東の山脈
失踪してすいません。
これからもマイペースに書いていくので時間がある時、見てくださると幸いです。
アトリエとネオン、エルフィンは魔王領の冒険を再開した。
「晴れてこれから冒険だね!」
「緊張してきました...。」
「まずはリマ・アコンガグアの討伐...どんな魔法を使ってくるのかな?」
「見当もつきませんね...。けど、さぞかし強い得意魔法の使い手なのでしょうね。」
「そういや...ネオンー!作戦とかってあるのー!?」
アトリエは空に向かって大声を出してネオンを呼んだ。
「ん?特にないよ。」
ネオンはアトリエとエルフィンの上に飛んでいた。
「そっかあ...。」
「いくらでも魔法使っていいってすごいですね...。足が痛いからって理由で気軽に飛べますもんね。」
少し前、ネオンは足が痛いと言って空に飛んで行ってしまった。
「ネオンに協調性ってもんはないのかね。」
「聞こえてるよ。」
「ネオンは確かに協調性はないけど...強くてすごいからね!」
「手のひら返しすぎですよ。」
「流石にバレるか...。」
「そりゃバレるでしょ。」
「えへへー…って!何この景色!すごいよ!」
アトリエ達の目の前には巨大な山岳地帯が広がっていた。
「僕は結構前から見えてたけどね。」
「あのねぇ…。」
「すごい絶景ですね...この上にお城を建てられたりしたら攻め難いでしょうね。」
「自然要塞は手強いものが多いからね。気を張っていこう。」
「リマはちゃんと考えてるんだね。」
「?、例えばの話ですよ?」
「?」
「ん?エルは何言ってるんだい?」
「え?」
「ん?」
沈黙が流れた。
「ねぇ、ネオン…。エルフィンちゃんにリマの城のこと言ったっけ…?」
「あ。」
「え?」
ネオンはエルフィンにリマの城が巨大山脈に位置していることを教えた。
「え!?それって相当ヤバくないですか!?」
「厳しいことにはなるだろうね。まぁ頑張っていこう。」
「頑張るって...あの山ですよ!?」
「頑張るしかないよねぇ...。」
「エルフィンちゃん…諦めよう。」
「うぅ…。」
「んじゃ、明日から山登りね。あそこらへん野獣がそこらにいて休めないから、今日はちゃんと休んでね。」
「うぅ…。」
「うぅ…。」
3人は眠りにつき、朝が来た。
「ふぅ…いい朝だね。」
「今日が心配でよく寝つけませんでした…。」
エルフィンの目の下にはクマができていた。
「フィルはよく寝てるけどね。」
「何でこんなに起きないんですか。」
アトリエはまだ眠ったままだった。
「いい加減にしてほしいよね。」
ネオンはアトリエを叩き起こした。
「ぬわ…おはよう…。」
「さっさ支度するよ。今日からは忙しいんだ。」
3人は朝ごはんを食べ終わり、山麓へと辿り着いた。
「ここからが登山だね。」
「リマ・アコンガグア…どんな強敵なんだろう…。」
「そこまで辿り着けるかも怪しいですけどね…。」
「暗いことばっか言っても何も変わらないよ。」
アトリエ達は東の城の山脈に登り始めた。
東の城の山脈は標高約7000mにもなる巨大山脈。
登るにはとてつもない労力が必要となる。
「今日からは1日に進むペースを落として行くからね。」
「やっぱ体力が持たないから?」
「それもあるけど、体を高度に合わせないといけないからね。上に行くほど酸素も薄くなるし、寒くもなるからね。」
「考えたくもないですね…。」
「考えなくてもこの先行き着くよ。」
5時間程が経った。
「ねぇ…ネオン…。休憩ってある…?」
「さっき休憩しただろう?まぁ今日はこんくらいにしとこうか。」
「こんな日々が続くんですか…。」
「冒険なんてこんなもんさ。ほら、さっさとテント建てるよ。」
「ネオンは何でそんなに疲れてないの?」
「フィルとエルの体力が無さすぎるんでしょ。まぁ僕も足は痛いよ。」
アトリエ達はテントを張り、夕食の準備を始めた。
「ふぅ...あとは待つだけだね!」
「1日目とは思えない疲労感です...。」
アトリエとエルフィンは鍋を囲んで座り込んだ。
「ふぅわぁあ...疲れた…。」
「魔王を倒すまでの辛抱ですね…。」
「そういや...ネオンは?」
「いつの間にか消えてました。」
本当にあの人は、とアトリエは愚痴をこぼした。
ご飯が出来てすぐにネオンは帰ってきた。
「ネオン!どこ行ってたの!?」
「ん?辺りを散策していたよ?どうしたの?」
「どうしたのじゃないよ!!せめて一言くらい言ってから出てよね!!」
アトリエは声をとがらせて言った。
「ごめん、ちょっと変な匂いがしたから。」
「変な匂い?」
「自然の匂いでもないし、野生動物の匂いでもなさそうなんだ。もしかしたら、近くに魔物がいるかも。」
「えぇ…こんな疲れてるのに魔物と戦うなんて…。」
「まだ確実ってわけでもないよ。けどここは敵地だ、警戒をしといたほうが吉だね。」
3人でご飯を食べ、その夜は眠りについた。
「ん…まだ夜か…。」
ネオンは夜の暗闇の中、目を覚ました。
周りははとても静かで、虫の発する音が響いていた。
ネオンは近くの沢で顔を洗った。
「珍しく変な時間に起きちゃったな…。ん?」
ネオンは月を見上げた。
「おかしい…何で月があんな場所に?僕たちが晩飯を食べた頃と同じ場所に月がある…?」
ネオンは少し思考を張り巡らせた後、杖を取り出した。
「これが夢じゃなかったら、おそらくは魔法かな。さっきの匂いの正体かもしれない…。フィル!エル!」
ネオンは敵の接近を考察し、少し離れたアトリエとエルフィンを起こそうとした。
「…起きてないな。フィルはともかく、エルが起きないのは変だ。ん?」
ネオンは目を凝らした。
ネオンの目線の先には一人でに動く影があった。
「お前ら…。今すぐここから立ち去れ…。いまなら見逃してやろう…。」
ネオンは影に杖を向けた。
「逃げようにも、君の魔法で二人は寝てしまっているんだろう?なら、僕に残された道は戦うしかないな。」
「馬鹿め…後悔しても知らんぞ…。」
「馬鹿は君のほうだろう?さっさと不意打ちでもして全滅させれば良かったのに。」
「私の魔法で眠らなかった者がいた…。その者は…相当強いだろう…。私は安全策を取っただけだ…。」
「うん?安全策?このままじゃ僕と戦っちゃうけど。」
「愚か者め…。」
「何がしたいのやら。」
ネオンは影に魔法を放った。
動く影は辺りの暗闇へと消えた。
「あいつには匂いがないね…実体がないのかな。多分奇襲でもしてくるんだろうけど、どこから来るのやら。ん?」
ネオンは新しい匂いを嗅ぎ取った。
その匂いは夕食の前、ネオンが嗅ぎ取った匂いとは違った。
「この匂い…実体は自由自在か。しかもあの場所…狙いはフィルとエルか…。」
ネオンは走ってアトリエ達のとこへ向かった。
「フィル達が遠ざかって行くね…逃げてるのか…。速いな…追いつけない。」
謎の影の魔物はネオンから離れていき、やがて匂いも無くなった。
「うーん…フィル達見つかるかな〜。」
ネオンは謎の影を完全に見失い、寝床から100メートルほど離れた場所でしゃがみ込んだ。
「あの魔物…なんか違和感があったな。彼はあまり自分の腕に自信がなさそうだったけど、僕の奇襲対策用の魔法の存在に気づいてた。よほどの腕じゃないと見破れないはずなんだけどな。」
アトリエ達が眠りについた時、あの魔物は3人に催眠の魔法をかけた。
その時にネオンの奇襲対策魔法に気づかれ、その腕に自信のない魔物は様子を見た。
そしてネオンが離れその隙を見てアトリエとエルフィンを誘拐。
ネオンは一連の仮説を立てた。
「なんで一回僕に話しかけてきたんだろう。なんでフィルとエルを先に殺さなかったんだろう。」
ネオンの頭には疑問が残り続けた。
「まぁあいつ倒してから聞くか。」
ネオンは立ち上がった。
動く影だった魔物はアトリエ達を拉致し、ネオンから遠く離れた場所にいた。
魔物は長身で、色の暗いフードを深く被っていた。
「あいつのオーラ…魔物の色だったが…恐らく擬態魔法…そしてあのオーラの大きさ…戦ったら負けていただろう…。」
魔物は寝たままのアトリエ達に目を向けた。
「あの魔法使い…もしやリマ様の言っていた自遊撃刺を殺した人間か…。だとするなら…リマ様に報告を…。」
魔物に悪寒が走った。
今度は魔物が暗闇に杖を構えた。
「これも気づくのか。オーラは消してたのにな。」
「なぜ…!貴様がここに…!」
「僕は君が奇襲を得意としていると考えていたんだ。さっき君に向かって放った魔法は攻撃の魔法ではない。『印』をつける魔法だ。この魔法は魔力が微量だから、君が影の時は纏われて見えないんだけど…。完全に影を解除してくれて助かったよ。」
「…やはり…私は貴様と戦いたくなかった…。」
「君の勘はとてもいいみたいだけど。自信はないようだね。もったいない。」
「挑発には乗らんぞ…。私のことは私が一番分かっている。私は貴様より遥かに弱い…。私は貴様に勝てないのは確かだ…。だが…私はリマ様のためになるならこの命を捨てよう…。」
魔物はアトリエに杖を向けた。
「「「死刻冥…!」」」
「その魔法でよかったよ。」
「「「幻光閃」」」
ネオンは魔物が杖を構えている手に魔法を打った。
「うっ…」
魔法は魔物の手を貫き、死刻冥は途切れた。
「死刻冥は殺傷能力が高いけど速度が遅いんだ。勘が鋭かったのは僕の方だったみたいだね。」
「クッ…!」
魔物は落とした杖を拾い直そうとした。
「無駄だよ。」
「「「幻光閃」」」
ネオンの素早い光の魔法は魔物の肩に当たった。
「僕は人型の生き物を痛めつける趣味はないんだ。聞きたいことがたくさんある。大人しくしてくれるかな?」
「うぉおおお!!」
魔物はまたしても杖を拾おうとした。
「だからさぁ…。」
「「「幻光閃」」」
魔物はネオンの魔法の軌道を予測し、頭を突き出した。
「あっぶな。」
ネオンは咄嗟に魔法の軌道を逸らした。
「僕は君を殺さないよ。ただ話を…。」
「ああああああああ!!」
魔物はその間に杖を拾い、自分の頭に突き刺した。
「おっと。なんかリマには忠誠心の高い部下が多いな。」
ネオンは魔物の絶命を確認し、アトリエ達の元へ向かった。
「フィルとエルは…死んでないね。間に合った。本当にいつまで呑気に寝ているん…だ…か…。」
ネオンはあることに気づいた。
夜が明けていない。
アトリエとエルフィンも寝たままだった。
「まだ終わってないね。」




