経験もある魔法。

集中し、息を整え、杖に気力を込める。

標的をまっすぐとみて、イメージする。私は今からあの大岩を砕くと。

アトリエは魔法を放った。

「「「爆葬‼︎‼︎」」」

杖の先から大岩と同じくらいの大きさの炎が出てきて大岩を囲んだ。

そして次の瞬間、その炎は爆発し、大岩を打ち砕いた。

同時にアトリエに嫌な感覚が広がった。

命を吸われているような、そんな感覚。

しかしそんな感覚も忘れるほど興奮していた。

自分が自分よりも大きい大岩を打ち砕いたと言うことに。

「オルバ!私...!」

アトリエはオルバに視線を向ける。

しかしオルバは岩から転び落ち地面に伏せている。

「オルバ!!!」

アトリエが急いで近づく。

「なんとかこの日までもったな、いい人生のようにも感じたよ。」

「オルバ...」

アトリエはかける言葉が見つからなかった。

既に肌は冷たくなり、瞬きの間隔も長くなっていった。

「アトリエ、おまえの魔法が最期に見れてよかった。」


「ありがとう」


最期に掠れた声でそう言った。

猟師オルバ・セグナは魔法によって亡くなった。


家の横にオルバの墓を建てた。

墓石は初めて魔法で壊した大岩で作った。

いつかこうなると分かっていながらも、涙が止まらなかった。

オルバのいない家はとても広く感じた。

とても優しくて面倒見のいいかっこいい人だった。

しかし過去を引きずって生きてはいけない。

私はオルバの家から食料などを詰め込こんだ。

冒険へ行くのだ。

アトリエの目的は村で助けてくれたあの女性のように他の人を守るために魔法を使う人になることと、もう魔法を使って命を削る必要をなくすために魔王を討伐することである。

アトリエは物資を持ち玄関へ向かった。

そして家の中へ向かって

『いってきます』

と言い鍵を閉めた。

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