初めての戦闘。あたし以外のな。
【レベルが上がりました】
3パーティ作ってレベルが高いパーティにあたしが入る。他のパーティのレベルが上がればそこに入る。
クリオネットさんはそんなことしなくても自分が面倒見るって言っていたが申し訳ないので3パーティをぐるぐるまわることにした。
皆が戦ってるあいだ何をするか。
それは薬草の採取である。皆から離れないようにしつつ採取ポイントで採取をする。
薬草 ランクF
うむ。これどうしたらいいんだろう。
ブチブチ引きちぎってはインベントリに放り込んではいるけど。
つまんない。
皆はレベルが上がってこれをどうやるか、で考察して盛り上がってるのに。
つまんない。
『おい、おばさーん』
『だれだよこのフィーア様をおばん呼ばわりしたやつ』
ふわふわ戻るとクリオネットさんからトレード要請がきた。
中身を見るとうさぎの肉。
『フィーアさん料理スキル持ってただろ?これ焼けよ』
『焼けよっていうけどな、火がないんだわ』
と言ったところで、パリスさんがなんか枝を持ってきた。
『メロディさんちょっとここ、火つけれます?』
『あーい、ファイヤー』
パリスさんが抱えてる枝が燃えたのは言うまでもない。謝罪大会をBGMにクリオネットさんが枝を入れたり抜いたりしだす。
『ほれ、これで焼けね?』
『この火の中に肉を投入するんですね炭化するわ』
と言いつつウサギ肉に枝を刺す。
枝は思ったより丈夫らしくグサッと刺せた。ゲーム仕様。
「ちょっとぉーアイリス集団の皆さんに通達です。手を止めて枝とか木とか大至急集めてきてー。両手に抱えて一回でレベ上げ戻っていいよー」
全体チャットで通達をしてウサギ肉を刺すあたし。
チャットには全体チャット、個人チャット、パーティーチャットの3種類あるのだけど他パーティーの子達には全体チャットじゃないと届かないので全体チャットでの通達になる。
その間にウサギ肉作りをパリスさんが手伝ってくれようとしたのだけどどうやら料理スキルが必要な模様。
ちなみにアイリス集団というのは、別ゲーのあたし達のグループの名前である。
まだクランとかそう言うのがないので、めんどくさいからこれで呼ぶことにした。
喜々として皆両手いっぱいの枝を持ってきて、そしてあたしに肉を渡して戦闘に戻っていく。
せっせとそれを枝に刺して、これまた集めた岩と岩にかけて焼いて行く。一つじゃ足りないので何ヶ所かに同じようなのを作って仕掛けて。
『おそらく…塩がないからおいしくないんだよな』
現に一つ齧ってみたところ味気ないは味気なかった。個人的には…塩なしでも食べれるからそれはそれでいいのだけど。
『満腹度減ってきたからもう食いに行っていいか?』
ウサギの肉の丸焼き ランクE 満腹度回復30
『オッケーよ。ただし美味しくないから覚悟してね』
『うまくないもの食わせんじゃねえよ』
『塩がないからしょうがないでしょうが』
クリオネットさんと言い合いしながら他のパーティのリーダーにメールをする。
皆、美味しくなーいって言いながら満腹度の回復をするのだった。
『くそ、うぜぇな。はやくクランつくりてぇ』
『わっかる。はやくクラン作りたい』
と相槌をうちながら首を傾げた。
あれ?あたしソロのつもりじゃなかったっけ。
そうしながら、メールで届くお礼メールに「めんどくさいだろうから一々送って来なくていいよー、倒れる前に取りにきてね」と返事して新しいお肉を焼くのだった。
尚、薬草と一緒にウサギ肉を刺したのもあったがただ薬草が燃えただけだったことを追記しておく。
と、そこで座り込むあたし。
『あれ?』
『どうしたの、フィーアさん』
パリスさんが即駆け寄ってくる。クリオネットさんも受け持ってた狼を叩き切ってこっちにきた。
メロディさんがフリーフリー!ちょっと盾いなくなってる!
『なんか力抜けて。戻ってあげて!メロディさんもこっちキタァー』
『…フィーアさん、自分の満腹度今どれくらい?』
『え、あたしも満腹度あるの。あ、15だ』
『いやあるだろ』
シルキーに満腹度なんてあるとおもわず。全く。
そうか。15になると行動に弊害が起きるのか。
それにしても、さっき一つ食べたばっかりだったのに。
てことは皆ガンガン減ってるということで。
お肉を一つ食べて。
あたしは大量のお肉を枝に刺して焼いていった。
気がつけば料理スキルは4になっていた。はや。
『よし、一度街に戻って報告するぞ。それでいいか?フィーアさん』
『オッケーよ、皆歩く時は並んで歩いてね』
クリオネットさんがそう判断をくだし、あたしが了承する。別ゲーのいつもの流れだ。
他パーティには届かないのでリーダーにメールを送る。どこもいい感じにパワーアップしたらしく了承を指で教えてくれて街に帰還をはたすことにした。
始まりの街の冒険者ギルド。にはあたしは用はない。
が、しかし。
『ほい。これで必要なものを買ってこい』
クリオネットさんが素材を売り払ってそのお金をお小遣いで渡してくれる……のをあたしは受け取らなかった。
『ん?』
『あたし寄生はしてるけどー施しはいやだ。受け取りたくない』
パーティが倒してくれた素材は皆よりも格段に少ないけども自分のインベの中には入っている。
微々たるものではあるけど、当面のなにかは買えるはずだ。
『あのな、フィーアさんよく考えてみ?あなた調薬もってるだろ?』
『うん』
『料理持ってるだろ?』
『うん』
『てことはよ。あなたが調薬してHPポーションとか料理とか作っててくれたら俺たちエンドレスでレベ上げができるんですよ』
『うん』
『つべこべ言わず揃えてこい』
『ウィス』
呆れたような目でクリオネットさんに行けと言われ、あたしは7000Gもらい…Gはお金の単位ね。初期Gである3000Gと合わせて10000Gになった。
自分の装備揃えたいはずなのに、ごめんよ!
あたしは皆と離れ、メイドギルドに向かう。
ちなみに皆も何人かでまとまって買い物をするらしい。
まだ同じパーティにいるメロディさんにいいお店があったら教えてーとお伝えしておいた。