ティータイムですわ!
「……さあ、とうとうここまで来ましたわね!」
魔王城に戻り、玉座に腰掛け優雅に足を組み、並ぶ手下たちを眺める魔王ローザ。
「茶器は目処がつきましたわ。さて。あと必要なのは?」
側近「……」
「そう!茶葉ですわ!」
側近A「……はい」
強引さもまた魔王としての素養のひとつだろうと流した。
「用意してちょうだい!」
側近A「茶葉、ですか……」
「存在しませんの?じゃあなにかそれっぽい……香りのしそうな植物は?」
側近A「そうですね……我々が口にする、身近な植物といえば薬草くらいでしょうか」
薬草畑から数種類取り寄せてみましょう、と側近は提案した。
「これね!」
用意された薬草をひとつひとつ、香りをかいで確認するローザ。
「いいですわ!これならハーブティーとして使えそう!」
側近A「左様で」
「早速用意しましょ!」
ローザの命令で手下たちがテーブルセッティングをする。
湯を沸かし、色とりどりの薬草や花をポットに入れ、湯を注ぐ。
側近A「……では、こちらに」
先ほどドワーフから納品された件のティーカップが置かれる。
「まあ……!なんてこと!」
カップは、口当たりを気にしてか、限界まで挑戦された薄さに全体が均整のとれたフォルム。
また、細やかな彫金まで施され、ウルガイト鉱石独特の色艶が活かされたデザインという大変に美しい仕上がりだった。
「なんて素晴らしいのかしら」
うっとりと眺めるローザ。そこへ、件の茶が注がれる。
「……」
数種の薬草を煮出したそれは、極彩色の怪しい液体と化してしたが、まあ、ハーブティーといえばハーブティーである。
「……では、頂きますわ」
ぴしりと背筋を伸ばし、指先でそっとティーカップを手に取り、口元へと持っていく。
「……」
無音の緊張が部屋に走る。そして。
「おいしいですわ……!」
ローザはにっこりと笑った。
これには手下たちもたまらず微笑んだ!
側近A「頑張った甲斐がありました」
「うふふ。よろしかったらあなたたちもどう……」
薬草の効果により、ローザの力が10上がった!
ーパァンッ!
ローザの持っていたティーカップは爆散した!!
側近A「……」
側近B「……」
「……えーん」