召喚ですわ!
魔道士「は。魔王さま、お呼びでしょうか」
「召喚獣というものをお願いしたいのですわ!」
魔道士「は」
側近B「魂だけで頼む」
魔道士「左様ですか。では容れ物はどちらに?」
側近A「これから作るそうだ」
魔道士「は?」
見るとローザが玉座にてなにかぐにぐにと弄っている。
「なかなか……難しいですわ」
側近A「魔王さま、やはりそのお手で粘土細工は無理があるかと」
命を奪うためだけに作られたような凶器の如き爪と手で、ローザは容れ物となる物体を作ろうと四苦八苦していた。
側近B「さすがに諦めましょう」
「だってそれではわたくしのかわいいうさぎちゃんが……!」
魔道士「あ、大丈夫です。魔王さまのイメージを具現化しますので」
「!?」
魔道士「召喚と同時にやりますので」
魔王さまはイメージだけしてもらえれば、と言って魔道士は陣を描き始めた。
魔道士「では!」
「はい!」
魔道士「行きますねー」
「よろしくてよ!」
魔道士の合図と共に魔法陣が妖しく光る。
魔道士「出てきますよー」
陣の中央からゆっくりと光が集まり形作られていく。
……そして。
魔道士「召喚完了!」
出てきたものは。
「……これは」
側近A「……」
側近B「……」
「なんですの?」
生まれでたそれは、石ころのような体に空洞の目、小刻みに震えカタカタと音を立てる、まるでコダマであった。
側近A「魔王さまの望んだうさぎとはこのような……?」
「違いますわ!ちょっと魔道士の方!」
魔道士「は」
「なにか間違えたのではなくって!?」
魔道士「いえ。間違いなく魔王さまの脳内のイメージから作られています」
「……」
よく見ればうさ耳のようなものが生えている。
「……なぜ」
側近A「……」
側近はふと、先ほどローザが捏ねていた粘土を見た。
そこにはコダマ2号が居た。
側近A「……魔王さまのイメージ通りですね」
「んもおおおおーーー!」