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1-4 

 それからワンスはツードに名乗り、彼が経営している工場のひとつに勤務していると伝えた。


 そして駆け出しの新米技師としてデビューしたことも。


 ツードはワンスの出自と、現在の無謀にして挑戦的な自営業を聞いて瞳を輝かせた。物凄い関心を寄せたのである。


 どちらかといえば後者の方だ。もし前者のみであれば、待遇を良くしつつ、賃金を上げ、今日の救出劇について「ほんの少しばかりだが、礼がしたい。とっておきたまえ」と金の詰まった袋でも手渡して、それで終わらせていただろう。


「技師として働き始めたのか! それは素晴らしいことだ! 聞けばきみはまだ二十歳になったばかりだというのに、荷車を改造して独立しようとした! なんと………なんと素晴らしく、そして心が躍る挑戦なのだろう!」


「は、はぁ………恐縮です」


「私は商社の三代目で、二代目の時代から事業の地盤が完成していたので、拡大化に成功した。しかし、そんなのは自分の手で作り上げたと言えるか? いや、言えないね。私にとっての挑戦は、巨額の利益を得られた程度で成功したと言えるのだろうが………決して、すべてにおいて満足しているとは思えないのだよ!」


 ワンスは少し腹が立った。


 これが成功者の意見。なにが巨額の利益だ。富や名声を得て、この国のトップとも比肩(ひけん)する。それだけでワンスは満足できるというのに。恵まれた出自を持つお坊ちゃんは、誰しもこうなのだろうかと。


 だが構わずツードは続ける。


「ぃよしっ! ならばきみの事業に協力しようではないか!」


「………へ?」


「資金提供をさせてくれたまえ。かねてから私は考えていた。今を生きる若者が、新たな挑戦をして、どこまで伸びるか! それについては協力は惜しまないつもりだ。なに、失敗など恐れるな。きみはまだ若い。いきなり成長できるとは思わんよ。何度失敗してもいい。その代り、夢を諦めないでほしい!」


 資金援助。つまりツードはこれよりワンスのパトロンになる。


 なんの信頼も信用も積み重ねず、偶然助ける形となり、人となりも理解していない数分前に会ったばかりの相手を、こんな簡単に信じてしまうなど、突拍子もないし前代未聞。


 きっとツードに資金援助を頼みに来る人間も少なくはないはず。その者たちが知れば、きっとワンスに殺意を向けるだろう。


 これがまたとない転機。


 ワンスにとって巨額の富を得て、田舎の両親たちを驚かせる好機。


 迷ってなどいられない。ワンスが「お願いします」と頭を下げると「では早速支度をせねば。シックサ。書類作成は任せる!」とツードは豪快に笑った。シックサという執事は「かしこまりました」と応えを返すのみで、無謀な援助に異を唱えなかった。


くおっ………意外と1000文字前後に収めるって難しいですね。

筆が乗っていると、たった数分で一話が書けてしまいます。こりゃあ大量生産できないはずがない!

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