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ナンパとセクシャルガード


薬師ギルドから外に出てメイドギルドに向かってるとパリスさんに会った。


『あ、フィーアさん終わったの?調薬だっけ?装備は?』


ん?パリスさんと今パーティー組んでるのかあたし。


『一応終わった。装備よりも調薬キットの方が先に欲しいから後回し。今からメイドギルドでなんかお肉焼いて売ってくる』

『いくら足りないの』

『540G』


トレード要請がきて、そして所持金が5000Gになった。


『え…っと』

『それで買って早く行きましょうや、狩り。戦闘組のHPと満腹度が大変なことになってるから』

『ん?もうやってるの?』

『うん。ピニさんHPが2とかになって今大変』

『撤退しろよ』


って、ちょっと待て?


『ピニさんって、治癒師やるって言ってなかった?』

『MPは一時ゼロでした』

『撤退しろよ』


そんなやり取りをしながら薬師ギルドに向かっていると「ほら行こ?」という男の声が聞こえた。

男2人が女の子の手首を握って連れて行こうとしている。

これが女の子も笑顔だったら素通りしてただろう。


「ちょっと離して」


考える余裕もなくあたしは、女の子にかかる男の手を振り払った。

もちろん、男たちの顔が怒気につつまれる。


「は?お前なんだよ」

「この子はあたしのだよ!汚い手で触んないで」

「はぁ⁈」


女の子の頭を抱え込むように抱きしめると女の子もフィーアを抱きしめるように腕をまわしてきた。

可愛い。


「お前なんなんだよ!」

「はい、GMです。お呼びですか?」


1人がフィーアを掴もうと手を伸ばした瞬間、その手はあたしの前に滑り込んだパリスさんによって弾かれ、そしてその隣に女性が現れた。


「その人たちセクシャルハラスメントです」

「はあ⁈その子と狩に行こうとしてただけだろ!」

「ログを解析します」


パリスさんがGM、つまり運営に通報してくれたらしい。冷たく顎で男たちをさしてGMにしらせる。

なるほど、こういう時はGMに通報したらいいのか。

男2人の姿がかき消えた。


「解析が完了しました。セクシャルハラスメントを確認しましたので隔離措置をとり、専用のAIでの厳重注意をしています」

「ありがとうございます。早い対応してもらってたすかりました」


あたしがお礼を言って、女の子に手で促すと小さい声でありがとうございました、と声が聞こえた。


「いいえ、ナナホシ様には不快な思いをさせて申し訳ありませんでした。お詫びにゴールドをおおくりします」

「不快だったんじゃなくて怖かったんだよね。怖かったね、ナナホシさん」


よしよしと頭を撫でると泣きそうな顔であたしを見上げるナナホシさん。

特徴のある尖った耳、白い肌、金色の腰までの長い髪。種族はエルフを選んだ彼女はその器用さを生かしてビーズアクセを作りたいと言っていた女の子だ。

こんなところで…っ


こんなところで…っ!

地雷踏みたくないっ!


「フィーアさんありがとう」

「大丈夫だった?」


ナナホシさんは何回か縦にうなずいてそれから口を開く。


「こんなんだったらこのゲームもうやめようかな」


デスヨネー。

始まって数時間も経ってないのにでてくるその言葉を聞いてナナホシさんに聞こえないようにため息をついた。

そして慰めようとしたその時、GMが先に声をかけてくれた。


「ナナホシ様、後でこちらの方でセクシャルガードの修正をいたします。セクシャルガードの案内が不手際であったことをお詫び致します」


セクシャルガードとな。


「セクシャルガードとは、他人……これはNPCも含まれます。他人がプレイヤーに触れることができなくなる機能です。こちらの機能をお使いください」


視界の端にあるメニュー機能が光った。

あ、あたしも設定するんですね。

ちらっとナナホシさんを見ると操作を始めたところから、始めたばかりだしまだ本当はやめたくないようだ。

そりゃそうだろうなあ、ええ。

決して安くはないソフト買ってるんだし。


それを確認してフィーアも設定を始める。


〈プレーヤー

無効

フレンドのみ無効

選択した人のみ無効

全員有効


NPC

無効

有効〉


「プレイヤーのセクシャルガードはまず触れることができなくなります。自分からも触れることができませんのでご注意ください」


なるほど。人に触れれないってことは抱きしめることもできなくなるわけだ。


「NPCのセクシャルガードにつきましてはイベントの関係もありますので感触はありませんが、引っ張ったり押したりされることがあります。プレイヤーとNPCに違いがありますのでご注意ください」

「はーい。ナナホシさんは選択した人のみにしときなさいね」

「ん?どうしてですか?」

「フレンドってうちのグループじゃない人ともなるわけでしょう?信用できればいいけどできないこともあるし」


うちのアイリス集団にはそんなバカみたいなやついないけれども、不運な事故が起こる可能性がないこともない。

それを回避するためにはまず自衛してもらわないと困るのだ。

ナナホシさんはうん。と一つうなずいて「とりあえずフィーアさんだけ……」と設定してくれた。


「それでは良い時間をお過ごしください」


GMはナナホシさんの設定が終わるのを確認して消えた。


「アイリス集団のメンバーにお知らせです。全員設定からセクシャルガードの確認をしてください」


一般チャンネルのチャットに流してフィーアは薬師ギルドに戻った。


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