傾く日に照らされて
「夕日が傾いてきましたねえ」
「あれはビルに反射した太陽だろ」
「私たちの太陽はどこに!?エイリアンが食った!?」
「あれだよ」
指示した太陽も傾きかけていた
「そう言えば、駅でこんなに長くいたの初めてです」
あたしも
「マスクさんに合わなければ退屈でしたね」
ちょちょちょ
えーと いまなんつった
「マス・・・」
「だって名前教えてくれないから」
はははははははは
初めてのあだ名だね
第一イメージはプロレス得意な怖い奴
「そんなに名前知りたがってどうすんの」
「どうもしないじゃないですか」
「は」
「この街のどっか、いや日本のどっかに誰さんがいる。だけです」
「頭正常?」
「叩いてみます」
おいおい 痛そ
「大丈夫ですよ」
「何が?」
「頭。痛くなく正常です」
ははは 一本取られたって思うか
上手いけど笑えねえわ
世の中そんなに甘くない ここで言ってもな
流石に冷えてきた 雪だしな
今日は予定があったから薄着だし
ん 何の予定だったっけ
確か春海に会ってそれから それから
「どうしました」
まさかな
春海は約束破んないし
まさかね
「最初から聞きたかったんだけどさ」
「はい?」
「髪型変えた、春海?」
「カリスマさんに切ってもらったよ、藍」
二人は同時に噴き出した
そりゃそうだ そんな奇跡はねえし
「あたしは瑠菜」
「あたしは衿菜です」
拍子抜け 拍子抜け
あーあ タバコ吸いたくなっちゃった
衿菜は何事もなかったようにはしゃぐ
あたしだけか なんか恥ずいのって
「見てみてみてください!」
「なにうるさ・・・きっれえええ」
「雪降る中の夕日、幻想的ですねえ」
ビルは白と朱の衣をまとっている
ひらひら落ちる雪の花が赤く光る
カメラ ビデオ なんか撮りたいのに
「来てよかったです」
「あたしも・・」
「会えてよかったです」
「あ・・・」
この後春海に会えるかな
一発はたいた後なにしよ
「さむいですね」
あ 鍋でも食べるか




