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君が魔法を使うたび  作者: まつなつ
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“最期に”

それからは修行の日々が続いた。

オルバは自分の得意魔法はわかっていないが、本当にブランクがあるとは思えないほど強かった。

彼は基礎的な魔法を教えてくれた。

炎の魔法や水の魔法、雷の魔法に空を飛ぶ魔法まで、アトリエに見してくれた。

修行の日々は厳しいものながら実に充実したものだった。

オルバは実技して、コツや構えを一から教えてくれた。

しかしオルバは私に魔法を使わせようとしなかった。

私の寿命を減らさないようにしていたのだろう。


修行をして数年の年が過ぎた。


アトリエ・フィルノートは15歳となり、オルバは最近寝たきりとなった。

私はオルバの身体を心配しながら、身体強化に励んだ。瞑想をしたり、イメージトレーニングだって欠かさなかった。


修行が終わりオルバの家に帰った。

「ただいま〜」

「おかえり、アトリエ。成果はあったか?」

「あんまりわかんないね。魔法は使ってないし。」

「ハッハッハッ、それもそうだな。」

「最近同じことを繰り返して言ってるの自覚はある?」

「そうか、私もボケてきたのか。」

オルバは少し悲しい顔をしていた。

「私はアトリエを見つけた時は後一年くらいでポックリ逝くと思っていたが、思いのほか長く生きれたな。」

「長く生きてもらわないと困るよ。ご飯の支度してくるね。」

「分かった。」

アトリエは慣れた手つきで二人分のご飯を作った。

最初はどの棚に何があるのかわからなかったし、なんなら昔は全てオルバが作ってくれていた。

ご飯を作るたび、食卓を囲むあの暖かさを思い出す。オルバと食べる時だって、家族と食べていた時の事だって。

「できたよ。」

「今日も美味しそうだな。いただきます。」

ご飯を食べながら考えていた。

オルバはこの先どのくらい生きれるのだろうか。

もう足は自由には動かせなくなっているオルバの弱々しい姿を見て度々思う。

オルバがいなくなった後私はどうやって生きるのだろうか。などと考えている矢先

「アトリエ、明日魔法を出してみないか?」

アトリエに向かいオルバが言った。

「嫌なら断ってくれて構わない、小さな魔法でも出していたら自信になる。

そして“最期に君の魔法を見てみたい”。」

とオルバが続けて言った。

魔法を使う、今までそこを目指して修行をやってきた。やっとここまできたんだ。

「喜んでだよ。」

とアトリエが承諾した。

ご飯を片付けお風呂に入り、寝る準備をしはじめた。

明日に生まれて初めて魔法を使う、修行の成果は出せるのだろうか、そもそも魔法は使えるのだろうか、またあのオオカミの時のようになってしまうのではないか。

様々な思いを張り巡らしながら目眠りについた。

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