癒やしですわ
「さみしいですわ……」
側近A「!?」
魔王城玉座にて。
ローザはぽつりと呟いた。
側近A「ど、どうなさったので……?」
「だって、こちらに来てからわたくし、魔物としかお話しておりませんわ」
側近A「魔界ですので……」
「……つまるところですわね。ここには、かわいいものとの触れ合いというものが不足してますのよ」
来る日も来る日も、周りに居るのは硬い皮膚に角に鋭い牙に爪。
「小さくてこう……ふわふわした生き物とかおりませんの?」
側近A「はあ……」
「ペットとか、心の癒やしが欲しいのですわ……」
側近A「しかし、如何とも……」
側近B「では作りますか?」
側近Bのまさかの提案にローザが食いつく。
「作るとは!?」
側近B「召喚すればよいのです」
「!召喚獣、というやつですわね……?あら!でもそれじゃあ結局ゴツいのになるのでは?」
側近B「いえ、容れ物をこちらで用意して魂だけ召喚すれば、魔王さまのお好みの容姿にできます」
「!!なんてこと……!」
素晴らしいわ!!
「どうしましょう!ふわふわの……ねこちゃん……いえ!やっぱりうさぎさん!つぶらな瞳で見上げるうさぎさんにしますわ!」
もうローザはうきうきである。
「早速やりますわ!」
側近B「はい。では」
「ええ!」
側近B「……?どうぞ?」
「?なにがですの?」
側近B「あ、いえ。あの、召喚なさって」
「え?召喚ってどうやるんですの?」
側近「!?」
キョトン顔のローザに側近たちも驚きである。
側近A「まさか魔王さま……召喚したことが無いのですか?」
側近B「あの、魔法陣は書いたことはありますか?」
「どちらも無くてよ」
側近「!!」
魔王なのに……?
ふたりの顔に浮かんでいる。
側近A「魔法授業を受けているはずでは……」
「ありましたけど、向いてないと思ってなにも聞いておりませんでしたわ!」
側近A「そう、でしたか……」
悪役令嬢ローザはゲーム内でも序盤に退場するキャラであり、しかも貴族令嬢ということで今後特に魔法を使う用も無いだろうとローザは授業を放棄していた。
「だめですの……?」
側近A「いえ。では、召喚を使える者に頼みましょう」
側近B「誰か!魔道士をここへ!」
側近Bは魔道士を呼んだ!