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君が魔法を使うたび  作者: まつなつ
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夜の使い

「違和感はこれか?恐らく今の魔物が夜にしたってわけではなさそうだね。」

ネオンは眠っているアトリエに手の甲を当て、思考を巡らせた。

「んあ…?ネオン…?」

アトリエは目を開け、ネオンを見つめた。

「ん?起きれたんだ。」

「いや…起きれない…。」

アトリエはまた目を瞑った。

「魔法の効力が切れたのかな。そろそろエルも起きるかもしれないね。ほらフィル、起きるよ、敵襲だ。」

ネオンはアトリエの体を摩った。

「ん〜…って!敵!?」

「そうそう、早く起きて。」

アトリエは飛び起きて周りを警戒し始めた。

「どこ!?どこ!?敵!?」

「一旦は追っ払ってるから落ち着いて。」

「一旦!?一旦!?敵!?」

「「「水弾陣すいだんじん」」」

「わぶっ!?」

ネオンはアトリエに弱めの水魔法を顔に放った。

「落ち着いて。」

ネオンはこれまでに起こったことを話した。

「なるほど…エルフィンちゃんはまだ起きてないの?」

アトリエはタオルで髪を拭きながら喋った。

「そうだね。恐らく辺りを夜に変える魔物がまだ近くにいると思う。」

「月はまだ動いてないの?」

「そうみたいだ。多分、魔法を使っている本人を倒さないと夜は明けないだろうね。」

「このままずっと魔物に隠れられたらずっと夜ってこと!?だとしたら冒険を続けられないよ!」

「それはないと信じたい。いくら魔物でも夜にする魔法なんて消費する寿命が多いと思うからいつかは攻撃してくるはず。」

「大丈夫かな…。」

アトリエは不安そうに周りを見渡した。

「大丈夫だよ。僕もいるんだし。」

「それはそうなんだけど…あとそれは自分で言うものでもないし。」

「…おっと、案外早いご到着のようだ。」

「え?」

ネオンは方向を定めて杖を構えた。

「嗅覚が鋭いとは聞いたが…これでバレてしまうのか。」

夜の暗闇から暗い色の服を着た魔物が歩いてきたのが見えた。

「わっ!?」

「君たちは人間にしては相当腕が立つだろう。もしかしたら、リマ様の障害となるかもしれない。」

魔物は杖を暗闇の中から引っ張り出したかのように取り出した。

「血気盛んなことだ。君は僕の嗅覚のことを知ってたけど、さっき自害した魔物と関係あるのかな?」

「あいつはリマ様の忠誠を誓うと同時に私にも忠誠を誓った者。あいつは私の傀儡に過ぎない。」

「僕の仲間を眠らせたのもその傀儡くんがやったのかな。」

「そうだ。しかし、放った魔法は得意魔法なしで出せる魔法に過ぎない。だから自分より格上の者に簡単に防がれてしまう。1人ほど、その魔法が効かなかった者がいると聞いたが、鼻がいい君か?」

魔物はネオンに目線を向けた。

「そうみたいだ。僕の奇襲対策魔法に引っかかったようだよ。特注の隠密魔法も付けたのに気づかれちゃった。」

魔物がアトリエとネオンに杖を構えた。

「まぁ、敵討ちとしようか。私は自遊撃刺じゆうげきし『ジャガー・テカストリ』、君たちは?」

「ネオン・テール。」

「ア、アトリエ・フィルノート…。」

2人はジャガーに杖を向けた。

「フィル、相手は強敵だ。油断はダメだよ。」

「油断なんてできる余裕もないよ…。」

相手が強敵なのはアトリエでも察知できることだった。

「まぁ、あまり気を張るな。君たちは2対1で有利じゃないか。それに私はリマ様に忠誠を誓ってはいるが、戦いを真面目にするタチじゃない。」

ジャガーは杖を下ろした。

「フィル。」

「わかってるよ。」

「優秀だな。」

「「「夜体纏よたいてん」」」

ジャガーの体は辺りの暗闇が包み込み、見えなくなった。

「消えた!?」

「フィル、落ち着いて。僕と身体を寄せてカバーし合おう。」

アトリエとネオンは背中を合わして周りを警戒した。

「…ん?あの浮いてる白い球は…?」

アトリエは白い球を見つめた。

白い球は空中に浮いていて、動き回っていた。

「フィル、敵の魔法の種かも知れない。記憶しておこう。」

ガサッ

「!」

アトリエは物音のした方向に視線を向けた。

「「「夜暗睡よあんすい」」」

アトリエがよそ見をした瞬間、頭に向かって魔法が放たれた。

「え?」

アトリエの目線の先には杖を持った手だけが暗闇から出てきていた。

ネオンは横目でアトリエの方向を見つめた。

さっきまで飛んでいた白い球はいなくなっていた。

「…。これだから得意魔法使いは嫌いなんだ。」

「え…。」

アトリエは目を瞑った。

「これで1対1だな。」

ジャガーはネオンの目の前にいきなり出てきた。

「これが眠らせる魔法かな?」

「そうだ。この夜が明けるまで起きることはない。」

アトリエはネオンの後ろで崩れ落ちた。

「にしても魔物は見くびることが多いね。その眠らせる魔法を僕にも掛ければいいのに。」

「久しぶりに強そうな人間と出会ったからな。手合わせを願うよ。」

「まぁありがたいけどね。」

「「「夜増化よぞうか」」」

ジャガーの目が赤くなり、オーラが大きくなった。

「おっと…。まずい気がするね。」

ジャガーは瞬く間にネオンの懐に潜り込んだ。

「「「死刻冥」」」

ネオンの顎下に魔法を放った。

「ネオンと言ったか…流石だな。」

ネオンは転送魔法でジャガーの後ろに回り込んだ。

「「「幻光閃」」」

「「「夜体纏」」」

ネオンが魔法を放ったと同時にジャガーも魔法を使った。

ネオンの魔法は夜の暗闇を切っただけで、ジャガーには当たらなかった。

「やっぱ合ってるみたいだ。」

ネオンの見つめた先にはさっきの白い球ではなく、赤い球が動き回っていた。

ネオンはその赤い球を杖で追った。

「「「幻光閃」」」

ネオンの魔法は赤い球にへと放たれた。

「消えた…。いや、消したか。」

「君程の逸材は本当に久しぶりだ。魔法全盛期を思い出す。」

ネオンが向いていた方向の後ろからジャガーが出てきた。

「あの頃は今のような退屈もなかった。昔のように、魔法に命を賭ける人間がいなくなっていった。今の世はまさに…」

「御託はいいよ。さっさとしよう。」

ジャガーは黙り込み、またしても姿を消した。

ネオンはジャガーが消えた場所を注意深く観察した。

「この仮説なら、僕は動いたほうが良さそうだ。」

ネオンは数歩動いて、元居た場所の周りを警戒した。

そして警戒している辺りにジャガーが影から出てきた。

「「「幻光閃」」」

ジャガーは気づく間もなく、ネオンの魔法に頭を撃ち抜かれた。

「私がそこまで間抜けに見えたか。」

ジャガーはなぜかネオンの真後ろにいた。

さっきネオンが撃ち抜いたジャガーは黒い煙のようになって周辺に散っていった。

「はぁ…やっぱ得意魔法使いと戦うのは嫌だね。」

「君の転送魔法はインターバルがある。そしてこの距離、防御魔法は間に合わない。詰みだな。君が私の魔法の正体に気づいたのはわかっていた。」

ネオンの仮説、それはジャガーが完全に透明になっているわけではなく、『身体に暗闇を包み、視覚情報がなくなってしまう』と考えた。

身体全てを暗闇に包むとジャガー本人は何も情報得れない。

だから『目』だけを暗闇から解放し、周りの状況を掴んでいた。

ネオンが見ていた白い球、赤い球は彼の眼球であった。

「たまたま仲間がおんなじ様な得意魔法使いと戦ったからさ。」

「あいつか…あんな奴の魔法と同じにしてもらっては困るな。あいつはただ透明なるだけで攻撃手段がない、その結果が魔法でないただの得物だ。」

「はぁ…いつまで寝てんだか。」

「ん?君の仲間のこと…か…。」

寝ていたはずのアトリエは立ち上がり、ジャガーの背中に杖を向けていた。

「「「死刻冥!」」」

ジャガーは反応する間もなくアトリエの魔法に当たった。

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